留学すれば英語が話せるようになると思っていた
留学前の私は、海外に行けば自然と英語が上達すると思っていた。
英会話スクールにも通っていたし、ネイティブの先生との会話もそれなりに成立していた。
だから、
「現地に行けばもっと話せるようになるだろう」くらいに考えていた。
ところが、初めてワーキングホリデー先のカナダに到着したとき、大きなカルチャーショックを受けた。
何を言っているのか、思った以上に聞き取れないのだ。
スピードが速い。
人によって話し方も違う。
なまりのある人もいる。
空港に着いて早々、
「え、こんなに聞き取れないものなの?」
と戸惑った。
そのとき初めて気づいた。
英会話スクールの先生たちは、とても話し方が上手だったのだ。
今思えば当然なのかもしれない。
語学学校や英会話スクールの先生は、英語学習者に慣れている。
発音もクリアで、スピードも比較的ゆっくり。
難しい表現も避けてくれる。
いわば「ティーチャーズ・イングリッシュ」だった。
でも現実の英語は違う。
相手は英語を教えるために話しているわけではない。
普通に生活し、普通に仕事をし、普通に会話しているだけだ。
だからこちらのレベルに合わせてくれるとは限らない。私はそのギャップに見事に打ちのめされた。
そして留学中、さらに意外なことに気づいた。
海外に長く住んでいる日本人が、必ずしも英語ペラペラなわけではないということだ。
7年、10年と住んでいる人でも、世間がイメージするような「ネイティブ並み」の英語を話しているわけではない。
もちろん仕事も生活もできる。
でも英語力は人それぞれだった。
逆に、日本にいても英語が上手な人はたくさんいる。
発音がきれいな人もいる。
英語で自然に会話できる人もいる。
留学経験の有無だけでは測れない世界だった。
以前、発音がとても上手な日本人の子に会ったことがある。
TOEICの点数は私と同じくらいだったけれど、発音は驚くほど自然だった。
中学生の頃から英語のラジオを聞き続けていたそうで、とにかく耳が良かった。
ただ、発音が良すぎるせいでネイティブから高度な話題を振られ、
「期待される英語力と実際の英語力に差があって困る」と笑っていた。
発音が良いから英語ができるわけでもない。
留学したから英語ができるわけでもない。
TOEICの点数が高いから会話が得意なわけでもない。
英語は本当に複雑だ。
留学前は、
「海外に行けば英語が話せるようになる」
と思っていた。
でも今は違う。
英語力は、住んだ国や期間だけで決まるものではない。
どれだけ英語に触れたか。
どれだけ勉強したか。
どれだけ使ったか。
結局は、その積み重ねなのだと思う。
そして私は今も、自信を持って「英語できます」とは言えない。
だから必要に迫られたら、相変わらずこう答えている。
「出川イングリッシュくらいです(笑)」
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