はじめての学級経営⑤授業のあいさつ
学級経営のスタートで、毎時間の「空気」を整える大切なスイッチ。
それが、授業のあいさつです。
チャイムが鳴り終わり、教室に流れる一瞬の静けさ。
そのタイミングで、子どもたちは学習モードに気持ちを切り替えられているでしょうか。
実は、この「あいさつの時間」をどう設計するかによって、授業の入り方や集中力が大きく変わってきます。
落ち着いた授業をつくる第一歩は、「授業のあいさつ」を丁寧にすることから始まるのです。
本記事では、若手の先生でもすぐに実践できる授業始めのあいさつの指導方法と、子どもたちが自ら気持ちを整えるための具体的な声かけ・場づくりのポイントをお伝えします。
最後まで読むと、基本的な授業の始め方から応用技まで理解でき、自信をもって明日の授業に臨めるようになりますよ。
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<記事の目的>
授業のあいさつについて学び、落ち着いた雰囲気で学習をスタートさせる方法を身につける
1.なぜ「授業のあいさつ」が大切なのか?
⑴ あいさつは“心理的スイッチ”
そもそも、授業のあいさつって、何のためにやっているのでしょうか。
「おはようございます」
「お願いします」
習慣になっているから。マナーだから。
どれも正しいとは思いますが、授業のあいさつには「心理的スイッチング」の役割があります。
何気ない一言が、子どもたちにとっては“切り替え”の合図になるのです。
遊びモードから学習モードへ。
だらだら気分から授業に臨む姿勢へ。
このように「落ち着いて学習を始める」「気持ちを切り替える」という目的に対する手段としてあいさつが一役買ってくれます。
子どもたちは、休み時間のテンションを引きずったまま授業に入ることもよくあります。特に低学年は、その切り替えがとても苦手です。
だからこそ、毎時間の「授業のあいさつ」が「学びのスイッチ」になるのです。
プロのアスリートがバッターボックスに立つ前に必ず決まった動きをするのと同じですね。
あいさつというルーティンを通して「今から学ぶぞ」というモードに切り替える準備ができます。
⑵「みんなでやる」ことに意味がある
授業のあいさつには、集団の一体感を生む力もあります。
みんなで声を合わせて「お願いします」と礼をする。たったこれだけの動作でも、「この教室で、みんなと一緒に学ぶ」という空気をつくることができるのです。
みんなで一斉に礼をするなどの儀式的な動作には、 集団の一体感をつくる効果があるという研究もあります。
「この教室で、みんなと一緒に学ぶんだ」という意識づけにもなるんですね。
2.実際の指導場面を想像してみよう
ここからは実際に授業始めのあいさつについて、具体的な指導方法を解説します。
その前に、一つだけ注意点があります。
これから説明する指導はあくまで、「落ち着いて学習を始める」「気持ちを切り替える」ための手段でしかありません。
学級全体で手順を共有はしますが、すべて完ぺきにできていなかったからといって叱責する必要は全くありません。
むしろ、できているところに目を向けて承認していきましょう。
学級経営の原則は「加点方式」です。
出来ていないところに目を向ける「減点方式」にならないよう気を付けましょう。
(積極的に学んでいる方には釈迦に説法でしたね。念のため、補足でした。)
⑴基本の話型と動作
まずは「型」を伝えることが大切です。以下のような基本的な話型を、クラス全体に教えましょう。
【基本の話型】
1.立ちましょう
2.机を揃えましょう
3.姿勢を正しましょう
4.これから〇時間目の学習を始めます。お願いします
5.(お願いします)→(一礼)→(着席)
1.立ちましょう(日直)
〈意図〉
体と気持ちを「切り替える」第一歩
座っていた姿勢から立ち上がることで、「今から学習が始まる」という意識づけができます。
これは、子どもたちにとって授業と休み時間を区別する“スイッチ”の役割を果たします。
座ったまま挨拶をする場合、起立するときと比べて学習への切り替えが若干難しくなります。
儀式的な動作がないので、心理的スイッチングの効果があまりありません。
とはいえ、着席のままあいさつをすることが学年で統一されているなど、致し方ない理由もあるかもしれません。
そんな時は後ほど紹介する「⑶授業の始め方<応用編>」の方法を取り入れてみましょう。
2.机をそろえましょう(日直)
〈意図〉
学習環境を整備して、心も整える
机がバラバラな状態では、見た目の乱れがそのまま子どもたちの内面の乱れにもつながります。
机を揃えることで「学習する場所が整った」と意識させ、自然と集中しやすい環境をつくりましょう。
また、机を揃えるという行動自体に「自分で整える」という能動的な意味もあるため、気持ちも切り替えやすくなります。
3.姿勢を正しましょう(日直)
〈意図〉
心と体の準備を整える「姿勢づくり」
環境を整えた後は、"からだ"を整えていきます。
姿勢を正すことは、単に見た目の美しさだけでなく、集中力のスイッチを入れるための「体の使い方」にもつながります。
直立姿勢をするときの指導ポイントは次の4つです。
<直立姿勢のポイント>
ⅰ目線は前
ⅱ中指を太ももの外側につける
ⅲ足は45度開く
※低学年なら「チューリップ」と伝えます。チューリップの葉の部分が丁度、45度開いた足を上からみたようなかたちになっています。
ⅳ腰骨(こしぼね)を立てる

「ⅳ腰骨を立てる」は座っている状態で姿勢を整えるときの指導にも有効です。
イメージが湧きにくいときは、実際に自分でやってみましょう。
<やってみよう!>腰骨の立てて、姿勢を正す方法
まず、わざと腰を少し曲げます。腰骨が曲がっている状態を作ってください。
次に、胸を斜め上に向けて張ります。
最後に胸の力をスッと抜きます。
背骨~腰骨を頭の中でイメージして、腰骨をお尻の上あたりにストンと置く感じです。
いかがでしたか。
力まず自然に姿勢を整えることができたのではないでしょうか。
これをそのまま子ども達にも教えると姿勢が整いやすくなります。
4.これから〇時間目の学習を始めます。お願いします。(日直)
〈意図〉
時間の切り替えと学習への意識を言葉ではっきりさせる
「〇時間目の学習」という具体的なワードを入れることで、今から授業が始まることを意識しやすくします。
単なるあいさつではなく、「何の時間が始まるのか」を声に出し、聞くことで、学習内容への心構えが生まれます。
「お願いします」という言葉には、先生への敬意だけでなく、自分の中での“けじめ”をつける意味も含まれます。
5.(お願いします)→(一礼)→(着席)
〈意図〉
儀式を通して心を揃え、学び始める準備をする
全員で一斉に礼をすることで、集団としての一体感が生まれます。
礼は相手への敬意を示す行為ですが、それ以上に「今から本気で取り組むぞ」という気持ちを自分の内側に向けるタイミングでもあります。
礼のあとに着席することで、「切り替え完了」「学びの時間に入った」という明確な区切りがつきます。
礼をするときのコツは分離礼にすることです。
「お願いします。」の「し」のタイミングで礼を始めるよう伝えましょう。
礼を揃えることで落ち着きやすくなります。
⑵「指導のポイント」を押さえておこう
ここからは、授業あいさつを指導する上でのポイントを解説します。
うまくいくコツは、以下の3点です。
<授業あいさつ 指導ポイント>
①授業あいさつの"意味"を伝える
②あいさつの言葉は日直が一人で先導する
③形だけで終わらせない
① 授業あいさつの“意味”を伝える
「なんであいさつをすると思う?」と問いかけてみましょう。
子ども自身に考えさせることで、納得感が生まれます。
「1.なぜ授業のあいさつが大切なのか?」を最初に学んだのはこのためです。
問いかけて子どもが考えた後に、担任として"意味"を伝えます。
② あいさつの言葉は日直が一人で先導する
私の学級では日直は二人ずつ交代制で担当していました。
理由は、
✅一人だと日直間での助け合いや協力が生まれにくいため
✅一人だと強い不安を感じる子どもがいるため
ですが、日直が全体向けて言葉を発するときには、一人で言うようにしていました。
二人で同時に言おうとすると、声を揃えるために声色が一本調子になったり、合わせるタイミングを取る無駄な時間が生まれたりしてしまうためです。
どの挨拶をやるかは日直間で相談して決めます。こちらから指定はしません。
ただし、片方が全くやらないという状況があれば指導します。誰しもが成長するチャンスがあります。やらないということは成長の機会を奪っていることになるからです。
※場面緘黙症の場合など、例外はあります。
これもコミュニケーションを増やし、一人一人の成長を促すという意図があります。
③ 毎時間あいさつをする
挨拶をすると決めたら毎時間する
「はじめての学級経営②整列の仕方」でも「徹底する」という話をしました。
あいさつも同じで、やると決めたら毎時間やります。
忙しい朝や時間割の関係で慌ただしい場面もありますが、あいさつの質が低下すると、そのままの流れで授業も落ち着かなくなりがちです。
習慣の力は人を変えます。
逆も然りです。
朝起きる時間が遅くなって、もういいや!とそのまま布団の中でごろごろ…気付いたら夕方なっていた…
こんな休日を過ごして罪悪感いっぱいになったこと、ありませんか。
私はあります。
これは起床時間がいつもより遅くなったことで、次の行動にも悪い影響が出てしまった結果、負のループに入ってしまったのですね。
授業も同じです。
挨拶を蔑ろにすると授業の導入でだらけ、その後も気乗りしない空気が流れ、結果として授業の質を下げてしまう。
「始め悪ければ終わり悪し」ですね。(笑)
「始めよければ終わりよし」にしていきましょう。
授業のあいさつはやると決めたら毎時間やります。
集中のスイッチとしての価値を大切にしましょう。
⑶授業の始め方<応用編>※意外と簡単
黙想から授業を始める
これは私が尊敬している先輩の先生が実際にやられていた指導です。
前年度、荒れていた子ども達が、驚くほど落ち着いていく様子を間近で見ていました。
その先生が実践されていた授業あいさつが「黙想」です。
授業のはじめ、目を閉じて10秒、静寂の中で気持ちを整えていました。
黙想は「落ち着いて学習を始める」「気持ちを切り替える」という授業のあいさつをする目的にピッタリ合っていますよね。
もし、今私がこの黙想を取り入れるなら、このような手順にします。
<「黙想」を取り入れた授業あいさつ>
(着席したまま)
1.「机を揃えましょう」
2.「姿勢を正しましょう」
(日直は周りを確認)
3.「黙想(もくそう)」
(日直は心の中で10秒数える)
4.「やめ」
5.「これから〇時間目の学習を始めます。お願いします」
6.(お願いします)→(一礼)
私も取り入れたことがありますが、担任も一緒に黙想をすることで気持ちが落ち着きます。
マインドフルネスです。
心を落ち着かせる所作を学べるという意味でも大変意義深い取り組みです。
ぜひ試してみてください。
3.あいさつは目的ではなく「手段」
先ほど紹介したあいさつの作法。
これを一方的にやらせると反発のタネになります。
ここまで何度かお伝えしましたが、必ず目的を伝えることを大切にしましょう。
なんのために授業の始めにあいさつをするのか?
まずは自分がその目的をはっきりさせてから、指導に臨みます。
「うちのクラス、ちゃんとあいさつできない…」
「なかなか静かにならなくて、あいさつに時間がかかる…」
もし指導がうまくいかずに困ることがあったらまずは、根っこの部分に立ち返りましょう。
指導方法はあくまで枝葉の部分。
目には見えない"根"の部分が「目的」です。
あいさつは“目的”ではなく“手段”です。
もし、あいさつが形式的になりすぎて、子どもがただぼそっと声を出すだけになっているのなら、いっそ一度やめてみるのも選択肢のひとつです。
代わりに、短い瞑想をするなど方法はいくらでもあります。
「うまくいかない=失敗」ではありません。
クラスに合った方法を一緒に探していくことが、若手の先生にとっての最大の学びです。
そして、子ども達も目的を理解していることで、手段が変わったとしても納得できます。
より学級が成熟すれば、「子どもが提案する」なんて場面を目撃することもできますよ。
そんな姿がみられたら、教師冥利に尽きます。
<学習のまとめ>

今回は学級経営の基本である「授業のあいさつ」について解説しました。
まとめると、
【基本の話型】
1.立ちましょう
2.机を揃えましょう
3.姿勢を正しましょう
4.「これから〇時間目の学習を始めます。お願いします」
5.(一礼)→(着席)
<直立姿勢のポイント>
ⅰ目線は前
ⅱ中指を太ももの外側につける
ⅲ足は45度開く
※低学年なら「チューリップ」と伝えます。チューリップの葉の部分が丁度、45度開いた足を上からみたようなかたちになっています。
ⅳ腰骨(こしぼね)を立てる
<授業あいさつ 指導ポイント>
①授業あいさつの"意味"を伝える
②あいさつの言葉は日直が一人で先導する
③形だけで終わらせない
【応用編】
<「黙想」を取り入れた授業あいさつ>
(着席したまま)
1.「机を揃えましょう」
2.「姿勢を正しましょう」
(日直は周りを確認)
3.「黙想(もくそう)」
(日直は心の中で10秒数える)
4.「やめ」
5.「これから〇時間目の学習を始めます。お願いします」
6.(お願いします)→(一礼)
<要点>
・授業のあいさつは、学習モードへのスイッチになる
・集団の一体感を生み、クラスの空気を整える
・型を教え、目的を共有し、意味づけることが大切
・あくまで「目的は落ち着いたスタート」であり、方法は柔軟に考える
この記事を通して、「今更こんな当たり前のこと聞けない…」と困っている先生の力に少しでもなれていたらうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お相手はもみじでした。
また次の記事でお会いしましょう👋
▼はじめての学級経営シリーズ▼
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