[イギリスの食物史] サンドイッチはどうやって生まれたのか?
みなさんは、どんなサンドイッチを食べますか?
サンドイッチとは、二枚のパンで具材を挟んであるもの。
イギリスでは、軽食として主流の食べ物で、携帯食としてランチやピクニックで食べられることが多い。あまりにも生活に密着しているので、渡英してから今まで、まじめに考えたことがありませんでした。
先日、Facebookの投稿に、かなり前にティールームで食べたサンドイッチの写真をのせました。その時にはじめて、イギリスのサンドイッチの立ち位置について考えた。今まで当たり前に思っていたイギリスのサンドイッチについて、私は何も知らない。と、思いまして、今回の記事をまとめました。
ティールームのサンドイッチについてはこちら⇩
ここからが、私の本領発揮です。
気になりだすと、止まらない。イギリスにおいて、サンドイッチがどのように生まれたのか。気になりませんか?
では、さっそくその歴史に迫ってみましょう!
誰がサンドイッチを発明したのか?
サンドイッチと聞けば、ほとんどの人が食べ物を想像する。
古代より、世界中でパンに何かを挟んで食べることはあったと思う。しかし、『サンドイッチ』という概念/ネーミングは、イギリス発祥である。
この名前の由来は、第4代サンドイッチ伯爵 ジョン・モンタギューと言われる。
サンドイッチはどこにある?

サンドイッチは、ケント州にある港町の名前。中世より港町として重要な場所でした。
その地の名前を持つ貴族が、サンドイッチ伯爵家である。名目上だけは、ケント州のサンドイッチと関係がある。チャールズ2世統治下で、著名な海軍司令官だったエドワード・モンタギュー提督のために与えられた爵位。1660年にモンタギュー家に創設されて以来、保持されている貴族の称号。

サンドイッチ伯爵との関係は?
文献に食べ物の「サンドイッチ」が登場するのは、16~17世紀と言われる。

有名な一説は、
第4代サンドイッチ伯爵が、賭博場でカードゲームに夢中だった時に、食事の時間を惜しんで「パン2枚に数枚のお肉を取り寄せて、それを挟んで食べた」ことから、彼の名を冠する料理が生まれた。
それまで、パンを軽食にするなら、パン、もしくは肉をそれぞれナイフで薄く切ってから食べていた。すでにスライスしてあるパンと肉を持ってこさせて、手で挟んで食べたのは驚くべき発想だったのでしょう。*⒈
⋆⒈P271 Clarissa Dickson Wright 「A History of English Food」(2011)
この話は、公式に記録された出来事ではありませんが、サンドイッチという名前が生まれた後の事は、記録に残っている。『ローマ帝国衰亡史』の著者エドワード・ギボンは、1762年11月24日の日記に「イングランドの紳士たちが、コーヒールームの真ん中で、ナプキンを敷いた小さなテーブルに座り、冷たい肉かサンドイッチをつまみ、パンチを一杯飲む」と、記しています。この当時、サンドイッチを食べるという事は、時代の最先端の行為だったと思われる。テーブルマナーに厳しい紳士達が、ナイフとフォークを使わない食べ物を、あえて公共の場で食べていたわけです。
これは私の考察ですが、そのまま美味しく食べられるような柔らかなパンは、ジョージ王朝時代には贅沢品だったと思う。そのパンに薄くスライスした塩漬けの牛肉を挟んで食べる。今の世でもけっこう贅沢なのではないでしょうか?それを、手づかみで食べる。という今までに無かった行為が、紳士の中でもてはやされたのかもしれません。
1772年には、フランスの作家ピエール=ジャン・グロスリーも、イギリス滞在中にサンドイッチの人気が高まったことを記しています。
なかなか面白い話ですが、いろいろ調べてみると、果たしてサンドイッチ伯爵の逸話は本当なのか?という疑念は残る。(食べ物の由来には、この手の神話的な話が色々とある。)
サンドイッチ伯爵は、海軍卿や北部担当国務大臣と要職を務め多忙だったので、夜通しギャンブルをする時間などなかったのではないか?という説もある。もしかしたら、執務中の机の上で食べたのが最初かもしれない。
その当時、地中海ではすでにパンに具を挟んで食べる習慣があり、サンドイッチ伯爵はそれを知っていて、自分も試したのかもしれない。
トレンチャーからサンドイッチへの変遷
中世イングランドの宮廷では、トレンチャーと呼ばれる硬いパンをお皿として使っていた。トレンチャーの上に肉を置き、肉汁の染みたパンは、食事の後で貧しい人々に施された。この時には、お肉をパンの上にのせるだけで挟んではいないが、イングランドにおいてパンと肉のコンビネーションは馴染みのあるものだったと思う。
イギリスにおいて、パンに何かを挟んで食べるようになったのがいつなのかは定かでないが、
サンドイッチという地名はイングランド国内でここにしかない。この食べ物が、この地名もしくは伯爵家の名前から由来している可能性はかなり高い。食物史において、こんなにシンプルで単純明快な作り方の食べ物が、サンドイッチ伯爵の一件まで存在していなかったことの方が驚きである。
紳士の食べ物として生まれたサンドイッチは、その後イングランド国内で知られるようになり、1777年にはレシピ書⋆²にも登場する。その中では、薄くスライスしたパンに、スライスしたビーフを挟んでパンの端は丁寧に切り落とす。と書かれている。この当時、サンドイッチはお金持ちの人が食べる最先端の食べ物として取り扱われていたようである。
18世紀には小説の中でもサンドイッチの記述が出てくる。
19世紀初め 料理書(1827年)にチーズやエビ、卵(卵焼きみたいなもの)など5~6つのレシピが載せられている。
1861年に初版が出版されたMrs Beeton's Book of Household Managementの中には、サンドイッチのレシピが4つある。このレシピが面白かったので、また別の機会にご紹介します。
19世紀中頃 1866年にとあるレストランでは、100種類ぐらいのサンドイッチを提供してたというから、この頃にはサンドイッチが一般的な食べ物になっていたのでしょう。
参考資料
⋆² Charlotte Mason 「The Lady's Assistant」(1777)
こちらの動画で詳しく説明されています。⇩
英国人の生活に浸透している食べ物
今やサンドイッチは、世界中で親しまれる食べ物となった。好みの具材を選んで家庭で手作りするのも簡単。ナイフとフォークが無くても簡単に手軽に食べられる。携帯食としてもピッタリ。また柔らかいので食べやすい。現代人の生活にもピッタリの食べ物である。
イギリスにおけるサンドイッチの人気は、19世紀に飛躍的に高まりました。産業社会の発展と労働者階級の台頭により、手軽で持ち運びやすく、安価な食事が不可欠になったためです。例えばロンドンでは、1850年までに少なくとも70軒の屋台がハムサンドイッチを販売していました。
1920年代にスライスパンが発明されて以来、サンドイッチはカフェ、鉄道駅、パブ、レストランなどで広く販売されてきました。初期のサンドイッチは、パンが乾燥し、端が丸まった状態で包装もされずに販売されていました。駅や列車の食堂はひどいことで悪名高く、「ブリティッシュ・レール・サンドイッチ」という言葉がしばしば風刺的に使われていました。

ここからは、スーパーマーケットなどで買える市販品についてまとめてみたいと思います。イギリスでは日本と比べるとコンビニの数は圧倒的に少ないです。その代わり、大手スーパーマーケットの小型店がサービスエリアや街中の徒歩圏内にあります。市販品のサンドイッチは、ほぼスーパーマーケットの自社ブランド製品と言えるでしょう。

サンドイッチは、冷蔵コーナーの一角、入り口付近にあるのが一般的。お昼のお弁当に買う人も多いので、巨大なスーパーでも入り口付近でササっと購入できるシステムになっている。また、サービスエリアやガソリンスタンド(イギリスではペトロールステイションと呼ばれる)などの小さめの店舗でも取り扱いがある。どこでも共通しているのが、ミールディールというセット販売になっていること。メイン+サイド+飲み物と選んで3.8ポンドとか4.5ポンド、5ポンド。など、お店によって価格が異なる。
このミールディールという制度は、私が渡英してから人気になったような気がする。特にテスコのミールディールは3ポンドとお得な上にそれなりに美味しかったので、私も愛用していた。テスコのミールディール人気に便乗して、ウェイトローズやマークス&スペンサーでもお得なミールディールが登場。価格は少し上乗せしているが、他のスーパーよりも美味しいので人気がある。
しかし!2022年の10月に、テスコが長い間親しまれていたミールディールを3ポンドを3.2ポンドに値上げした時には大論争になった!買いやすい価格だから愛されているのに、値上げするなんて‥‥。と、ショックを隠し切れない消費者が多かった。それから3.4ポンドになり、現在では3.6ポンド(クラブカード会員価格)になっている。それでも物価の上昇なども考えると、このミールディールはかなりお得。普通に3つの商品を買うのに比べると、4割から5割引きぐらいになると思う。
サンドイッチの話のはずが、ミールディールの話になってしまった。
私にとって、サンドイッチはミールディールで買うのがほとんどなのである。ご了承ください。
ウェイトローズのサンドイッチ

様々なスーパーマーケットで自社ブランドのサンドイッチを販売しているが、やはり美味しいのはウェイトローズとマークス&スペンサーだろう。価格は他よりも少し高めの設定。その分だけ美味しさは約束されている!

ウェイトローズのサンドイッチの具材をざっと書き出してみた。最後の数字は値段です。私が好きなのは、ステーク&キャラメライズド・オニオン・チャットニー。今の相場だと900円ぐらい。しかし、ミールディールで買えば、サイドと飲み物で5ポンドになる。どのサンドイッチでもミールディールで5ポンド。1個4.5ポンドのサンドイッチが5ポンドで飲み物付きで買えるのは、かなりお得。
エッグマヨ&クレソン2.60
エビマヨ3.95
スモークサーモン&クリームチーズ4.50
ステーク&キャラメライズド・オニオン・チャットニー4.50
ローストチキン&サラダ3.95
クラッシックBLT3.95
ブリー&ベーコン3.70
チーズ&オニオン1.95
ハム&チーズ2.2/スモークドハム&チーズ3.25
ツナマヨ3.25
ローストチキン&ベーコン3.95
オールデイ・ブレックファースト3.95
コロネーションチキン3.95
グルテンフリーとヴィーガン用の商品もある。

FreeFrom グルテンフリー
ダブルチーズ&オニオン
PlantLiving ヴィーガン、ベジタリアン(植物ミート使用の商品)
ノーチキン&ペスト&トマト
ホイシンソースとノーダックのラップランド

マークス&スペンサーのサンドイッチ

ウェイトローズと同様で、他のスーパーマーケットよりも美味しいと思う。
個人的には、マークスのサンドイッチが一番好きかも。
最近は、高速道路の休憩所にマークス&スペンサーが増えたので、サラダやサンドイッチ、飲み物などを買うことが多い。理由は分からないが、マークス&スペンサーの小さな店舗では、ミールディールをしていないところもあるので、買う前にチェックしてください。駅に隣接しているマークス&スペンサーも多いです。ロンドンのキングスクロス駅、ブライトン駅、ヨーク駅の構内のすぐ近くにもあったと思います。
具材のレパートリーをざっと書き出してみた。⇩
エッグマヨ
エッグ&オニオン
エッグ&ウォータークレス
アイリッシュエッグ&ベーコン エッグ&メープルベーコン
アイリッシュエッグ&ウォータークレス
エッグ&コーニッシュクランチャー・チェダーチーズ
チーズ&オニオン
チーズ&セロリ
ファーマーズ・チェダーチーズ
チェダーチーズ&マーマイト

オールデイ・ブレックファースト
BLT
ブリー&ベーコン
ハム
ハム&チェダーチーズ
ハム&チーズ&ピックル(チャットニー)
エビマヨ
ツナ&スウィートコーン
スモークサーモン&クリームチーズ
ローストチキン&ベーコン
ローストチキン&サラダ
ローストチキン&スイートコーン
コロネーションチキン
私が一番好きなサンドイッチは⇩
ローストビーフ&ホーランディッシュ・マヨ


このふたつはめっちゃ美味しい!
おすすめです。
M&Sのグルテンフリーとヴィーガン用の商品

MADE WITHOUT WHEAT グルテンフリー
グルテンフリー・チェダーチーズ&トマト/ベジタリアン&グルテンフリー
グルテンフリー・チェダーチーズ・ニューヨーカー/ベジタリアン&グルテンフリー
British farmhouse cheddar, crisp gherkins, and tangy soft cheese mustard dressing. Tucked between slices of seeded bread with pickled onions, cabbage, and fresh spinach
PLANT KITCHEN ヴィーガン、ベジタリアン(植物ミート使用の商品)
ノーチキン・ノーチョリゾー/ヴィーガン、ベジタリアン
oatmeal bread is a generous filling of wheat and pea protein, mixed with zesty lemon and paprika dressing, tangy tomato sauce, and peppery rocket
このように、イギリスではサンドイッチはランチに食べる軽食として親しまれている。もちろん、ピクニックにも便利。出かける時に持っていけば、途中でカフェやレストランに入らずとも短時間でランチが食べられる。それを物語るように、サンドイッチには、サイドと飲み物がセットで販売されてるのだと思う。

サイドのメニューは、クリスプスが人気だが、チョコレートバーやシリアルバー。健康的な物なら、サラダ、ゆで卵(二個入り)、カットフルーツのパック、ヨーグルトなどがある。

飲み物は、水、コーヒー(スターバックスのプラスチック容器+ストロー付きか、瓶入りが多い)、ジュース、炭酸飲料などが人気。
現在人気のサンドイッチ・ランキング2024
最後に、ロンドンのフリーペーパー「メトロ」の記事からイギリスで人気のサンドイッチ⇩
ミールディールは、長年にわたり、ランチタイムに新しい味を導入してきましたが、定番の具材は依然として人気を誇っています。最近の世論調査では、BLTが2024年の英国で最も人気のあるサンドイッチに選ばれ、回答者の28%がファンだと答えた。(私の個人的な感覚だと、チキンかチーズ&チャットニーやチーズ&ハムが一番人気な気がする。)

パンの間にベーコン、レタス、トマトを挟むという組み合わせは、1903 年に出版された「Good Housekeeping Everyday」という料理本にまで遡ります。好みのパンは、白食パンVS.ホールミール食パン+シード入りパンで半々という結果。
Britain's favourite sandwiches⋆³
BLT – 28%
Chicken salad – 24 %
Tuna mayonnaise/Fish finger – 23%
Cheese and pickle – 22%
Egg and cress – 19%
Coronation chicken – 18%
Prawn mayonnaise – 14%
Smoked salmon and cream cheese – 11%
Beef and horseradish – 10%
The most popular sandwich bread was soft white (53%), followed by wholemeal (30%) and seeded (22%).
この他なら、ポールド・ポーク、ホイスン・ダックも近年人気の具材だと思います。私の感覚だど、チキンもしくは、チーズ&ハム / チャットニーが人気のような気がします。近年、チキンを使ったフィリングがかなり多くなっている。
参考に、別の調査(2021年)ではチキンが一番人気。⇩
Here’s the full top 20 list of the nation’s favourite sandwiches:
Chicken
Breakfast ソーセージ、ベーコン、卵、チーズなど。
Egg
Ham
Cheese
Club クラブハウスとも呼ばれる。3枚のパンにお肉、ベーコン、レタス、トマトなどが挟んである。
Grilled cheese
Ham & cheese
Pulled pork 細かく引き裂いたローストポーク。
Steak 薄くスライスしたローストビーフ。
Cuban キューバ産モホポーク(ニンニクとスパイスでマリネ)を使ったトーストサンドイッチ
Bacon
Turkey
Pastrami
BLT
McChicken
Tuna
Avocado
Bombay
Reuben
(Source Bristish Sandwich Week - 21 May 2021)
参考資料⋆¹
⋆³ This is the UK’s favourite sandwich — where does your go-to sarnie rank?
【まとめ】
意外にも紳士の食べ物としてイギリスで生まれた『サンドイッチ』は、英国人の食生活には欠かせない国民食となりました。特にランチのお供に最適である。忙しい現代人の生活習慣に合わせたサンドイッチのセット『ミールディール』は、大人気。イギリスに旅行に来たら、是非冷蔵コーナーに並ぶサンドイッチを試してみてください!
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