ADHD、情報商材との相性最悪。その理由と対策
ADHDと情報商材の相性はかなり悪い。
発達障害専門FPとして、当事者の相談を年に100件以上受ける中で、感じていることです。
実際に相談を受けていると、モテ系、コーチング、副業系、ビジネス系、SNS運用系などの講座や教材の話をもらうことがあります。
それらが、十分な成果につながらなかったり、費用対効果が悪く、損失が残ったりした方が少なくありません。
もちろん、すべての教材や講座が悪いわけではありません。
役に立つ情報もありますし、真面目に提供されているものもあります。 (私も情報商材の1つみたいな感じですし)
ただし、ADHDの人が高額な情報商材を買うときには、かなり慎重になった方がいいです。
情報商材の持つ特質性が、ADHDの特性との相性が最悪だからです。
情報商材は、多くの場合、「今の自分を一気に変えられるかもしれない」という期待を売っています。
例えば、自由に働ける、モテる、副業で収入が上がる、自分らしく稼げる、など。情報商材はこんなイメージを持たせます。
仕事、人間関係、恋愛、収入、生活管理で苦しんできた人ほど、こうした言葉は響くはずです。
なぜ相性が最悪か。
理由は10個あります。
①ドーパミン報酬と相性が悪い
「新しい方法を知る」「人生が変わりそう」と感じる瞬間に強い刺激があります。
無料動画、説明会、成功者の体験談、限定特典みたいな流れで、高揚感が高まったことはないですか?
そういう期待感で身の丈に合わないもの、活用できないものを買ってしまったことはないですか?
買ったけど全然着ていない服や、Amazonで買ったけど段ボールのまま放置されている商品はありませんか?
もし思い当たることがあるなた要注意です。
買い物は、買った後よりも買う前が一番ドーパミンが出ることが研究で分かっています。
しかし、情報商材を買ったあとの実行は地味です。
例えば、モテる方法系であれば、適度な体重キープや肌のケア。当たり前に商材を買っただけでは手に入りません。
毎日の積み重ねは地味な繰り返しで、そこにドーパミン的高揚感はありません。
買う時の自分は買った後の自分と本当に一緒か確認してみてください。
一時の買い物の快楽で購入してしまうADHDとは相性が悪いです。
②未来の自分を過大評価しやすい
高額商材を買うとき、人は「これだけお金を払ったら本気になれる」「明日からはちゃんとやる」と考えがち。
しかし、厳しいことを言いますが人はそんなに簡単に変われません。
教材を買っても、体力や、ADHD特有の先延ばし癖や集中力のなさ、事務処理の苦手さはすぐに改善しません。
昨日までできなかったことが、決済した瞬間に明日からできるわけがありません。
これまでの自分で判断する方が良いです。
③手順が曖昧な商材ほど魅力的に見る
「誰でもできる」「テンプレ通りにやるだけ」。聞いたことありますよね?
これらの言葉は一見すると親切に見えますが、そんなに甘くないです。
本当に確認すべきなのは、毎日どれくらいの作業や努力を何か月続ける必要があるのか、と言った労力的な部分と、初期費用や追加費用など金銭的な部分です。
「自分にもできそう」が一番危険です。そういう人は一握りだし、大体他のこともある程度卒なくこなせる人がほとんどです。
ADHDの人は、手順が具体的に見えていないものほど、自分に都合よく解釈する傾向があります。買い物で気持ちよくなることをも目的化してしまい、購入の理由を正当化するためにも実際の作業量を低く見積もりがちです。
④成果が出なかったときに、自責にしがち
商材に再現性がなかったとしても、「自分が努力できなかった」「行動力がなかった」と受け止めがちです。
これは過去に失敗をたくさんして、人によっては否定されることも多かったがために、思考の癖としてそうなってしまっているケースです。
明らかに販売者の実績が特殊だったケースでも自責にしてしまいがちです。その結果、お金を失うだけでなく、自信まで削られるだけでなく、相手の言うことを何でも聞いてしまい、もっと高額な商材を購入するリスクもあります。
⑤損切りの難しさ
サンクコストとも言います。
30万円も払ったんだから、今やめたらもったいない ここでやめたら負けた気がする もう少し続ければ回収できるかもしれない と、損失が拡大することがあります。 例えば、成果が出ていないコミュニティに残り続けたり。 場合によっては、上位講座や個別コンサルにさらにお金を払ってしまうこともあります。
本来は、早く撤退した方が傷は浅く済みますが、高額であるほど引き返しにくくなります。 サンクコストは、全人類が対応が難しいのですが、思い込みや勘違いが多いADHDとの相性はより悪いです。
ポーカーや麻雀をやると、自分のサンクコスト対応力のなさに気付けるのでオススメです。
⑥孤独、焦り、劣等感に付け込まれる
人間関係が苦手だったり、恋愛がうまくいかなかったり、収入が低かったりすると、周りと比べて遅れているような気がします。
売る側は、その劣等感が分かったうえで近づいてきます。
「モテる」「稼げる」。
売られているものは、解決策ではなく、コンプレックスを刺激された人が買いたくなる物語であることも少なくありません。
⑦普通の努力を軽視し始める
これはかなり問題だと思っています。
フルタイムで働くことや、職場で経験を積むこと、資格を取ることなど。
結果が出るまで時間のかかる大切なことに取り組むのをやめ、すぐに結果が出そう(でるとは限らない)なことばかり追い求める。
順序が大切です。
こちらの記事でも書いたことと、かなり近い傾向です。
⑧成果者の事例
少数の成功例を見ると、自分にも再現できるように感じます。成功した人の属性が自分と近しいほどそのように感じるでしょう。
しかし、その人が成果を出すまでに必要だった前提条件は、果たして同じでしょうか。
元々の能力、作業量、初期資金、運やタイミング。
こうした条件がブラインドなまま、「自分にもできる」と思ってしまうのは危険です。
そもそもADHDは苦手なことが多いので、定型発達の人の成功事例はそこまで信じ切らない方がいいです。
一方で、ADHDがうまくいく、みたいな触れ込みも、同じADHDでも能力も凸凹も実家の太さも何もかも違うので、そこは分けて考えましょう。
努力するな、情報商材を買うなという話ではありません。
まずは目の前のやるべきことをやってからでも遅くない、身の丈に合わない支出は辞めておこうという話です。
⑨クローズドな場
情報商材の販売では、クローズドな場に誘導されることもあります。
例えば、限定コミュニティ→プレゼント→少人数セミナー→個別面談。
冷静な比較検討が難しく、断る負荷も高くなります。
特にADHDの人は、その場の勢い、相手の圧、限定感に引っ張られやすい傾向があります。
そして、目の前の相手を喜ばせたいがために、必要ないものまで買ってしまいがちです。(服屋さんとかで経験ないですか?)
⑩実行機能が弱く、結局継続できない
購入した情報商材、成果が出るまで継続できますか?
買ってそのまま資格のテキスト、読んでない本、あとから見ようと思って半年たったセミナー動画、ありませんか?
先述しましたが、楽にモテたり稼げたりするほど社会は甘くはないです。
継続が難しいのです。
例えば、モテ系でいくと
体形づくりのために半年~1年努力し続けられますか?
毎日諦めずに髪型をセットし続けられますか?
自分のコーディネートを毎日撮影して、向上するために創意工夫が続けられますか?
買ったからすぐに良くなるものではありません。
実行機能の訓練は、まずは本業でやりましょう。
それがある程度できるようになってからでも、情報商材に手を出すのは遅くはありません。
ここまで、情報商材と相性が悪い理由を並べましたが、ここからは対策を5つにまとめました。
5つの対策
1.継続できることしか買わない
最重要です!
情報商材は、買った後の作業で成果が決まります。
だから、自分が継続できる形式かを見るべきです。
それができないなら、どれだけ内容が良くても無理です。
2.再現性が低い商材は買わない
「この人だからできた」ものは買わない方がいいです。
特に危ないのは、販売者の個人能力に依存している商材です。
成功者の派手な実績ではなく、普通の人が同じ手順でどれくらい成果を出しているかです。
ここで気を付けたいのは、「ADHDでも上手くいった」という雑なくくりにしないこと。ADHDでも色んなタイプがいます。
3.再現性を判断できないうちは買わない
初心者ほど、良い商材と悪い商材を見分けられません。
副業経験がない人ほど、副業商材の再現性を判断できません。
恋愛経験が少ない人ほど、モテ系商材の妥当性を判断できません。
判断力が十分でない段階で高額商材を買うのは、ほぼギャンブルです。
最初は高額商材ではなく、無料情報、本、低額講座、実務経験で十分です。今なら生成AIもあるので、それで情報を拾ってもいいでしょう。
特定分野に詳しくなり、構造がわかってから、初めて有料教材を検討すればいいです。
4.コンプレックスを刺激されていると感じたら距離を置く
コンプレックスを刺激してくる言葉は基本無視して良いです。
たとえば、こんな言葉たち
「あなたが稼げない理由」
「モテない人の共通点」
「搾取されない人生」
「今行動しない人は変われない」
こういう言葉を見て、焦り・怒り・劣等感・不安が強くなったら、その場から離れた方がいいです。
それは冷静に欲しいのではなく、感情を揺さぶられているだけです。
5.フラットに判断できる相談できる人を見つけておく
そもそもその人がフラットに判断できる人なのか、なんでも否定する人なのかを判断するのは結構難しいのですが、あなたの周りにいればラッキーです。
今だと、生成AIを使ってもいいかもしれません。
しかし、判断できないうちは買わない、がやはり得策でしょう。
相談できる生成AIを作ったので、気になる方はご覧ください
情報商材を買う前に考えてほしいこと
情報商材そのものを、すべて否定したいわけではありません。
世の中には、役に立つ教材もあります。
そして、向上心があるのは素敵なことです!!
実務経験のある人が、自分の知識やノウハウをまとめて販売しているものもあります。独学より早く学べることもありますし、良い講座に出会って成果につながる人もいます。
僕もたくさん買ってきました。多分100万ぐらいは使ってます。
その上で伝えたい。
ADHDの人と情報商材の相性はかなり悪いです。
情報商材の多くが買う前に一番気持ちよくなります。
人生が変わりそうな「予感」にお金を払っています。
その瞬間には強い刺激があります。
いい服やアクセサリーを見たときに抱く感情の上位互換的な快楽だと思っています。
しかし必要なのは、地味な実行です。
時間作って勉強して、作業して、継続。
この作業を楽しく続けられますか?
楽しめるならADHDの興味を加速させる力を使って既に調べ尽くして取り組めると思うんですよね。それでも足りないときの1つのピースとして情報商材の立ち位置で考えるといいと思います。
地味で興味のない作業は、買う前ほどのドーパミンは出ません。
買う前は盛り上がるのに、買った後の継続で止まってしまう。
すると、教材費だけが出ていき、成果は残りません。
「仕方ないね」で笑って済む金額ならいいのですが、借金して買っていたり、収入に対して明らかに過大な情報商材だと身を滅ぼしかねません。
そして追い込まれるほど人は冷静な判断が出来ず、一発逆転を狙いたがります。
だからこそ、警戒した方が良いのです。
そういう、つい目先の成果が欲しくて買ってしまう自分がいることを自覚しておくことも防衛手段の1つです。
とにかく買ってから考えようで買うのは、投資ではなくギャンブルに近いです。ギャンブルは余剰資金でやるものです。
借り入れやリボ、分割でギャンブルやる人がいたら、全力で止めるはずです。
ギャンブルは最悪なくなっても生活がおかしくならない範囲に留めるべきです。
そして、厳しいことを言えば、ADHDの人がまず考えるべきなのは、高額な副業商材ではなく、本業での土台固めやキャリアアップではないでしょうか。収入を安定させるという意味では、こちらの方が現実的なことが多いです。
もちろん中には一点突破で成功する人もいるでしょうが、ほとんどの人はそうなりません。
情報商材は、使える人には使える道具です。
でも、生活の土台が不安定な人にとっては、現実逃避の入口にもなります。
否定はしませんが、ADHDの人ほど、買う前に冷静な基準が必要です。
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