【博物館】【特別展】上杉謙信と川中島合戦@米沢市上杉博物館
2026年6月7日
米沢に出張。そして、自分の休日を潰される休日扱いとなる出張の移動のため、反骨精神のために早めに到着して遊んでやる!と意気込んでいた。
てかそもそも出張のための移動なのに仕事じゃないって何???
東京から2時間の距離は正直近い。ありがたい。
9時すぎに家でて昼過ぎにはもう米沢いる。新幹線はっや。めっちゃ助かる。
前回の出張のときにあらかた目をつけていた上杉家の統治した米沢藩としての土地。というところに端を発し、観光地として整備がされている土地。
この米沢市立上杉博物館と上杉謙信公が祀られている上杉神社を見に行った。

上杉博物館はまさに上杉家だけ紹介!という様相で、上杉家文書と洛中洛外図屏風の上杉本を軸に、上杉家が戦国の黎明~明治の廃藩置県により廃藩に追い込まれるまでの中でどのように米沢で維持発展してきたかを解説する展示であった。

戦国の世で米沢という土地を上杉家が統治、直江兼続に管理を任せ、そして上杉家が江戸時代期に藩のピンチを上杉鷹山公がどのように復活させたのかを1フロアで追体験出来る展示であった。
この博物館の軸となっている展示なので洛中洛外図屏風の紹介のされ方が強い!

また纏めて国宝指定を受けている上杉家文書の紹介のされ方も非常に面白い。テーマを決めてそれに合わせた文書を絡めて3,4通を展示するという。2000通以上の文書を持つ国宝群でないと出せない迫力があった。考古的資料として、1つの家で蒐集されていた、その家に関わる文書が由緒正しくまとまってでてくるというのは、当時発行された文書の比較先として歴史のキャリブレーションの基準たり得るので国宝指定は宜なるかな。という感じ。
納得の国宝群でした。
しかも今日はギャラリートークが設定されており、担当の学芸員さんの解説がちょうどスタート!全く歴史には明るくないが、当然これは聞きます。
国宝指定の洛中洛外図屏風上杉本の解説と、今回の選りぬき上杉家文書についての説明。
まず洛中洛外図屏風上杉本については複製が二双ありそれらの修復ごとに調査が重ねられた内容についての紹介であった。
細川家の邸宅、松永弾正の邸宅、そして上杉謙信に上洛を迫るメッセージが読み取れる場所を紹介。織田信長から上杉に向けて送られた品のため、当時の信長が上杉謙信が上洛することにより受ける恩恵を深謀遠慮したうえでの贈り物であったことは間違いない。
また、この屏風に描かれている公方様の邸宅は理想(未来)かはたまた当代(京都は戦国で荒廃)にあったものなのかというところの考古的視点の紹介がなされた。
2025年の調査の結果の論文の紹介までされ批判と評論を繰り返し前に進めるまさに文系の研究発表だ~~~!ってシンプルで初心者向けの解説ながらウキウキした。
続いては上杉家文書より足利義昭が室町幕府15代将軍になるまでの変遷を書から追っていた。
もともと将軍レースから外れていた義昭だったが、幸か不幸か先代将軍の病死により担ぎ上げられるという本人には不遇だとも思える状態に追い込まれ戦国の世で身分がコロコロと変わる様子が書から読み取れる様を解説。もともと出家していて担ぎ上げを機に還俗、そしてその後朝廷より将軍となるための準備の身分を与えられたという所を書を通じて紹介。
本文の最後につける文章、日付の位置を基準として上中下のどこから宛先の名前を書くか、そして書状に使われる紙質、更には副状として付加される家来からの書状の書き方で、当時の様々な力関係に迫れるということを解説。
これまでは見えてこなかった書状の書き方が見えてきて非常に楽しい。
これからはそういうところも見てみようかと思いました。
国宝を軸にしたギャラリートークはこれにて終了。ナショナル・トレジャーともなると前後の物語性やっぱつええ~っていうのがよく分かる展示と解説であった。
また他の展示に目を向けると上杉鷹山公の財政復活の名采配の藩の施政なども大きな軸として語られていた。
地方の自治体博物館ということもあり、申し訳程度にも縄文遺跡、弥生遺跡、そして古墳時代の古墳にも触れられてはいたがやはり大部分は上杉家!
という様相であった。
そしてここからは特別展『上杉謙信と川中島合戦』について。

常設展にもある上杉家文書を利用し、上杉謙信が相対した武田信玄との確執を読み解く展示であった。
現代にも語り継がれる、何度も激突を繰り返した川中島合戦を利用し時代ごとに謙信と信玄がお互いに何を行いお互いの動向にどう気を揉んでいたのかを示す文書の数々が非常に面白い展示であった。
上杉側の動向は上杉家文書より、武田側の動向は長野、群馬と各地からの博物館からという感じで、徹底的に文書の読み取りにより当時何が起こっていたかを紹介していた。
図画の紹介などは最低限で、“川中島合戦”と銘打たれた品々や、当時の謙信VS信玄という形式がよく分かる図画に絞り、後は五虎退ぐらいしか置いていない。という徹底ぶり。
本当に文書しかないのだけれどもキャプションと、その書状の数々により、成立している、すげぇ……。
この特別展に置いては川中島の合戦というところに絞り文書を紹介していたので、本当に流れがわかりやすく、且つ簡潔に当時の信玄と謙信のパワーバランスが見れるような作りになってたのが非常に面白かった。
締めとしては後世の川中島合戦に対する、戦国乱世の醍醐味を味わうストーリーとしての価値が描画された屏風などの紹介や、最終的には信長の仲介と、謙信の死去ということにより、対立の力がほどけていく様を紹介して終了。
文書がメインとは言えど本の虫、活字の虫には面白い特別展であった。
なかなか長い文章を読めないとキツそうな展示ではあった。
流石に廟のある土地、米沢藩、米沢城跡ということもあってか上杉謙信パワーが半端ない。
越後の虎とか言うけど、結局ゆかりの地ということを考えると米沢だよなぁ。っていうような矜持が見えるような博物館と展示で良かった。
戦国文書が好きな人ならここの展示を1日中眺めていろいろな妄想を馳せられるかもしれない。
以上。


