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先はまだまだ遠い――重力は重し

昨日、撮影から帰宅して、制作日記を書きながら寝てしまった。朝方、家人が耳元で話しかけてきた。僕は答えているが、家人は「何を言ってるか分からない」と言っていた。実は僕も答えながら呂律が回っていないのを自覚していた。
――
これは反省文に近い。

時々、仕事仲間から『HIGUMA KARMA』のことを聞かれる。
特に完成時期について。
僕は決まってこう答える。
「まだまだ先だな。道のりは遠いよ……」
嘘偽りのない本音である。

そして昨日、改めて思った。
本当に、道のりは遠い。

ある場面を、かなり長い時間撮影していた。
そろそろ十分だろう。
そう思ってカメラを止め、片付け始めた。
ところが――
その直後、不意を突かれたような出来事が起こった。

「クソっ、これは面白い…」
と思った。

どうやら僕はまだ、本作『HIGUMA KARMA』とは符牒が合っていないらしい。

よくよく考えてみれば、あれは予測できた。
ドキュメンタリーに必要なのは、とことんまで粘ること。そして、とことんまで現場を読むこと。

まだまだ修行が足りない……。

僕は、脱力しながら、地の底に沈んだ。

ただ、撮影で本当に起きたことの核心部分は、ここには書けない。
書けないというより、書いてしまうとつまらなくなる。

僕がこの映画について考えていることや、現場で何を面白いと感じ、何をどう撮ろうとしているのかを、公開前から全部晒してしまえば、それは手品の種明かしをしているようなものだ。

映画は、公開された瞬間に、観客の前に生まれたばかりの赤ん坊として現れてほしい。
そのときに初めて、「これは何なんだ?」と観客自身に発見してもらいたい。

だから、今は書かない。
書きたいけれど、書かない。

そのもどかしさも抱えながら、僕は地の底にへばりついている。

重力は重し。

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「虚空門GATE」監督 小路谷秀樹 Hideki Koujitani 『ヒグマカルマ』は現在も北海道・東北で取材と撮影を続けています。 もし活動を応援していただける方がいましたら、サポートいただけると制作継続の力になります。 いただいた支援は、移動費・撮影費として大切に使わせていただきます。