ドキュメンタリーの核心は、撮れなかったときにもある
ハンターの言葉は、重厚で濃密だ。
語りの大半が、憶測や書物、メディアなどの外部情報ではなく、自らの体験に裏打ちされている。
だからこそ、聞き入ってしまう。圧倒される。
此度も、ハンター歴50年の大ベテランであるKさん(貴重な熊油まで頂きました)、そしてHさんにお話を伺うことができた。
改めて、深く感謝申し上げます。
下記は、昨年ハンターの甥から聞いた話。
山に入っていくと、天候の変化も何もないのに、
「これ以上進んだら危ない」
という直感に襲われることがあるのだという。
その予感は、ただの不安ではない。
これ以上踏み込めば、死ぬかもしれない――そんな背筋の凍る感覚だと。
そしてそれは漠然としたものではなく、
明らかに野生とは異なる、“魔物”のような存在感を帯びているという。
甥はある時、それを感じ取って引き返そうと振り向いた瞬間、
視界の端に、黒く巨大な“何か”を捉えた。
だが、「正視してはいけない」と直感し、
来た道だけを見つめて、そのまま引き返したと語った。
さらに印象的だったのは、
この「もう進んではいけない」という感覚が、甥だけの特別な体験ではなく、
多くのハンター仲間たちにも起きているという事実だった。
この話を甥が語ったのは、
インタビューが終わり、カメラを片付けたあと――。
ドキュメンタリーは常に一期一会。
だからこそ、その瞬間を撮れた感動もあれば、撮れなかった悔恨も残る。
これは今回の宿題。
来春、この話を改めて深掘りしたい。
いや、その前に山へ入らなければ。
甥と一緒に。
まずは足腰を鍛えて…
【2025年12月6日の制作日記より】
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