ドキュメンタリーの境界――これ以上踏み込んではいけない
第四回北海道撮影終了。昨日、帰京した。
撮り続けることを断念する。
それもまた、ドキュメンタリーを撮るうえで重要な決断なのだと思う。
問われるのは「どこまで撮るのか」以上に「どこで止めるか」なのかもしれない。
詳細はまだ話せない。
ただ、昨年からずっと「会わなければならない」と感じ続けていた人物がいた。
二度、向かおうとして踏み込めなかった。
途中で引き返した。
そのたびに、自分の弱さを責めた。
そして今回こそは、と決めた。
住所も地図も電話番号も用意して、家人と共に向かった。
だが、辿り着けなかった。
カーナビに入れた住所にも家はなく、
車を降りて探しても見つからない。
電話番号は「現在使われておりません」。
近所の人々に尋ねると、その人物のことは皆知っている。
しかし、指し示される場所がそれぞれ違う。
行ってみても、どこにもいない。
何か奇妙な感覚の中に入り込んでいた。
さらに、運転していた家人が突然体調を崩した。
日射病のような症状だった。
外には出ていないにもかかわらず。
僕はそこで引き返した。
そして理解した。
ドキュメンタリーには、
「これ以上は踏み込んではいけない」
という境界が存在するのだと。
【2026年5月26日の制作日記より】
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