文野紋さんがレビューを書いてくれた――映画『虚空門GATE』が若い世代に届く理由
本日、テレビ朝日が運営するエンタメWEBメディア「logirl(ロガール)」で、漫画家・文野紋さんが連載する「ドキュメンタリー日記」にて、拙作『虚空門GATE』のレビューが掲載された。
文野さんは、2020年にデビューした若手漫画家・イラストレーターで、『トムライガール冥衣(原作・角由紀子)』の作画も担当されている。
レビューを拝読し、監督として、作品の本質を丁寧に読み解いていただけたことを嬉しく思った。
特に印象に残ったのは、「本作は宇宙人が『いる』『いない』がどうでもよくなってしまうくらい、大切な人間の感情を捉えたヒューマンドキュメンタリーである」という趣旨の一節である。
『虚空門GATE』は、UFOの存在を証明するために作った映画ではない。
何かを証明するという、あらかじめゴールを設定して作った映画でもない。
唯一、最初にあったギアは、YouTubeで見た「月面異星人遺体映像」の真偽を確かめたいという純粋な好奇心だった。
「人はなぜ信じるのか」。
多くのレビューでは、そのような映画として語られている。
しかし、撮影中も編集中も、僕自身はそのように作品を位置づけたことは一度もなかった。
むしろ、自分の思考の中に作品を位置づけることを意識的に避けていた。
UFOという存在は、自分の些末な思考の枠では捉えきれないという諦念があったからだ。
だからこれは、考えて撮るものではないと撮影の初期段階で悟った。
思考停止ではない。
思考を真空状態にすること。
それでしか捉えられない何かがあると思った。
だからこそ、このレビューは僕自身が意識していなかった作品の本質を見事に言語化してくださっているように思う。
そして、このレビューには文野さん自身の真心が映し出されている。
だから『虚空門GATE』という映画もまた、その真心を映し返したのかもしれない。
文野さんは1996年生まれである。
実は、この作品は若い世代にも意外なほど反応がいい。
息子の友人たちにも好評だったと聞いている。
奇しくも、文野さんも息子と同い年だ。
一方で、UFOやオカルト関連の集まりへ行くと、二十代、三十代の姿はほとんど見かけない。
僕たちの世代は、矢追純一さんのUFO特番や、稲川淳二さん、宜保愛子さんの心霊番組を見ながら育った。
もちろん、あの時代の番組には功罪があった。
演出が過剰だったものもあれば、事実とは言えない内容も含まれていただろう。
しかし僕は、「目に見えないものを想像する力」を育てるという意味では、大きな役割を果たしていたのではないかと思っている。
見えないものについて考える。
本当かどうかわからないものを、自分なりに想像してみる。
曖昧なもの、白か黒かでは断言できないことに思いを巡らせる。
その営みは、UFOに限らず、人の心を理解し、芸術を味わい、世界をより豊かに見るための力、そして共感力にもつながっているはずだ。
先日、息子と話していたとき、いまはSNSの影響もあって、黒か白か、敵か味方かという二元論で物事を捉える空気が以前より強くなっているのではないか、という話になった。
白と黒の間には無数のグラデーションがある。
そこに思考を巡らせる余白が失われつつあるのだとしたら、それは意識の幅を狭める冥い流れだ。
『虚空門GATE』は、二元論的な映画ではない。
もちろん、多元的な映画を目指して作ったわけでもない。
結果として、そのような映画になった。
いや、正確に言えば、『虚空門GATE』そのものが、多元的・多視点的に生成された映画だったのだと思う。
だから、観る人によってまったく異なる解釈が生まれる。
それでいい。
むしろ、それこそがこの映画の在り方なのだと思っている。
だからこそ、この映画は若い世代にこそ観てもらいたい。
UFOを信じてほしいからではない。
白か黒かでは割り切れない世界を、自分自身の感性で見つめる体験として。
今回の文野紋さんのレビューが、その入口になれば、監督としてこれほど嬉しいことはない。
▼文野紋さんによる『虚空門GATE』レビューはこちら
。▼ 映画『虚空門GATE』本編はこちらからご視聴いただけます(Amazon Prime Video)
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0GVN6TG2C
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