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父が残してくれていた50年前の映像――「ありふれた憂悶」の断片

昨日、僕はnoteに、17歳の時に制作した処女作についての記事を書いた。
20代の頃にフィルムを失ってしまい、半世紀近く悔やみ続けてきた映画である。


記事を書き終えた後、ふと思った。
NHK「若い広場」で紹介された約3分間だけでも、アーカイブに残っていないだろうか。
そう思い、NHKへ問い合わせた。
担当の方が丁寧に調べてくださった。
しかし返ってきた答えは、
「残っていませんでした」
だった。

やはり、17歳の僕が撮った映画は失われてしまったのだ。そう思った。

ところが、それから数時間後だった。
僕の記事を読んだ家人が、
「お父さんが残してくれているよ」
と言って、棚の奥から一本のVHSビデオテープを持ってきた。
あっ、そうだった――。

父は当時、NHK「若い広場」で放送されたテレビ画面を8ミリカメラで撮影してくれていた。
そして、その8ミリ映像を、若い頃の僕自身がVHSへ保存していたのである。
そのことを、僕はすっかり忘れていた。

再生してみる。
画質は決して良くない。
テレビ画面を8ミリカメラで撮影し、それをさらにVHSへ保存した映像だから当然である。
それでも十分だった。
そこには確かに、17歳の僕が撮った映画の断片が映っていた。

番組では、司会の阿部牧郎さんが、
「問いさえも映画にした」
という趣旨の言葉で締めくくっていた。
父は映像だけを8ミリカメラに残してくれた。
しかし、音声は記録されていない。
それでも、その言葉は今でも鮮明に覚えている。

本日、この現存する唯一の映像記録をYouTubeで公開しようと思う。
下段にURLを貼るのでよければ見てください。

実は今日、倅が渡米した。
出発する直前、その映像を一緒に見ることができた。
倅は『ありふれた憂悶』の話を、小さい頃から聞いている。
しかし、実際の映像を見るのは初めてだった。
出発前の慌ただしい時間だったが、
「あ、本当だ」と呟き、しっかりと画面を見つめていた。

父がテレビ画面を8ミリカメラで撮影してくれなければ、この映像は残らなかった。

親父に、感謝である。

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「虚空門GATE」監督 小路谷秀樹 Hideki Koujitani 『ヒグマカルマ』は現在も北海道・東北で取材と撮影を続けています。 もし活動を応援していただける方がいましたら、サポートいただけると制作継続の力になります。 いただいた支援は、移動費・撮影費として大切に使わせていただきます。