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インディフィニト・ノート 32話

<前話までのあらすじ>

西田の中で何かが目覚め、立ち技最強と呼ばれる事も多いムエタイの構えに
なった。予備知識が一切ない黒崎にとっては防御するのが精一杯で逆転する
僅かなチャンスに掛けるしかなかった。良い打撃を貰った黒崎を助ける為に
鶴居が全力で庇う姿勢を見せた。正気に戻った西田のプロレス技を何とか、
防ぐことに成功した鶴居の反撃が始まった。

1話は<1~5P>こちらから
31話は<151~155>こちらから

         32話<156~160P>

 プロレスのリングは四方向あるので客が観てる想定で向きを変えながらも態勢を維持できるパワーをアピールできる絶好の機会でもある。3度の方向転換で投げて来なかったので4回目で投げてくる事が確定すると思った西田は鶴居を信じて覚悟を決めた。

「おりゃー」
 掛け声と共に鶴居は西田を後方へと反り投げた。いつ投げるか分からない状態では相手の受け身も取れないので大怪我をさせない配慮が感じられる。
 背中から落ちた西田はマットに叩きつけられて大きくバウンドした。

 何千回と繰り返した受け身が身に付いているように鶴居には見えた。ついでに相棒の黒崎を目で追うとリング内には居らずにエプロンに立っていた事が分かって安心する。
「長滞空式のブレンバスターをやってのけるとは敵ながら恐ろしいわ」

 奥島は最大の賛辞を送りながらも起きてこない西田が自軍のコーナーポスト付近に居るのを横目で確認した。

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 次に相方の足をエプロンサイドから両手で引っ張りながら西田の肩に触れて主導権が交代した事をアピールして安全なエプロンの場所に移動させる事に成功した奥島がリングの中に入って来ると左腕の握り拳を顔の近くまで上げて気合いを見せた。

 西田の額に巻いてあった白のハチマキが奥島に巻かれていた事には触れなかった鶴居。
「鶴居、マブダチをヤラれてヘラヘラしてる程、俺は甘くないぞ」
「望むところよ」

 鶴居は未だ立ち上がって来ない相棒を心配しているので状況を直ぐに確認できるコーナー付近に戻っていた。その動きを確認しながらリング中央までダッシュした奥島はプロレス式の浴びせ蹴りを放った。近距離で放てば一瞬消えたと思わせる有効な技ではあるが遠くから来ると分かっていればプロレスを熟知している人物ならば対応は出来ない事も無かった。

 横にかわす程スペースがある訳でもなく、また俊敏に動ける体躯ではないので両手で十字ブロックを作ってX状にし受け切った。

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 鶴居は頭上から来るであろう踵に集中していたので顔面より下のボディから下半身の防御が無防備になっていた。そこを見逃す筈もなく奥島は骨法の構え(半身を基本とし据え腰で溝胸は、かなり特徴的と言える)をした。両手を正中線に構える方法と言えばイメージがしやすいだろう。

 ちなみに溝胸とは猫背になり胸を凹ませることで攻撃のショックを和らげる効果がある。骨法とは、奈良時代より伝わる日本独自の拳法という日本固
有説がある。(中国武術が起源であるとしている伝承もあり、大きく2つの伝承に分類されている)

 一般的には、古武術と伝わっており、脱力を基本として拳を握らずに掌で攻撃するのが最大の特徴である。掌打が一般的であるがプロレスでは、掌底(しょうてい)として認知されている。骨法の構えはあくまでも右半身(右肩が前)ではあるが対戦型格闘ゲームでは見栄えを優先しての左半身を採用したのでは無いかと思われている。

 奥島も骨法を習った理由は大好きなゲームキャラの武術に興味を持ったからである。

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 そこからは自分で調べて道場へ習い始め、次第にその魅力に惹き込まれていった。拳を痛めないのが気に入った理由の一つである。もちろん不良であっても譲れないマイルールがあり、集団リンチや自分からは手を出さない。売られた喧嘩買いますのスタイルは一切ブレないのが奥島だった。

 なので先輩が後輩をリンチしている現場に出くわした際は首謀者を突き止めて半殺しにした事もあった。西田とコンビを組んでいた際も切れそうに見える西田よりも奥島の方がキレたらと止まらないので、その暴走を止める役として先輩から頼まれていた経緯もあった。

 鶴居は骨法だという事は分かったがプロレスの知識以上の事は何も知らない為、凝視して情報を集める事にした。相手は親指の付け根を視点に、平行にしており、そこから1足分右足を前に出している事が分かった。

 手の位置は、細かい事は分からなかったが右手が前で左手が後ろの構えで左手は顔の近くにあった。特徴的なのは足の向きが正面ではなく時計の十一時の方向になっていた。 

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 只ならぬ雰囲気と底知れぬ恐怖が心の底から湧いて来ていた。こんな事になるなら格闘技おたくの山里から、詳しく聞いておけば良かったと思った鶴居。ジリジリと距離を詰められていくのを黙って見ているだけで良いのかの判断が分からなくなっていた。

 鶴居も黒崎と同様に打撃系の武術に力は注いでいなかったので国外で知っている武術と言えば幼少期から父親の影響で観ていたカンフー映画に登場する少林拳(蛇拳、蟷螂拳、酔拳)のみだった。打撃の起動が全く読めないのでカウンターを合わせるという選択肢は無い。

 かと言って初めて見る打撃を避けれる反射神経がある訳でもなかった。何より対戦型格闘ゲームで知っている骨法の構えとは余りにも違い過ぎて混乱していたのが正直な所だった。

「混乱してるか?」
「あぁ、初めて見る」
 鶴居は心理作戦という駆け引きに全く興味がなく自分で使うのは恥ずかしいとすら思うタイプだったが他人が使う分には関心は無かった。

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         32話<156~160P>  

33話は<161~165P>こちらから
1話は<1~5P>こちらから

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昌人っち(五十嵐 昌人) 父親(ドラクエマニア)から譲り受けた変速自転車(損傷)の部品交換代&おやつ代に当てたいと思います✨ あなたの応援が力になります! 

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