ルーツ旅【山形庄内地方⑦】なぜ母方の親戚はそんなに宗教好きなのか?
翌朝、大叔母のいる介護施設を訪ねました。大叔母と会うのはこれが初めて。ルーツ探しの旅に出なければ、一生会う機会はなかったでしょう。
▼大叔母は仏教徒だった
祖母の妹である大叔母は、かなりの高齢ですが、意思の疎通に問題はなさそうでした。小柄でほっそりして面長で、30年以上前に亡くなった私の祖母にそっくり。いつも和服を着ていた祖母と同じように、和服が似合いそうです。
おばが間に入ってくれたおかげで、私はすぐに大叔母と打ち解けました。小学生の娘も、最初はモジモジしていましたが、手土産のお菓子を一緒に食べるうちに笑顔になりました。
大叔母は娘のことを、まるで孫ができたみたいと喜んでくれました。連れて行ってよかった。
私は、大叔母と話すうちにふと、昨日訪ねた菩提寺のことを思い出しました。
お墓には、大叔母の名前が赤い文字で刻まれていました。これは将来、大叔母が亡くなったら、そのお墓に入るという意味です。大叔母は、すでに自分のために仏壇を買っているとも聞きました。
大叔母は、仏教徒なんだ……。
私には意外でした。そういえば、一族のお墓や菩提寺も、ごく普通の仏教のものでした。 山形の一族は、仏教徒だったのか。
なにを当たり前のことを言っているんだと思われそうですが、私にとって、親戚が仏教徒だというのは、決して当たり前のことではなかったのです。
▼祖母は20歳のときにひとりで家を出た
祖母がまだ20歳のとき、ある新興宗教(仮にA教とします)に入信して、家を出ました。山形から、ひとりで教団の本部のある京都に移住し、そこで祖父と出会って結婚したのです。
私は、なぜ祖母がそのような行動を取ったのか、理解できませんでした。祖母がそんなことさえしなければ祖父と出会わず、母が生まれて父と結婚することもなく、その後うちが大変なことになることもなかったのにと、ちょっと恨みがましい気持ちさえ抱いていました。
うちのゴタゴタの始まりは、そもそも祖母が20歳の時に家出をしたからだ。
と、ほとんど八つ当たりのレベルで、ずっと思っていたのです。
▼なぜみんな宗教に惹かれるのか
振り返ってみると、母方の親戚は、やたらと宗教が好きな人ばかりでした。
そもそも、山形から家出した祖母を、京都の祖父に引き合わせたのは、A教の上級信者だった曽祖父です。
なにが上級かというと、当時お金持ちだった曽祖父は、たくさん財産を寄進したので、指導者から特別扱いを受けていたのです。祖父母の結婚式の仲人も、その指導者でした。
祖父は若くして戦争で亡くなりましたが、その嫁である祖母はもちろん、長男であるおじもA教の神職だし、いとこもそう。おばは一時期キリスト教に入信したものの、年をとってからA教に鞍替えしました。私の母は特に目立った信仰はありませんでしたが、私が東京の大学に進学したあと、いつのまにか私の部屋にA教の神棚を作っていました。
あまり大きな声では言えませんが、親戚の中には、オカルト好きが高じて某カルト教団に入ってしまい、末端だったのですぐ抜け出せたものの、社会復帰に数年かかった人もいました。
私は声を大にして問いたい。
なぜあなたたちは、みんなそんなに宗教が好きなのか??!
(正直、いい加減にしてほしい……)
私は、もしかしたら、母方の宗教好きという体質もまた、ルーツに原因があるんじゃないかという気がしていました。そしてそれは、調査を進めるうちに後日、確信に変わることになります。
とりあえずこの旅では、大叔母との面会のあと、おばから、祖母の家出の経緯を知らされることになります。
(つづく)
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