【犯罪】『カオス:マンソン・マーダーズ』エロール・モリス🔪|映画感想文|遠山雅彦
基本情報
監督:エロール・モリス
タイトル:カオス:マンソン・マーダーズ
上映時間:1時間36分(2025年)
ジャンル:ドキュメンタリー
出演者・キャスト:-
年齢制限:16歳以上(暴力)
概要・あらすじ
1969年8月、カルト指導者チャールズ・マンソンによる命令で、信者たちが7人を殺害する事件が発生。
赤の他人を殺した動機は何か。洗脳やCIAの実験などの闇にも迫ったドキュメンタリー。
ランク・おすすめ度
SSSランク:名作・名店級におすすめ
SSランク:超絶おすすめ
Sランク:超おすすめ
Aランク:おすすめ
Bランク:ちょいおすすめ
感想・おすすめポイント
殺害当日の様子がよく分かる
CIAによるMKウルトラ計画との関係
何年も解けない洗脳の恐ろしさ
本作は、信者たちに殺人を実行させたカルト指導者チャールズ・マンソンに迫ったドキュメンタリーです。
1969年8月9日、当時妊娠8か月半の映画女優シャロン・テートを含む5人が惨殺される事件が発生。
被害者5人の刺し傷は計100を超えており、玄関先には「Pigs(ブタ)」とテートの血で書かれていました。
翌日にはロサンゼルスに住むラビアンカ夫妻が殺害され、この事件でも「Rise(立ち上がれ)」「Death To Pigs(ブタに死を)」「Helter Skelter(ヘルター・スケルター)」などのメッセージが残されていました。
最初のシャロン・テート事件ではナイフ3本と拳銃1丁を手に、4人の信者たちがベネディクト・キャニオンにあるシャロン・テートの自宅に向かいます。
まず、たまたま家の管理人と会っていた若者スティーヴン・ペアレンターを至近距離から4発撃ち込んで殺害。
窓から自宅に侵入した後、ソファで寝ていた映画監督ロマン・ポランスキー(シャロン・テートの夫)の友人・フライコフスキーを起こし、「俺は悪魔の仕事をしに来た」と銃を突きつけます。
その後に次から次へと殺害していき、テートが子どもの命を助けてと懇願するものの、信者の一人は「あんたも赤ん坊もどうでもいい」「あんたが死んでも何も感じない」と答え、結局仲間とともに何度も刺して胎児もろとも殺害。
ラビアンカ事件では、マンソンは事件前に「昨夜はメチャクチャだったから、今夜は一緒に行き、やり方を教える」と信者たちに伝えます。
その後に車で一緒に移動して自宅へと侵入し、信者たちは夫妻を後ろ手に縛り、最初に夫レノ・ラビアンカを刺殺。
妻・ローズマリーは夫のうめき声を聞き、夫の名前を叫びはじめるものの、結局腰辺りを16回ほど刺されて殺害されます。
犯行の残忍さ以外にも、CIAが1953〜1964年に行っていたといわれるMKウルトラという極秘作戦との関係が印象的。
MKウルトラ計画(作戦)とはCIAによる洗脳実験で、当時CIAは洗脳などによりプログラム化された暗殺者を求めていたと指摘しています。
被験者に同意なくLSD※を投与していた可能性があり、マンソンが治療を受けていた診療所との怪しい関係が取り上げられています。
※「リゼルグ酸ジエチルアミド」の略で、幻覚作用を持つ薬物
またマンソンはLSDを与えながら説教し、自分の哲学を吹き込んでいく手口を用いており、信者たちは誤った考えを修正するのに何年もかかったそうです。
信者・アトキンスは「彼が頭から離れない。忘れることができない。彼の思考が私を支配し、頭から離れない」と語っており、洗脳の恐ろしさも感じられます。
全体を通して、テート・ラビアンカ殺人事件で起きたことが分かりやすいほか、単純な殺人事件ではなく、ヒッピー文化※1やCIAの洗脳実験、ブラックパンサー(党)※2なども絡み合った悲劇なのかもしれないと感じられますね。
※1:1960年代後半のアメリカを中心に、既存の社会体制や価値観に反抗して生まれた文化運動
※2:1960年代後半から1970年代にかけて、アメリカで黒人民族主義運動・黒人解放闘争を展開していた政治組織
なお、本作には他にもテート・ラビアンカ殺人事件を起こした動機や、マンソンが国に利用された操り人形だった可能性などが紹介されています。
