第9回 問題社員に「訴えますよ」と言われた話
このnoteは、2027年1月~3月に商業出版が
決定した一人の男の挑戦の記録である。
仕事に関する情報発信をせず、
現場での実践を重視してきた男が
なぜ出版することを決意したのか、
そして原稿を書き、1冊の書籍が形になるまで
のプロセスをノンフィクションとして
余すところなく記したものである。
※ 毎週水曜日に公開
第7回の俺は両党使いの男で
私は労働問題対応と組織人材開発の
2つの専門分野の仕事をいている
ということを書きました。
労働問題対応とはどのようなことをやっているかを
お伝えしようと思います。
「この社員をどうすればいいでしょうか。」
こうした相談は珍しいものではありません。
仕事ができない。
周囲とトラブルばかり起こす。
会社のルールを守らない。
注意しても改善しない。
多くの会社は辞めてもらいたいけれど具体的に
どうすればいいか分からないので何もしないで
放置しています。
社長がこのままだとマズいと思い、
私に相談をしてくるのです。
私は概要を聞き、具体的な対応策を提示します。
必要があれば問題社員との面談にも同席します。
私は大声で怒鳴るとか、今すぐ辞めろといった
発言はしませんが、問題のある行動を指摘します。
これが問題社員にとってはけっこうキツいようです。
「Aさんがやっていることで会社に
このような影響が出ていますが、どう思いますか?
これは直してもらわないと会社としても困るんですよ。」
といった感じです。
私が一方的に話すのではなく、問題社員の言い分も聞きます。
中にはその場で怒ったり、泣いたりする人もいます。
面談が終わって数日後、社長からこのような連絡を頂くことも
あります。
「Aがあの面談はパワハラなのではないか?
もう受けたくないと言っています。」
世間では本人が嫌だと思ったらパワハラに該当する
と思っている節がありますが、そんなことはありません。
でも多くの人は問題社員であっても
「これってパワハラじゃないですか?」
と言われると躊躇します。
私は過去にハラスメントに関する書籍を
出版していますし、労働問題対応の専門家ですから
パワハラになるようなことはしません。

2回目以降の面談で
「あなたを訴えますよ。」
と言われたこともあります。
初めて聞く人は驚くかもしれませんが、
問題社員対応をしているとそれほど珍しいことではありません。
会社が注意をしたり、指導をしたり、
配置転換や処分を検討したりすると、
その社員は自分を守ろうとします。
そのときに出てくるのが
「訴える」という言葉です。
ただ多くの場合は、
本当に訴える準備が整っているわけではなく、
「圧力」として使われていることが多いです。
社長の中には、この言葉を聞いた瞬間に
動きが止まってしまう人もいます。
「訴えられたらどうしよう」
「会社が負けたらどうなるんだろう」
そう考えてしまい、
それまで進めていた対応をやめてしまうのです。
しかし、ここで大事なのは冷静に状況を見ることです。
会社が適切な手順で対応しているのであれば、
「訴えますよ」という言葉だけで
すべてを止める必要はありません。
むしろそこで止まってしまうと、
組織全体に別の影響が出ます。
真面目に働いている社員が
「あんな問題社員を会社は放置しておくのか」
と会社に対して不信感を抱くことがあります。
そうなると、まともな社員はバカバカしくなって
辞めていくこともあります。
問題社員がい続けることで職場の空気も
確実に悪くなります。
私は問題社員対応をするとき、感情で判断しない
ようにしています。
その人を好きか嫌いかではなく、
組織にとってどのような影響があるのか。
その一点で考えます。
問題社員対応というのは、
決して気持ちのいい仕事ではありません。
相手から反発されますし、
「訴えますよ」と言われることもあります。
それでも対応を続ける理由は、組織全体のことを
考えているからです。
会社というのは、多くの人が働く場所です。
一人の問題社員を放置することで、
周囲の人が疲弊してしまいます。
大事なのは真面目に仕事をしてくれている社員です。
だからこそ、難しい問題にも向き合う必要があります。
問題社員対応は、法律の知識だけで解決できるもの
ではありません。
人間関係、感情、組織の力関係など、
さまざまな要素が絡みます。
そのため簡単ではありませんが、
避けて通ることもできないテーマです。
これまで多くの現場で対応してきましたが、
一つ言えることがあります。
問題は、放置すると必ず大きくなります。
だからこそ、早い段階で対応ことが大切です。
私は人事に関する仕事は人間の良い面と悪い面を
知っておくことが大事だと考えています。
物事は表と裏を知ることで本質的な対応ができる
と思っているからです。
