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私は、あまり後悔はしない方だ。
どうせなるようにしかならないからだ。
が、
自分にはどうしようもないことで、
人生が変わったようなイベントにおいては、
時々、あれがなかったら、とは思う。

一番大きかったのは、
昔いた税理法人で、経理担当者の中年女性が、
ランチの時などを利用して、
みんなの給与を親しい人たちにバラしていった
という事件だ。

自己承認欲求の塊である。
情報を用いて人の上に立とうとする心理。

経理の風上にも置けない、倫理観も何もない所業である。
経理や人事はお局化しやすい。
それは、企業の機密情報に触れられるのは自分だけという
環境において、自分だけが特別であるという意識を持ちやすいためである。

経理や人事担当が一人職場のところは特にそうであろう。
ブレーキがないのだ。

その情報を聞いたのは、基本的に無資格の女性社員だ。
その事務所は、有資格者の男性社員のもとに
無資格の女性社員が担当でつく、
というのが基本的な体制だった。

当然、税理士資格や社労士資格の有無によって、
給与も異なる。
資格手当というやつだ。
が、資格があるからと言って必ずしも仕事が完璧にできるかというとそうではない。

私もその渦中にいた。
まだ、社労士として自信のなかった私は、
右も左もわからなかった。
実務と共に、企業のハウスルールさえまだ覚束なかった。

そんな中である。
「あいつがこんなに給料もらっているのはおかしい」
という話が、
私をはじめ、様々な人に向けられたのである。

事務所は疑心暗鬼の坩堝と化して行った。
当然、私も、疑心暗鬼となった。

そこからだ。
私が事務所の先輩にキツくあたられるようになったのは。
先輩は、無資格、私は有資格者。
給与格差もある、経験はあちらの方が上だ。
それが悔しかったのであろう、
仕事を教えてもらえなくなり、
私は自分で調べながら、
仕事を覚えて行ったのだが、
自分で調べると「私に聞け」、
聞きに行くと「自分で調べろ」、
という理不尽な扱いを受けるようになった。

挙句、それを代表が耳にして、
「あなたは、有資格者なのに仕事が遅いし
ミスが多いから、給料を減らしたい、
こんな業務もこなせないなんて、社労士向いてない」
という話になった。
私は絶望しつつ、当然拒絶した。

そんなところにいる価値など微塵もなかった。
なぜ、私がこんな目に遭わないといけない、
という怨恨が私の中でどす黒く渦巻いた。
心身が侵されつつ、
誰も信じられない世界の中で、孤独に業務をしていた。
それが全員に、悪くとられたのだろう、
レクリエーションさえも、一人でいく羽目になった。

一方で、その経理担当者はというと、
正式な懲戒がなされる前に辞めることが決まった。
やり逃げである。

こんなことがあり、
私はガバナンスが機能してない組織、
というのを酷く嫌悪するようになった。
私も深く傷ついたし、人間不信に陥った。
絶対に報復すると誓い、その通りに報復した。

あの一件がなかったら、
私の人生はもう少しイージーモードだったろうか。
社労士としての自信を積み重ねていけただろうか。
自分が社労士をやっていていいのだろうか、
社会福祉士に戻った方が良かっただろうか、
と思うこともなかっただろうか。

が、あの一件があったからこそ、
私自身の視野が広がったと思えばいいのだろうか。
あまりにも高い代償だったため、
これについては、未だ完全に消化しきれていない。

歴史にifはないとしても、だ。


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ご清読ありがとうございました。

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