「足枷旅」第一章 ~第三章
第一章:冬の始まりと、新たな計画
時は2025年12月。
少しずつ涼しく、いや、肌寒くなってきたこの季節。アレルギー反応も少なくなって過ごしやすいから、僕は一年の中でもこの冬という季節が結構好きだ。
毎日の仕事は相変わらず、夜勤ありの変則勤務。
けれど、それは僕にとってむしろ都合が良い。なぜなら、通勤の回数をぐっと減らすことができて、日頃の家事をちょうどいいリズムでこなせるからだ。しかも、計画次第では比較的まとまった連休だって作ることができる。
家内が他界して、もうすぐ5年。
娘たちもそれぞれに成長してきた。
そろそろ、自立した老後について、自分自身のことを本気で考えていかないといけないな――。
そんな思いがふと頭をよぎり、まずは現実的な一歩として、積立NISAも始めてみた。
足元をしっかりと固め、ここから人生の後半戦が本格的に始まっていく。
そして、僕は新たな計画を始める。
豪華な旅をするつもりはない。あえて自分にルールを課し、その制約の中で全力で遊ぶ。僕は、この旅を「足枷旅」と名付けた。
第二章:受け継がれた朝食と、ハワイの夢
この頃、僕の朝食のメニューは決まっていた。
食パンにハムを乗せ、その上にカットキャベツを敷き詰めて軽く塩コショウ。マヨネーズを回しかけたら、スライスチーズを乗せてトースターへ。それにヨーグルトと、淹れたてのコーヒー。
朝から少し手間のかかるメニューだが、これは亡き家内がいつも作ってくれていた、我が家の定番料理だった。
「朝食べないとパワー出ないんだよなぁ。いってきまーす!」
そう言って、娘は元気に家を飛び出していった。
昔の話だが、かつて暴飲暴食を繰り返していた僕の健康と、家族を守ってくれたのがこのメニューだった。僕は今も、その味をそのまま引き継いでいる。
家内はいつも穏やかで、2人の娘を溺愛していた。
特に派度に着飾るわけでもなく、自然体でありながら、どこかキレイな人だった。
家事の負担を減らしたかったのか、それともただの好物だったのか、豪華な外食よりも、モスチーズバーガーや月見バーガー、のり弁当といったファストフードを愛する、チャーミングなタイプでもあった。
「いつか、また家族で、新婚旅行で行ったハワイに行きたいね」
それが、彼女の夢だった。
僕たちは人生の後半戦で、一緒にたくさんの旅行を楽しもうと約束し、それに合わせて家計をやりくりしていたのだ。
しかし、人生は思い描いた通りに進むとは限らない。むしろ、少しずつ、決定的にズレていく。
約束したはずの未来は、もう来ない。
だから――僕は、独り旅を覚えることにした。
第三章:計画の始まりと、足枷のルール
まずは計画を練ろう。
どんな旅にしたいか?
イメージを膨らませるために、まずは旅系のYouTubeを色々と観てみることにした。
その中で、僕の目が一番釘付けになったのは「西園寺チャンネル」だった。
彼の放つ、あの独特な世界観。勝手ながら、どこか自分と通ずるものを感じてしまったのだ。よくよく調べてみると、なんと彼も同じ市内に住んでいるらしい。一気に親近感が湧いた。
「よし、この感覚を参考にさせてもらおう」
手始めに、次の平日に控えている3連休を使い、1泊2日のプランを練ってみることにした。
まずは、旅を最高に楽しむためのエッセンスとして、自ら「足枷のルール」を作ってみる。
今回は豪華な旅じゃない。予算をギリギリまで絞りながら、その中でいかに楽しさを最大化できるかというミッションだ。
相棒となる切符の候補は二つ。
「JR東海☆冬の乗り放題きっぷ」か、それとも名鉄などを駆使する「3・3・SUN デジタルフリーきっぷ」か。
主に名古屋方面が舞台になりそうだが、このどちらかの切符を手に入れた瞬間、僕の新しい旅が始まる。
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