「足枷旅」第四章〜第五章
足枷旅エッセイ:第四章〜第五章
第四章:面白いか、めちゃめちゃ面白いか
どちらを選ぶ?
高名な鉄道YouTuberの言葉を借りるなら、どっちを選んでも「面白いか?めちゃめちゃ面白いか」の二択でしかない。
今回の僕のミッションは1泊2日。共通する条件は、早朝出発、基本は普通電車移動という「時間がかかる旅」だ。もちろん、ポイントを押さえて観光もグルメも全力で楽しむが、万が一の遅延やトラブルは、すべて自己責任で解決しなければならない。
【エントリーナンバー1】「JR東海☆冬の乗り放題きっぷ」
これを使う場合、京都〜米原間の行きに新幹線を噛ませる必要がある。目指す旅の終着駅は、遥かなるJR甲府駅。
【エントリーナンバー2】「3・3・SUN デジタルフリーきっぷ」
近鉄、名鉄、南海(今回は出番なし)を跨ぐ広大な私鉄ネット網。少し厄介なのは、これが「QRコード」のデジタル切符だということ。つまり、QR対応改札がない駅では、そもそも乗り降りすらできないという現代的な足枷(バグ)が付いてくる。目標は名古屋方面。
細かなルールは山ほどあるが、僕の脳内に叩き込む情報はこれくらいで十分だ。
さあ、どちらにする?
実は「JR東海」のルートは、かつて娘とのふたり旅で使った経験があった。あの時の記憶が頭をよぎる。
んー、どうする。
……よし、新しいことにチャレンジしてみよう。
現代のバグをハックする旅。
「3・3・SUN デジタルフリーきっぷ」に、決めた。
第五章:地図のピンと、看板娘
「3・3・SUN デジタルフリーきっぷ」に、決めた。
ここからはスピード勝負だ。僕は普段から、スマホの地図アプリに「いつか行く、気になる場所」をひたすらピン打ちしている。僕のGoogleマップは、欲望の足跡で溢れかえっている。
実は、今回の目的地は最初から決まっていた。
もちろん陸地で繋がってはいる。けれど、普通に生活していれば、JRを使おうが車で高速を飛ばそうが、僕の人生の導線上で訪れる機会はまずない、そんな場所だった。
しかも、そこには「なるべく早く行かなければならない」という、妙な焦燥感に似た思いが、僕の背中を押し続けていた。
目指す場所は、愛知県西尾市。
そこにある「盛華堂」という、一軒のお団子屋さんだ。
もちろん、名物のお団子を口にするのも大きな楽しみのひとつではある。
けれど、僕がわざわざこのマニアックなフリーきっぷを手に入れ、足枷をはめてまでこの場所に引き寄せられた本当の理由は、他にある。
僕は、そのお店の「看板娘さん」に、どうしてもお会いしたかったのだ。
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