from 図書館返却本棚 その31 「生成AIで映画を作ってみた」 Creative.Edge 後編
はい、ということで前回からの続きです。
第3章 生成AIを駆使した自主映画制作のワークフロー
想像以上に煩雑なワークフロー
生成AIならではの問題があります。
今使っているAIサービスがずっと使えるとは限らないということだ。
つい最近でもChatGPTが4.0から5.0になって、あちこちから悲鳴が上がるという事件がありました。
本来無料アップデートは歓迎すべきものですが、生成AIにはユーザーが「手塩にかけて育てる」という一面があります。
それがアップデートで継承されないとパニックが起きるわけですね。
趣味で使っているならまだしも、仕事や映画作りのような長期に渡って一貫性が要求されるプロジェクトの場合には、常にそれに対応できるような体制づくりが求められるということになります。
一貫性を保持できない問題にどう対処するか
一貫性の問題は生成AIを使う上でかなりの制約となります。
私レベルの使い方ですら、noteの見出し画像をGeminiに作ってもらう際に、記事の前編と後編で微妙に画像(人物の服とか髪型とか)が違ってしまうことがよくあります。
というかほぼ確実に変わってしまいます。
(私の場合はあんまり気にしないけど)
ちなみに今回この記事のために生成したAI画像その1。

これを同じプロンプトで、カメラアングルだけ変えて描いてと命じて生成されたのがコレ。

プロンプトは「人間の映画監督とスタッフ及び出演者はロボットで」的なものだったのですが、コンセプトは同一でも、キャラデザから背景から見事に全部変わってしまってます。
noteの見出し画像くらいならいいけど、映画でこれでは困るわけです。
そこで著者は、一旦生成AIでキャラクターや背景の3DCGを作成し、そのCGのアニメイトを生成AIに命じるという手法ととったとのこと。
これもこうやって書く分には簡単ですが、いざやってみると大変な作業だったことが予想できます。
ただし作りたいのはただのCG動画ではなくあくまでも「映画」なのだから、絶対に必要な工夫だったと思われます。
追記:最近のGeminiのアップデートでこの一貫性の問題を解決したnano bananaという画像生成機能が追加されたようです。
第4章 一挙公開!自主映画「COLORS」の制作ノウハウ
始まりは好奇心
すべての始まりは、著者自身が「AIに関心を持ったこと」から始まっています。
でもその可能性に心を奪われたとき、まさかAIだけで一人で映画を作ることになるとまでは予想してなかったといいます。
だが心の何処かでその可能性が十分にあることは感じていたのではないでしょうか。
この自主映画制作は、AI(技術)と映画(芸術)がどこまで融合して新しい映像表現が生み出せるのかどうかという壮大な実証実験なのだと著者は言います。
以下この章では、AIによる自主映画の制作ノウハウが多数のビジュアル資料を用いて紹介されています。
私の記事としては紹介は省略しますが、AIでの映像表現に関心のある方ならば、非常に参考になると思われる部分です。
第5章 一人で継続的に映画を制作する未来
ハイブリッド・ストーリーテリング
この部分が、私にとって本書における最大のハイライトなる予感がしました。
したがってまずはその定義を引用します。
ハイブリッドストーリーテリングとは、生成AIの膨大な情報処理能力やパターン生成能力と、人間の持つ感性、直接的理解、批判的思考、幅広いインプットによる深い洞察力を融合させることによって、従来の生成AIでは生み出せない、独創性、哲学性、感情的に深みを併せ持ったストーリーを創出する方法論である。
ではどのようにしてそれを実現させるのでしょうか。
1 過去20年間で高い評価を得た作品(この作品の場合は「1話完結型の法執行機関モノドラマ」)を中心に、その構成技法、キャクター描写、事件の設定方法などを分析させる(Deep Resarch使用)
2 代表的な作品は実際に視聴して、著者の感性に響く部分を抽出する
……実はここから先の詳細な説明はありませんでした。
おそらくそれは「秘中の秘」だからであり、著者自身もまだ試行錯誤中だからではないかと推測します。
ただしヒントはすでに第二章で書かれています。
このあたりはもうちょっとまとめて書いてあったらわかりやすかったと思いました。
それはさておき、ポイントはとにかく「AIだけに頼らない」ということでしょう。
AIに過去作品の分析をさせてそれらを換骨奪胎したフレームを取り出すのはいいのですが、そこにどのように味付けしていくのかというのが人間の仕事になるのだということです。
映像制作に挑戦したいと考える皆さんへ
ここには映像制作者のみならず、AIを用いて何らかの創作をしようというすべての人々(私も含む)に向けた行動指針が示されていました。
それは
可能な限り「小さな目標」にして「作りながら学ぶ」こと
AIはまだまだ万能機械ににはほど遠い。
だから期待し過ぎは挫折の元です。
だが進化の速度も尋常じゃない。
だからじっくり学んでから行動では間に合わない可能性が高いのです。
故に「小さいものを作りながら学べ」という結論になります。
とにかく簡単なアイデアを形にすることから始めましょう。
例えば映画を作りたいならば「紙芝居」から始めることを著者はすすめています。
まとめ
映像表現に限らず、AIで何かを創作しようとする人に夢と希望を与える素晴らしい一冊でした。
私もAIで何か作りたい人間の一人です。
でも現状、たまにnote記事の構成を考えてもらうくらいのものでした。
「そんな私でも何か作っても良いのかもしれない」と背中を押される感覚を味わえた、というのが読後感のまとめです。
そして久々に「図書館で読んでごめんなさい」の気分になりました。
これはそのうち購入せねば!!
(といいつつもセールを待つ私なのでした。汗)
