オメガ3と乳酸菌をやめて、4つだけ飲んでいるサプリの話
「先生、サプリ死ぬほど飲んでそう」
医者で、筋トレもしていて、論文も毎日読む。最近は食物繊維のためにキウイを皮ごと食べるキウイ芸人みたいになっている。そういう人間は、サプリのボトルを何十個も並べていると思われがちだ。
昔は、まさにその通りだった。カラフルなラムネみたいに、いろんな色のカプセルを毎日ぽりぽりやっていた。
一番ひどい時期は、飲んでいたサプリが30個あった。NMN、レスベラトロール、クレアチン、タウリン、ビタミンD、ビタミンC、オメガ3、乳酸菌、亜鉛、マグネシウムL-スレオネート、ロディオラ、コラーゲン、コエンザイムQ10、ホスファチジルセリン、アシュワガンダ、アルファリポ酸、ベルベリン・・・。飲んでいるサプリだけで山手線ゲームができる。
学会の時に、白い粉末を3種類のジッパー(トレ前、後、寝る時、と書いてある)に入れて持ち歩いていた。それを見た友達から、ヤバい薬でもやっているのかと本気で心配された。
睡眠、脳、筋肉、腸、老化。こういう言葉がサプリの説明に並ぶたびに、試してみたくなる。医学論文を読むほど、逆にサプリは増えていった。
でも、今はかなり少ない。
いろいろ試していると、逆にわかってくることもある。これは自分にはあまり変わらない。これは食事で足りていそう。これは上乗せするメリットより、過剰のリスクのほうが気になる。
そうやって少しずつ削っていって、30個から4個まで減った。
今回の記事では、今も残している数少ないサプリと、逆にやめたものについて書く。オメガ3が悪いとか、乳酸菌が全部ダメという話ではない。ただ、自分の食事や体感、リスクを考えると、毎日サプリで足す必要はないと判断した。
サプリは、足すより削るほうが難しい
サプリは、足せば足すほど健康になるものではないと思っている。むしろ大事なのは、 何を飲むかより、何をやめるか。 そして、残したものについて理由を言えるか。
「健康にいいかもしれないもの」を全部足していくと、サプリはどんどん増える。でも、毎日飲むものが増えるほど、一つ一つの意味は曖昧になっていく。
だから、この記事も残したものより先に、やめたものから書く。足す時より、やめる時のほうが自分の基準がはっきりするからだ。
自分の中で、やめるかどうかの基準はだいたい3つ。食事でかなり代替できるか、飲んでも体感がほとんどないか、上乗せで過剰や副作用のリスクが気になるか。このどれかに当てはまるものは、やめる候補になる。
オメガ3はやめた:魚を食べるなら上乗せしない
以前はオメガ3(EPA、DHA)を神サプリだと思ってせっせと飲んでいた。
EPAやDHAは大事だ。魚をあまり食べない人、脂質異常症がある人、医師の指示で使う人には意味があると思う。オメガ3を飲んだほうがいいのか自体は、以前の記事で最新の研究から考えた。
だから、オメガ3そのものを否定したいわけではない。ただ、自分はやめた。
やめた時に考えたのは、かなり単純だ。自分は魚をけっこう食べる。寿司も食べるし、焼き魚も食べる。サバ缶も好き。日常的に魚を食べるほうだ。
それなのに、さらにカプセルでオメガ3を毎日上乗せする必要があるのか。ここに少し違和感が出てきた。
魚を食べることと、サプリでその一部の成分だけを上乗せすることは同じではない。
魚にはEPAやDHAだけでなく、タンパク質、ビタミンD、ビタミンE、セレン、ヨウ素、アスタキサンチン(サーモンとか)なども含まれている。食事として魚を食べることと、カプセルでEPAやDHAだけを足すことは、体験としても栄養としても違う。
しかも、魚の中ではこうした成分が、ただ一緒に入っているだけではない。オメガ3はとても酸化しやすいけど、アスタキサンチンやビタミンEのような抗酸化物質が、その酸化を抑える側に回っている。ところが、EPAやDHAだけを抽出してカプセルにすると、その天然の守りは基本的についてこない。同じ成分でも、丸ごとの魚とオメガ3単体とでは、まわりがまるで違う。
もう一つ気になったのが、不整脈だ。
特に高用量のオメガ3で心房細動リスクが上がる可能性がメタ解析で指摘されている。また、摂取量が多いほどリスクが大きくなる可能性も報告されている。¹⁾²⁾
オメガ3は、細胞膜を柔らかくする方向に働く。これは基本的には良い作用でもある。
ただ、心臓は電気で動いている臓器だ。心筋細胞の膜の性質が変わると、膜電位、つまり電気の立ち上がり方や戻り方にも影響する。なので、オメガ3を高用量で入れすぎると、心臓の電気系が少し過敏になりすぎる可能性がある。そのあたりが、心房細動リスク上昇の一つの説明として考えられている。
高用量オメガ3で心房細動リスクが上がるというデータがある以上、 「体にいい油だから、たくさん飲めば飲むほどいい」とは考えない方がいい。
自分の場合、魚は食べている。そこにサプリでさらにEPAやDHAを足す必要性は低い。しかも、高用量では心房細動リスクの話もある。だったら、やめていいと判断した。オメガ3が悪いわけではない。でも、自分の場合は 「サプリで足す」より「魚を食べる」で十分 だと思っている。魚がどうしても苦手な人であれば、良質なオメガ3を少量取るのはアリだとおもう。
乳酸菌もやめた:腸活は菌よりエサ
乳酸菌サプリも、今はやめた。
これも、乳酸菌が全部ダメという話ではない。プロバイオティクスが特定の状況で役に立つことはある。
ただ、日常の腸活として、毎日飲み続けるものかと言われると、自分の中では優先度が下がった。
腸活というと、どうしても「良い菌を入れる」という発想になりがちだ。乳酸菌を入れる、ビフィズス菌を入れる、腸に良い菌を足す。わかりやすいし、商品にもなりやすい。
でも、自分は今、腸活の本質はそこではないと思っている。
以前の記事でも書いたが、腸内細菌は「この菌だけ増えれば勝ち」というものではない。
腸に関しては、 天下統一より戦国時代のほうが望ましい。

一つの菌が天下を取るより、いろいろな菌が競争したり、助け合ったり、代謝物をやり取りしたりしている状態のほうが、腸の生態系としては自然だ。
だから、乳酸菌を一種類足すより、いろいろな菌が育つエサを増やす。自分は今、そちらを優先している。
そもそも、健康な日本人の腸を見ても、乳酸菌が主役という感じではない。³⁾野菜や果物をたくさん食べている人の腸も、乳酸菌だらけになるわけではない。
つまり、「腸活=乳酸菌を増やすこと」と考えるのは、少し単純化しすぎだと思っている。
本当に増やしたいのは、食物繊維を分解して、腸に良い代謝物を作ってくれる多様な菌たちだ。
そのために必要なのは、乳酸菌サプリを一種類足すことより、菌のエサを増やすこと。
野菜、果物、豆、海藻、きのこ、ナッツ、全粒穀物。そういう無加工に近い食品から、できるだけいろいろな種類の食物繊維やポリフェノールを入れる。
植物性食品の種類が多い人ほど、腸内細菌の多様性が高い傾向があるという報告もある。⁴⁾
それに、プロバイオティクスも完全にノーリスクではない。
健康な人が過度に怖がる必要はない。ただ、免疫が落ちている人、重い基礎疾患がある人、人工弁や心臓弁膜症がある人などでは、まれに乳酸菌による菌血症や心内膜炎の報告がある。⁵⁾⁶⁾
「食品だから安全」「良い菌だから安全」「毎日飲むほど良い」と単純に考えるのは違うと思っている。自分の場合、乳酸菌を飲んでも、正直あまり変わらなかった。お腹の調子が劇的に良くなるわけでもない。肌や睡眠が変わるわけでもない。
サプリをやめて浮いたお金は野菜とフルーツを買うことにした。キウイを皮ごと食べる。冷凍ベリーを買う。きのこを増やす。海藻を足す。いつも買わない野菜を一つ買う。豆やナッツを少し足す。最近ハマってるのはオクラ。ネットに入れたまま簡単に洗えて、生でボリボリ食べられる。
やっていることは地味だ。でも、腸活はたぶんそのくらい地味なほうがいい。
菌を足す前に、菌のエサを増やす。
マルチビタミンは、あえて少なめ
マルチビタミンも一応飲んでいるけど、あえて量を少なめにしている。規定量のだいたい1/3くらいの量。(ThorneのMultivitamin Eliteという高品質なものを飲んでいるんだけどかなり長持ちするから財布にも優しい)
なぜ少なめにしているか?ビタミンやミネラルはもちろんとても大事だ。不足すれば問題が出る。でも、だからといって、全部を高用量で毎日入れればいいわけではない。

食事、プロテイン、栄養強化食品、そしてマルチビタミン。こうやって重なると、「不足を補っているつもり」が、いつの間にか「何かだけ過剰」になることがある。⁷⁾そして、さまざまなビタミンの過剰が逆にがんのリスクを上げたりよくないことを起こすことが報告されている。だから、欠乏は防ぐ最低限の量は取るけど、過剰になることは避けたい。
だから、自分はマルチビタミンを主役にしていない。飲むとしても少量。保険として薄く敷くくらい。全部入りを飲んで安心するより、 食事の偏りを見直すほうが先 だと思っている。
ここまでが、今の自分が「やめたもの」と「減らしたもの」だ。
オメガ3はやめた。乳酸菌もやめた。マルチビタミンは、かなり少なめにした。冒頭に書いたサプリもほとんどやめた。
では、削ったあとに何が残ったのか。
ここから先では、今も毎日飲んでいるサプリ4つを紹介したい。
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