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筋トレも有酸素も最高だ。でも全部はできない人へ|時間がない人の運動配分

筋トレは最高だ。有酸素も最高だ。どちらも健康にいい。
でも、時間も体力も限られている。全部を全力でやろうとすると続かない。

健康長寿と強く関連するのが 心肺機能(VO2max)と筋力だ。この二つは鍛え方が違う。心肺機能を伸ばす主役は有酸素、筋力を伸ばす主役は筋トレ。一つの運動で両方を十分に伸ばすのは難しい。

では、忙しい現代人は限られた時間を何に振り分ければいいのか。

自分は、タテ軸に筋力、ヨコ軸に心肺機能をとって考えている。長生きは、その2本でできた四角形の面積みたいなものだ。 片方だけ伸ばしても、もう片方が低ければ面積は広がらない。

自分が考えてきたのは、その四角形を限られた時間でどう広げるかだ。 トレーニングのポートフォリオを組む話でもある。何を足すかだけではない。どこから削るかまで決める。


筋トレは週2時間で、おいしいところが取れる

2026年6月、British Journal of Sports Medicineに大きな研究が掲載された¹⁾。ハーバード大の三つの長期追跡データを使い、約14万人を最長30年追った。亡くなった人は3万6千人ほど。

筋トレを週90分から2時間弱していた群では、

  • すべての原因による死亡(全死亡)が13%低下。

  • 心臓や血管の病気による死亡は19%低下

  • 神経の病気による死亡は27%低下。

この研究では、週2時間を超えても死亡との関連にさらなる上乗せ効果はなかった。つまり、2時間でリターンは頭打ちということだ。(ただし、あくまで観察研究なので、「週2時間やってもムダ」と証明したわけではない。)

過去の研究でも、週30分から2時間ほどの範囲で死亡が少なく、それ以上増やしたときの上乗せ効果は小さかった、という結果は一貫している²⁾³⁾⁸⁾。

忙しい人には、ここが大事だ。少なくとも死亡との関連だけを考えるなら、筋トレだけに2時間以上時間を割く必要はなさそうだ。もちろん、筋肉を大きくしたい人や競技力を伸ばしたい人、筋肉を愛している人にとっての最適量は別になる。

筋肉の量だけでなく「力」も意識する

健康診断やジムで気にされるのは、たいてい筋肉の「量」のほうだ。ただ、実は筋肉の「力」と寿命の関連もかなり強い。

約200万人の解析では、握力が強い人たちは全死亡が31%低かった⁴⁾。もちろん、筋肉量の少なさも死亡と関連する⁹⁾。筋肉量に意味がないわけではない。でも、筋肉の量だけでなく、実際にどれだけ力を出せるかも意識したい。 詳しくは腕立て・握力と寿命の記事に書いた。

2025年の研究では、力を素早く出す能力も死亡と強く関連していた⁵⁾。椅子からパッと立つ。つまずいて踏ん張る。あの速さだ。単一の研究なので結論は急げないが、健康目的なら重さだけでなく、フォームを保ったまま素早く力を出す動きも少し取り入れたい。

心肺機能は、上限が確認されていない

筋力と並ぶ、もう一つの柱が心肺機能だ。詳しい説明は前の記事(VO2maxと寿命の記事)に書いた。筋力と心肺機能を両方測った研究では、片方だけ高い人より、両方高い人のほうが亡くなる人が少なかった⁶⁾。

2018年の研究では、運動負荷検査を受けた12万人を心肺機能で5群に分けた。最上位群は、年齢と性別ごとの上位約2%にあたる人たちだ。

以前の記事でも触れたように、 心肺機能が最上位群の死亡リスクは、最下位群より約80%低かった。逆にいうと、最下位群の死亡リスクは最上位群の約5倍だった。最上位群は、1つ下の高体力群と比べても死亡が少なかった⁷⁾。

心肺機能が最上位群の死亡リスクは、最下位群より約80%低かった。

この研究では、心肺機能が高い群ほど死亡が少なく、測定された範囲で頭打ちは見つからなかった。(これも観察研究なので、有酸素を増やせば必ず長生きするという意味ではない。やりすぎた時のデメリットは後述。)

健康なまま65歳を迎えた人を追った2026年の別の研究でも、心肺機能が高い人ほど、病気を抱えずに過ごせる期間(健康寿命)が長かった¹¹⁾。

筋トレの研究は「運動時間」、心肺の研究は「体力」を調べている。両者を直接比べた研究ではない。それでも、自分はこう考えている。 筋トレを週2回以上続けているなら、追加の時間は心肺に使う。筋トレは一定量を超えても、死亡がさらに少なくなる傾向がはっきりしなかった。一方、心肺機能は最上位群まで死亡が少なかったからだ。

筋トレと有酸素を組み合わせた群は、全死亡が45%少なかった

最初の研究¹⁾には続きがある。
筋トレを週1~2時間続けつつ、有酸素を最低目安の4~6倍やっていた群では、運動量の少ない群より全死亡が45%少なかった。筋トレ単独より遥かに死亡リスクが低い。

簡単に言うと、 筋トレに加えて、有酸素もかなりガッツリやっていた人だ。 筋トレは週1~2時間。有酸素は一般的なジョギングだけに換算すれば、週4~6時間ほどになる。

さらに、有酸素をさらに増やして最低目安の6倍以上だった群では、筋トレの量に関係なく、全死亡が42〜47%少なかった。 つまり、有酸素単独をかなり多く続けていた群では、筋トレの多い少ないにかかわらず、死亡リスクが大幅に少ない。わかりやすくいうとプチ田中渓さんみたいな人たちだ(田中さんは筋トレもやっているけど)。

別の高齢者研究でも、有酸素をしていない筋トレ単独群では差が小さく、有酸素と組み合わせた群で差が大きかった³⁾。 有酸素、強い。

筋トレは素晴らしい。有酸素も素晴らしい。時間があるなら、両方しっかりやればいい。

でも、この記事を読んでいる人の多くは、そこまで運動に時間を使えないはずだ。仕事も家庭もある。知りたいのは、どちらが上かではない。 限られた時間を、どう振り分けるかだ。

🚩この先では、今の運動習慣から最初に足すものを決める。週2日しか取れない場合の組み方、筋トレと有酸素を同じ日にやっていいのか、忙しい週の削る順番までまとめた。読み終われば、来週の予定表に何を入れるかが決まる。 メンバーシップ「Dr.もさりラボ」で読めます。過去記事もすべて読み放題です。

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