ビタミンCサプリは毎日必要か|筋トレと老化研究から考えた
自分は20代、30代のころ、トレーニング後にビタミンCのタブレットを何粒も噛んでいた。
ドラクエで戦闘後に薬草を使うみたいで、ちょっと回復した気になれた。
「先生、結局ビタミンCは飲んだほうがいいんですか。飲まないほうがいいんですか」
外来でもよく聞かれる。
ややこしいのは、運動研究と老化研究でビタミンCの評価がかなり違うことだ。高用量の抗酸化サプリは、運動で体が強くなるための反応を鈍らせるかもしれない。ところが、ビタミンCを40か月以上与えたサルでは、複数の臓器で老化の指標が改善した。
結局毎日飲んだほうがいいのか?トレーニングの日だけ避けるのか。食事からとるビタミンCまで気にする必要があるのか。
自分も色々迷った。
今は、果物や野菜からとるビタミンCと、500mgや1gの単体サプリを分けて考えている。毎日飲むかどうかも、筋トレ前後をどうするかも、そこから決めた。
ビタミンCサプリは筋トレの効果を下げるのか
運動をすると、筋肉の中で活性酸素が一時的に増える。多すぎれば細胞を傷つける。ただ、適度な量
なら「この負荷に慣れろ」という信号になる。
その信号を受けて、筋肉はエネルギーを作る力を高め、活性酸素を自分で処理する力も強くする。筋トレでは、筋肉が太くなるための反応にも一部関わる。運動後の活性酸素は、すべて急いで消せばよいものではない。
2026年の国際スポーツ栄養学会のポジションスタンドも、高用量の抗酸化サプリが一部のトレーニング適応を妨げる可能性を挙げている¹⁾。
食事のビタミンCと高用量サプリは同じではない
運動研究で使われているのは、果物や野菜ではなく500mgや1,000mgのサプリだ。
ビタミンEも組み合わせ、数週間から数か月続けた試験が中心になっている。普段の食事だけで毎日とる量とはかなり違う。

持久力トレーニングの比較試験では、高用量群で、エネルギーを作るミトコンドリアを増やす合図が弱くなっていた。細胞の中では、持久力を高める準備が一部鈍っていたことになる。ただ、VO2maxや持久力テストの伸びには明らかな差がなかった²⁾。
筋トレでも気になる結果がある。筋トレ経験者32人を10週間追った試験では、筋肉量の伸びは変わらなかった。ただ、筋肥大に関わる細胞内の反応が弱くなり、一部の筋力の伸びも小さかった³⁾。
60〜81歳の男性34人を12週間追った別の試験では、高用量のビタミンCとEを飲んだ群で、筋肉を含む全身の除脂肪量と太ももの筋厚の伸びが小さかった。筋力は両群とも同じように伸びた⁴⁾。
複数の比較試験をまとめた解析では、VO2maxや持久力への明確な悪影響は確認されなかった。除脂肪体重と筋力にも、はっきりした悪影響はなかった⁵⁾。
「ビタミンCを飲むと筋トレが無駄になる」は言いすぎだ。ただ、ビタミンCを1g前後とり、ビタミンEも組み合わせて毎日続けた試験では気になる差があった。筋肥大が鈍る可能性は残る。
ビタミンCと筋トレの研究は、こちらの記事で詳しく書いている。
ビタミンCを飲むほど、筋トレの効果が消えていく|抗酸化サプリの落とし穴
ビタミンCは老化を抑えるのか|サルを40か月追った研究
逆に、ビタミンCを長くとることで、老化に関わる変化が抑えられた研究もある。
Cell Metabolismの研究では、年齢とともに鉄がたまり、細胞膜の脂質が傷んでいく変化を調べた。著者らは、この現象をferro-aging(鉄老化)と呼んでいる⁶⁾。
ビタミンCは、細胞膜の脂質を酸化されやすくする酵素の働きを直接抑えた。その結果、鉄による脂質の傷みが広がりにくくなった。
カニクイザルに40か月を超えてビタミンCを投与したところ、複数の組織で鉄による脂質の傷みが抑えられた。多臓器の病変が軽くなり、複数の老化時計で対照群より若く評価された⁶⁾。
ただ、対象はサルだ。人で同じことが起きるかはわからない。人が飲む量も、この研究だけでは決められない。
研究の詳しい中身は、こちらで解説した。
ビタミンCが老化を巻き戻した?|論文解説 Cell Metabolism 2026
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ビタミンCの1日摂取量|自分がサプリを毎日飲まなくなった理由
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