進化政治学とは何か リンク
筆者好みの政治学です。
「進化政治学」で選挙が見える
「議員+3人=4人で我が国の法律を作るなんて、そもそも無理」
「米国では上院で40人下院でも16人ほどの秘書がいますが、そのくらいの人数がいて初めて法律の立案ができます。我が国では伝統的に霞が関の中央官僚が国会議員に代わって法律を立案」
「衆参両院を通過した法律の少なくとも75%は官僚が作成」
何しろ、私たちは政治リテラシー(政治に関する知識)が低い。研究の一環として、有権者の政治リテラシーに関する調査を繰り返してきましたが、高いという結果を得たためしがありません。特に35歳未満の政治リテラシーのなさは、目を覆いたくなるほどです。
これも仕方がないのかもしれません。ヒトは「何もしない」を選ぼうとしますから。
衆議院は4年に1度、参議院は3年に1度が選挙の原則です。そのために、ヒトは必要な知識をため込もうとはしません。仕事や育児、趣味など、常日頃から接している出来事に関する知識を増やすので手いっぱいですから。政治は、どうしてもなおざりになってしまう。
これを政治学では、「合理的無知仮説」と呼んでいます。私たちは遺伝子レベルにおいて合理的に判断し、その結果として政治リテラシーの無知状態に入っているのです。
さらに、有権者は選挙も棄権する傾向にあります。これも「何もしない」ことが、最良の選択と判断するためです。
【第1講】民主主義が機能しない理由森川 友義
https://quelo4.hatenablog.com/entry/20090629/p1
このように、国会議員、特別利益団体、官僚は、あたかも「鉄のトライアングル(Iron Triangle)」を形成しているかのようにがっちりとした協力関係を作っています。本来ならば、私たち有権者が最も権力を持つ政治アクターであるはずですが、戦後の我が国の政治では、国会議員、特別利益団体、官僚の三者がお互いを補完しつつ、予算や法律を通じて利益を分け合うシステムを作り上げています。
この状態が良いか悪いかの規範の論議はひとまずおいておいて、民主主義制度という仕組みと、私たちの遺伝子の仕組みとの間の帰結としては、不可避なものと言えるかもしれません。日本のみならず、民主主義制度を採用している国ほとんどすべて、多少の誤差はありますが、このような政治状況が創出されています。
現状を変えるにはどうしたらいいのか? それこそが政治の役割です。進化政治学が提案する改革のポイントは、遺伝子レベルでの欲求の流れを変えて、民主主義の理想に近づくような政治制度を作るという点です。例えば、投票所で定額給付金を配って、選挙に参加するインセンティブを高めるといった方法が考えられます。そうでもしなければ、ヒトは「何もしない」のです。
【第1講】民主主義が機能しない理由森川 友義
https://quelo4.hatenablog.com/entry/20090629/p1
進化政治学とは
政治現象は「狩猟採集時代」から説明される必要がある
進化政治学のパイオニアの一人、森川友義が説明しているように、進化政治学には、以下の3つの前提がある。
①人間の遺伝子は突然変異を通じた進化の所産で、政策決定者の意思決定に影響を与えている。
②生存と繁殖が人間の究極的目的であり、これらの目的にかかる問題を解決するため自然淘汰と性淘汰を通じて脳が進化した。
③現代の人間の遺伝子は最後の氷河期を経験した遺伝子から事実上変わらないため、今日の政治現象は狩猟採集時代の行動様式から説明される必要がある。
これら諸前提は数学でいう公理系のようなものであり、そこから演繹的に導きだされる知見が個別的な進化政治学理論となる
伊藤 隆太
https://president.jp/articles/-/40991?page=2#goog_rewarded
進化政治学とは何か
進化政治学とは究極的にはアリストテレスを起源としつつも、進化論の生みの親チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)の『種の起源』で理論的基盤が明らかにされた学問である。世界的に活躍する日本における進化政治学の第一人者森川友義は、その系譜を以下のように記している。
「ネオダーウィニズムといった形で先駆的に数多くの仮説を提出してきた進化生物学、『進化的に安定的な戦略(Evolutionary Stable Strategy)』を模索したM. スミスを先駆とする進化ゲーム理論、また1980年代からJ. トゥービー、T. コスミディス、D. バス、J. バーコウらを中心とし、 個人あるいは集団内の意思決定を分析してきた進化心理学を通じて、学際的な迂回を行いながら発展してきた(11)。」
そして、こうした系譜からなる進化政治学には、①人間の遺伝子は突然変異を通じた進化の所産で、政策決定者の意思決定に影響を与えている、②生存と繁殖が人間の究極的目的であり、これらの目的にかかる問題を解決するため自然淘汰(natural selection)と性淘汰(sexual selection)を通じて脳が進化した、③現代の人間の遺伝子は最後の氷河期を経験した遺伝子から事実上変わらないため、今日の政治現象は進化的適応環境(environment of evolutionary adaptedness)――人間の心理メカニズムが形成された時代・場所、実質的には狩猟採集時代を意味する――の行動様式から説明される必要がある、という三つの前提がある(12)。
伊藤隆太
https://synodos.jp/opinion/politics/23782/
論文
海幹校戦略研究第11巻第1号(通巻第22号) 2021年7月 86
国際政治と進化政治学 ― リアリズムとナショナリズムを例として ― 伊藤 隆太
https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/assets/pdf/ssg2021_07_06.pdf
