日本人は 判断とその修正 の訓練ができていない
日本人は判断とその修正のトレーニングがシステム的にできていないことについてです。
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日本人はアメリカ人と比べて「判断と修正」の訓練ができていないのか?
―オシム発言、岩田健太郎の指摘、スタートレック「コバヤシマル」から考える
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1. オシム発言が問いかける「判断の修正」の重要性
かつてサッカー日本代表監督を務めたイビチャ・オシムは、日本の選手たちのプレーについて次のように語ったと伝えられています。
「日本人は判断はできるが、修正ができない」
この言葉は、単にスポーツの戦術面を超えて、日本社会や教育文化に根付いた「柔軟な修正力の欠如」を突いたものだと受け止められています。試合中に状況が変化しても、自らの判断をすばやく修正する力――これこそが国際的な競争環境において必要とされる能力です。
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2. 岩田健太郎がXで示した危機感
感染症専門医の岩田健太郎氏も、SNS(X)でしばしば「日本人は失敗から学ぶ力が弱い」「計画や想定が崩れた時に修正できない」と指摘しています。特にCOVID-19対応では、海外がシミュレーションやデータを元に政策を修正していく一方、日本では「最初の判断に固執する傾向」が見られたと批判しました。
オシムの言葉と岩田氏の観察は、異なる分野から同じ現象を照射しているのです。
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3. スタートレック「コバヤシマル」の試験に学ぶ
SFドラマ『スタートレック』に登場する「コバヤシマル・テスト」は、絶対に勝てないシナリオを課されるシミュレーション試験です。カーク船長はその「負け戦」を前に、ルールそのものを改変することで突破しました。
ここで問われているのは「正解を探す力」ではなく、「失敗を前提に状況を修正し、別解を生み出す力」です。まさに、オシムが指摘した「修正力」と直結します。
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4. アメリカに根づくシミュレーション教育
アメリカでは「判断と修正」を鍛えるための教育手法として、シミュレーションが広く活用されています。
• 歴史教育の例:
『The Oregon Trail』という教育用ゲームは、19世紀の移民開拓の旅をシミュレートし、資源配分やリスク判断をプレイヤーに委ねます。単なる年号暗記ではなく「判断の連鎖」と「修正の結果」を体感させる仕組みです(川上具美『思考する歴史教育への挑戦』参照)。
• 医療・看護教育の例:
米国の医科大学や看護学校では、高度なシミュレーション教育が普及しています(志賀隆「米国シミュレーション医学教育事情」医学界新聞、2010)。
患者対応の模擬シナリオで学生が判断し、間違えた場合にはその場で修正を迫られる。こうした訓練は「失敗しても学ぶ」という文化を支えています。
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5. 対照的な日本の教育スタイル
一方、日本の教育は長らく「正解主義」に傾いてきました。テストでは唯一の正答を求め、失敗は減点対象であり、学びの契機として扱われにくいのです。そのため「判断を修正する訓練」は制度的に不足してきました。
この違いが、オシムや岩田氏が指摘する「修正力の弱さ」として現れているのではないでしょうか。
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おわりに
スポーツ、医療、歴史教育、そしてSFの世界――これらは一見無関係のように見えて、すべて「人間の判断と修正」というテーマで結びついています。
もし日本が次世代に必要な力を育むなら、暗記や一発勝負のテストよりも、アメリカで広く行われているような「失敗を前提としたシミュレーション教育」を大胆に導入する必要があるのかもしれません。
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参考文献・資料
• オシム発言関連報道(例:朝日新聞「オシム日本代表監督の言葉」)
• 岩田健太郎(Xでの発言、感染症対応に関する投稿)
• 『スタートレックII カーンの逆襲』(1982年公開、コバヤシマル試験の描写)
• 川上具美「思考する歴史教育への挑戦 ─暗記型か、思考型か、揺れるアメリカ─」
• 「『The Oregon Trail』による歴史教育」(文化庁メディア芸術データベース記事)
• 志賀隆「米国シミュレーション医学教育事情」『医学界新聞』2010年
• 「米国の医科大学におけるシミュレーション教育」(日本医療情報学会誌)
• 弘前大学「アメリカの高度実践看護活動およびシミュレーション教育体験プログラム」
了
資料リンク
オシム氏の提言
かつてのサッカー日本代表の監督であったオシム氏の提言です。
オシム氏の提言 日本代表に必要な修正力と判断力― スポニチ Sponichi Annex サッカー https://t.co/gyMd2GJryJ
— スポニチ・サッカー取材班 (@sponichisoccer) November 27, 2020
https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2020/11/28/kiji/20201127s00002014438000c.html?page=1
岩田健太郎氏の意見
サッカーのみならす、医療や教育界隈においても判断と修正のトレーニングがないという意見があります。
オシムはかつて、日本人に足りないものとして「修正力」と「判断力」をあげたが、これはサッカーに限らない。日本の医者は本当に、本当に「判断する」のが下手、というか嫌い。判断せずに、こういうときはああやる、というハウツーだけを知りたがる。
— 岩田健太郎 K Iwata (@georgebest1969) August 17, 2022
そして状況が変わっても、間違いだと分かっても修正できない。したがらない。これは官僚も同様。だから、マスクとか検査とか薬とかワクチンについても的確な判断と正しい修正が、タイミングよく行えない。状況が絶望的に悪くなってから方針転換するから後手に回るのは必然。2年以上やっても直せない。
— 岩田健太郎 K Iwata (@georgebest1969) August 17, 2022
うちの回診でも、研修医たちは判断を回避したがる。「血培取って、痰培とって、尿培とって、ゾシンいれときました」という「ハウツー」に走りたがる。回診では必ず「あなたの判断は?」と聞かれるのに、判断をすっ飛ばして反応したがる。この思考パタン(というか考えてない)を修正するのに数年かかる
— 岩田健太郎 K Iwata (@georgebest1969) August 17, 2022
よって、これは日本の初等レベルからの学校教育の深刻な問題なのだと分かる。幼稚園児、小学生の時から「ハウツー」ばかり教わって、そういうレスポンスが正確で速いのが医学部に入る。判断、修正が苦手なのは必然なのだ。
— 岩田健太郎 K Iwata (@georgebest1969) August 17, 2022
石井光太さんの「誰が国語力を殺すのか」でも指摘されていたが、そもそも学校教師が判断できない、したがらない。文科省に手取り足取りハウツーを教えてもらえないと動けない。本来なら「ゆとり」教育は教師の自主性と判断力があれば素晴らしい教育になったはずで。
— 岩田健太郎 K Iwata (@georgebest1969) August 17, 2022
でも、そのような奴隷的な教員を好んで育成してきたのがほかならぬ文科省なわけで、この問題は本当に根が深いと思います。
— 岩田健太郎 K Iwata (@georgebest1969) August 17, 2022
で、医療現場では「ほうれんそう」がモラルハザードを起こしている。報告連絡相談は、要は「ぜんぶおかみまかせ、判断停止、思考停止」の良い言い訳になっているのだ。全部ほうれんそうだから、医学生も研修医も判断できない。指導医になって急に判断力がつくわけでもない。ほうれんそうの罪は大きい。
— 岩田健太郎 K Iwata (@georgebest1969) August 17, 2022
医療分野でオシム監督の話が出て、驚きました。 pic.twitter.com/6LqLI0gDI9
— ゆっくり薬剤師@ふくしまyh (@v9rqsjt) August 18, 2022
判断と修正のトレーニング法はシミュレーション:アメリカの事例
アメリカではシミュレーションによる教育が盛んで、そこで判断と修正のトレーニングがなされているようです。
アメリカのシリアスゲームの歴史
https://mediag.bunka.go.jp/article/article-19834/
『The Oregon Trail』による歴史教育
歴史を表現する:『The Oregon Trail』が持つ複数の顔https://store.epicgames.com/ja/news/representing-history-the-many-faces-of-the-oregon-trail
川上 具美
思考する歴史教育への挑戦 ─暗記型か、思考型か、揺れるアメリカ─
アメリカの医療看護のシミレーション
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2010/PA02894_03
米国の医科大学におけるシミュレーション教育https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjmi/81/3/81_3_201/_pdf
アメリカの高度実践看護活動および シミュレーション教育体験プログラムhttps://www.hirosaki-u.ac.jp/wordpress2014/wp-content/uploads/2017/03/h28_5.pdf
スタートレックにも意思決定シミュレーションが描写されている
https://gendai.media/articles/-/92488
https://en.wikipedia.org/wiki/Kobayashi_Maru
