コミュニティには2種類ある ─ 専門と横断、その行き来が人生を豊かにする
はじめに
ここ数年、「コミュニティ」という言葉を耳にする機会が一気に増えました。
オンラインサロン、Slackグループ、プロダクトコミュニティ、勉強会、読書会──。
誰もが何らかの場に参加し、誰かと学び、刺激を受け、人生の視野を広げています。
一方で、コミュニティが増えるほど、「どんな場に関わればよいのか」「どんなコミュニティが自分に合うのか」がわからなくなる人も多いのではないでしょうか。
私自身、SaaS企業で働きながら複数のコミュニティに参加し、同時にいくつかの場を運営しています。
その経験の中で強く感じたのは、コミュニティには2種類あるということです。
それは、
1️⃣ 業界・職種特化型コミュニティ(専門性を磨く場)
2️⃣ 横断的なつながりを持つコミュニティ(視野を広げる場)
そしてこの2つを行き来することこそが、キャリアも人生も立体的に動かす鍵になります。
1. 業界・職種特化型コミュニティ ─ 専門性を磨く場
まずひとつ目は、業界・職種特化型コミュニティです。
同じ業界や職種の人たちが集まり、実務知や成功事例を共有し、スキルを磨く場。
いわば「専門性のアップデートセンター」のような場所です。
私自身、SaaS業界の営業・パートナービジネス・マネジメント領域で複数の勉強会や朝食会、Slackグループに関わっています。
商談プロセスの改善、KPI設計、チームマネジメントなど、共通の課題を持つ仲間と対話を重ねることで、現場の知が体系化されていく。
ごえむSaaS朝食会開催しました!5時起き7時集合8時半解散というスマートな会。朝から深い話ができて面白い!次回は12月に忘年朝食会をしたいです!ご興味ある方はお声掛けください! pic.twitter.com/sQnVu1ubaL
— ほったけんた (@mottajapan) October 17, 2025
このタイプのコミュニティでは次のような価値が得られます。
最新の実務知に触れられる
他社事例から自社の課題が見える
課題を言語化する力が磨かれる
特に印象的なのは、「自分の悩みは、自分だけのものではなかった」と気づく瞬間。
同じ業界で働く仲間との共感や連帯感が、次の行動を後押ししてくれます。
ただし、専門コミュニティにばかりいると、思考の幅が狭くなってしまう危険もあります。
そのバランスを取ってくれるのが、もう一つの「横断的なつながりを持つコミュニティ」です。
2. 横断的なつながりを持つコミュニティ ─ 視野を広げる場
二つ目は、横断的なつながりを持つコミュニティ。
職種や業界を超え、価値観や生き方を共有する“越境の場”です。
私が主宰している読書コミュニティ「The Third Page」はまさにその例です。
ここでは、経営者、エンジニア、学生、ライターなど、多様な背景を持つ人が集い、「読書」を軸に語り合います。
本を読むだけでなく、感じたことを共有し、対話を通じて新しい視点が生まれていく。
そしてその中から、「新しいプロジェクトをやってみよう」「次の読書会を企画しよう」といった実践が自然に生まれていきます。
この横断型コミュニティで得られる価値は、専門コミュニティとは異なります。
他業界から学ぶ“異化”の力
創造性を刺激する視点の多様性
肩書きや立場を越えた人間的なつながり
専門が「深さ」を育てるとすれば、横断は「広さ」を与えてくれる。
この2つを行き来することで、人の思考と行動は立体的になっていきます。
3. 個人主導型コミュニティの盛り上がり
ここで一つ、時代背景にも触れたいと思います。
「企業主体型」だけでなく、「個人主導型」のコミュニティが増えています。
かつてコミュニティは、企業や団体が運営するものが中心でした。
たとえばユーザー会、社員コミュニティ、ファンクラブなど。
こうした企業主体型コミュニティの構築や運営ノウハウを学ぶなら、
『コミュニティ経営の教科書』や『成功するコミュニティの作り方』がおすすめです。
一方、私がここで語っているのは「個人主導型のコミュニティ」。
つまり、個人が自らの関心・信念・テーマを軸に立ち上げる場です。
読書、朝活、育児、健康、キャリア支援──。
特別な組織や資金がなくても、誰かが「やってみたい」と声を上げるところから始まります。
個人主導型コミュニティの魅力は、何より自分らしい場を選び、つくれる自由”にあります。
参加も運営も、自分のペースで、自分の価値観でできる。
その柔軟さが、企業主導にはない熱量を生み出します。
4. 無料(or少額)×承認制
私はコミュニティを運営する際、基本的に無料(もしくは少額)かつ承認制にしています。
一見矛盾しているようで、このバランスが最も健全に機能します。
無料(少額)にするのは、「この場を求めている人がなるべくハードル低く参加して欲しい」から。
承認制にするのは、「場の温度を守る」ためです。
たとえ無料でも、参加の熱があれば価値は生まれます。参加費のみで月1,000円〜2,000円程度のコミュニティも多い中で
むしろ、金銭ではなく信頼で回るコミュニティこそが、長く続くものになると感じています。
参加者がお金を多額を払うのではなく、違う形で長期運営できるモデルを模索しています。
承認制にしているのは「誰でも参加できる」よりも、
「この空気を共有できる人と一緒に学ぶ」方が、結果的に深い関係が築ける。
数ではなく、関係の“密度”がコミュニティの質を決めるのです。
5. ギブから始まる循環
コミュニティ運営の最大のリターンは、リターンを求めないこと。
ギブを続けると、自然に学びと信頼が循環します。
誰かに価値を届けたいと思って動くと、
その行動の先に思いがけない出会いや機会が生まれます。
“Give first”──このシンプルな姿勢が、個人主導コミュニティを支える文化だと思います。
6. コミュニティが生む偶発性
コミュニティの本当の魅力は、「偶然の出会い」にあります。
職場では出会えない人、異なる業界で働く人、まったく違う人生を歩む人。
その人たちと交わることで、自分の価値観が揺さぶられ、視点が磨かれていきます。
私の読書コミュニティでも、参加者同士がイベントを企画したり、転職や起業のきっかけを得たりすることがあります。
人が交わることで、未来が動く。
それを何度も目にしてきました。
7. これからの構想 ─ “街に開かれたコミュニティ”へ
私の理想は、「本屋とカフェ、コワーキングスペースを中心にしたコミュニティスペース」をつくることです。
本をきっかけに人が出会い、会話が生まれ、新しい企画が動き出す。
そんな“街のサードプレイス”を、これからの10年で形にしたい。
スポンサー型コミュニティやオープンパートナー制など、新しい形にも挑戦していく予定です。
でも根底にあるのは、変わらずこの想い。
コミュニティは、未来を共に描くための器。
おわりに ─ 二つの軸と、一つの思想
コミュニティには、2種類あります。
専門を磨く場(業界・職種特化型)と、視野を広げる場(横断的なつながり)。
そして、それらを個人が自由に行き来できる時代が来ています。
専門で“芯”を作り、横断で“枝葉”を伸ばす。
この2つのバランスが整ったとき、人はしなやかに成長します。
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