【閲覧注意】『気密なんて意味ない』を信じてはいけない物理的な理由
こんにちは、はぐれゴリラです。
SNS上でちらほら見かける「気密不要論」。
果たして「気密」は本当に不要なんでしょうか?
今回はそんなポジショントークゴリラをご覧ください。
気密不要論側の主張
よく見かける気密不要サイドの主張はこうです。
高気密だと息苦しくなる
日本の高温多湿の気候に合わない
(風通しの良い家でないといけない)国も指針から外している(だから重要じゃない)
木は呼吸して動くものだから、新築時に気密をとってもすぐ隙間ができる(がんばる意味はない)
玄関ドアや窓を開けたら、C値なんて一瞬で無意味になる
ひとつずつ握りつぶしていきましょう。
1.高気密だと息苦しくなる
これはもう定義がよくわからないのですが「気密が高い=空気が入ってこない=酸欠になる(淀む?)」ということだと考えたいと思います。
今の家は24時間換気が義務化されています。
そして高気密住宅では計画換気の70〜80%は機能するはずです。
ちなみに低気密住宅ではこの効率が50%を切ります。もうこの時点で換気もクソもないってことになるんですよ。
まぁある意味隙間から空気が入ってきて換気自体はできてるのかもしれませんが……しかしその換気には問題があります。
計画換気が機能しているならば外気の大半は給気口のフィルターを通したクリーンな空気が入ってくるはずです。
反対に低気密住宅ではそこら中のスキマからホコリやらなんやらと一緒に流入してきます。
「窓を開ければ換気できるじゃないか?」
確かに窓を開けて換気も大切ですが、網戸のフィルター能力なんてザルです。
つまり計画換気が働いていた方が流入してくる空気はキレイということです。
計画換気をするためには高気密が条件になってきます。
2.高温多湿環境に向かない
これは残念ながら一理あります。が低気密住宅はこの言葉で自分の首を絞めることになります。
中途半端な気密断熱性能が一番高温多湿環境に向かないからです。
昔ながらの日本家屋が高温多湿環境に向いていて、百年もつと言われるのは気密もクソもないくらい風通しが良いことで、結果として湿気がこもらない、躯体が腐りにくい、ということにつながっているからです。
ただそのかわり「クソ寒い」です。
家の中で息が白いなんて当たり前の世界です(祖父母の家がそうでした笑)。WHOが「家の中18℃目指そうぜ!」って言ってるのに下手したら氷点下です。こんな家現代では住みたくないですよね?
そこで断熱材の出番なんですが、昔のザ昭和の木造住宅では断熱を入れても気密なんてほとんど気にしていませんでした。なので湿気が入り込み壁体内結露で断熱材はベチャベチャ、気づいたらシロアリ被害なんてことが起こったんです。
「人は過ちを繰り返す…」
近年はこの被害を防ぐには気密性能が大事であることがわかってきています。
気密性能が低い家を建て、過ちを繰り返してはいけないのです。
住み良い家を作るために「断熱」を入れるなら「必ず気密をセット」で考える必要があります。
3.国も指針から外している
これ実は昔基準あったんですよ。ただ寒冷地でC値2.0とかいう考えられないクラスの基準ですが…いまは確かになくなりましたけどね。
これは日本のレベルが低すぎる問題にもつながるのですが気密性能だけは「現場測定」が必須です。
断熱性能や耐震性能は実測ではなく設計です。
やはり現場でばらつきが出るものを指針にしにくいというところがあると思います。(ハウスメーカーへの忖度だよ!)ただ指針から外してる項目が大事ではないというのは考えが甘いです。
僕たち歯科業界では最近になってやっと国が「国民皆歯科健診」制度化に向けて動き出しています。
僕たちは健診(検診)の重要性なんて昔からわかっているので患者さんには「健診来てね」ってずっと言い続けています。
気密の重要性と国が関係あるかって話はこれと同じ構造だと思います。
どの業界でも似たような話はあるとおもいます。国も重要な事だとわかっていても「大人の事情」で制度化できない事なんてたくさんあります。
4.木は呼吸して動くものだから、新築時に気密をとってもすぐ隙間ができる(がんばる意味はない)
これも確かにそうである部分もあります。木の特性(吸湿など)による動きもあるかもしれませんが外力の影響の方が大きいと思います。
木(というか住宅)は地震やら風やらの影響で常に微小な変形をしています。
気密部材(コーキングやテープ)はある程度追従するものの限界はあります。
なので新築時から比べると、築年数が経つほど気密測定値は悪くなるのが一般的です。
…だからといって「じゃあ最初からやらなくていい」には絶対になりません。
スタートダッシュが肝心なんです。
新築時に「C値0.3」まで頑張った家が、10年後に木が動いて「C値0.8」になるのと、
最初から「C値2.0」で妥協した家が、10年後に「C値3.0以上」の隙間だらけのテントになるのとでは、天と地ほどの差があります。
「どうせいつか虫歯になるかもしれないから、毎日の歯磨きなんて頑張る意味ないよ!」と言っているようなものです。そんなわけないですよね。
5. 玄関ドアや窓を開けたら、C値なんて一瞬で無意味になる
さて、これが今回のメインディッシュにして、最大の極論です。
一見「確かに!」と思わされそうになりますが、騙されないでください。
僕たちが1日のうちで、玄関のドアを開けている時間って合計何分ですか?
出勤、帰宅、宅配便の受け取り…長く見積もっても数分ですよね。
残りの「23時間50分以上」は、ドアは閉まっています。
気密性能というのは、この「ドアが閉まっている99%以上の時間」の快適性と、計画換気を維持するために取るものです。
ドアを開けた一瞬は気密がゼロになっても、閉めればすぐに気密は復活し、換気システムが正常に働き始めます。
しかし、最初からC値が悪い家は、ドアを閉めている時でも常に壁の隙間から汚い空気を吸い込み、冷暖房の熱を逃がし続けているんです。
まとめ:できない理由を探すより、できる工務店を探そう
いかがだったでしょうか。
「気密なんて不要だ」と語るプロの言葉の裏には、残念ながら「高気密な家を作る技術がない」か「手間がかかるからやりたくない(利益率が下がる)」という本音が透けて見えます。
自分の技術不足を正当化するために、物理法則をねじ曲げて不要論を唱えるのは、いかがなものかと思うわけです。
C値を高めることは、決して「性能オタクの自己満足」ではありません。
家族の健康と、家の寿命、そして毎月の冷暖房費を守るための「最低限の基本スペック」です。
これから家を建てる皆さん。
営業マンに「C値なんて意味ないですよ」と優しく微笑まれたら、心の中でそっと「この人は穴の空いたダウンを売ろうとしてるんだな」と思って、笑顔でスルーしましょう。
物理は嘘をつきません。
皆さんの家づくりが、後悔のないものになることを祈っています!
