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計画通りに進んでいますか?~仕事ができないマネージャーは、みんな「チェックマン」です~

「なぜ、あれができていないんだ!」

「どうして、こんなことになっているんだ!」

「計画では、もう終わっているはずだろ!」

「おかしいだろ!」

仕事の現場では、よく聞く言葉です。

計画通りに進んでいない。
予定より遅れている。
当初の想定とは違うことが起きている。

だから、マネージャーが声を荒らげる。

一見すると、仕事に厳しい人のように見えます。

しかし、本当にそうでしょうか。

その人が話しているのは、現場で起きているお困り事ではありません。

話しているのは、

「プランAと現実が違う」

ということです。

私は、このようにプランAと現実を見比べ、違っているところばかりを指摘する人を、チェックマンと呼んでいます。

チェックマンは、計画との差を見つけます。

「遅れている」

「できていない」

「話が違う」

「報告を受けていない」

「どうして、こうなっているんだ」

計画と現実を並べ、違っているところに赤い印をつけていく。

要するに、あら捜しです。

しかし、現場が求めているのは、間違い探しではありません。

現場では、すでに誰かが困っています。

作業が止まっている。
必要なものが届いていない。
人が足りない。
判断する人がいない。
システムが動かない。
お客様の要望が変わった。
当初の前提が崩れている。

本来、話題にすべきなのは、こちらです。

ところが、仕事ができないマネージャーほど、現場のお困り事ではなく、プランAの話を始めます。


ビジネスは、計画通りに進まない

仕事を始める前には、計画を立てます。

いつまでに、何をするのか。
誰が担当するのか。
どの順番で進めるのか。
どれくらいの人員や予算を使うのか。

もちろん、計画は必要です。

計画がなければ、仕事を始めることも、関係者を動かすこともできません。

しかし、ビジネスは生き物です。

計画を立てた時点では分からなかったことが、現場では次々に起こります。

担当者が体調を崩す。
納品が遅れる。
機材が故障する。
天候が変わる。
お客様の意向が変わる。
上司の判断が覆る。
想定していなかった問題が見つかる。

むしろ、最初に立てた計画通りに、何もかもが進むことのほうが珍しいのではないでしょうか。

それでも、多くの職場では、プランAが絶対視されます。

計画通りに進んでいないと、

「なぜ遅れているんだ」

「なぜ予定通りにできないんだ」

「誰の責任だ」

という話が始まります。

しかし、ここで考えなければなりません。

その問いは、現場のお困り事を解決するための問いでしょうか。


仕事ができる人は、お困り事を話題にする

仕事とは何でしょうか。

私は、仕事とは、

お客様や現場のお困り事を解決すること

だと考えています。

商品もサービスも、会議も企画も、最終的には誰かのお困り事を解決するためにあります。

そう考えると、現場で予定外のことが起きたとき、最初に確認すべきことは明確です。

いま、誰が、何に困っているのか。

作業が止まっているのか。
判断する人がいないのか。
情報が足りないのか。
時間が足りないのか。
お客様が不安を感じているのか。

現場で起きていることを、まず「お困り事」として捉える。

これが、話題です。

次に、その中から、いま解決しなければならない課題に焦点を当てます。

何を解決すれば、仕事が再び動き始めるのか。

そして、解決策を展開します。

あの手で解決できるか。
難しければ、この手はどうか。
それでもダメなら、奥の手を使う。

これが、仕事の構成です。

話題:現場のお困り事
焦点:いま解決すべき課題
展開:あの手→この手→奥の手
結論:お困り事の解決

プランA、プランB、プランCは、この「あの手・この手・奥の手」です。

大切なのは、プランAを守ることではありません。

お困り事を解決することです。


チェックマンは、プランAを話題にする

一方、チェックマンは、現場のお困り事を話題にしません。

話題にするのは、

プランAが守られていない

ということです。

「なぜ、あれができていないんだ」

「どうして、こうなっているんだ」

「計画では、こうなるはずだった」

「予定に戻せ」

一見すると、原因を確認しているように見えます。

しかし、実際には、仕事を前へ進めるための話になっていません。

始まるのは、

確認です。
追及です。
叱責です。
弁明です。
責任の押し付け合いです。

構成にすると、こうなります。

話題:プランAと現実のギャップ
焦点:できていない箇所
展開:確認→追及→叱責→責任探し
結論:現場のお困り事は解決しない

仕事の話をしているようで、仕事をしていません。

現場では問題が起きているのに、会議では、

「なぜ計画通りではないのか」

という別の話が始まるのです。


チェックとマネジメントは違う

もちろん、計画との差を確認すること自体は必要です。

予定より遅れている。
予算を超えている。
品質が基準に達していない。
必要な作業が終わっていない。

こうした事実を把握しなければ、適切な判断はできません。

問題は、差を見つけたところで仕事が終わってしまうことです。

「遅れている」

「できていない」

「計画と違う」

それを指摘しただけで、自分はマネジメントをしたと思っている。

しかし、チェックとマネジメントは違います。

チェックとは、違いを見つけることです。

マネジメントとは、その違いが生まれた現場で、

何が起きているのか。
誰が困っているのか。
何を課題として選ぶのか。
次に、どの手を使うのか。

を判断し、仕事を前へ進めることです。

チェックマンは、間違いを見つけます。

マネージャーは、解決策を見つけます。

この違いは、決定的です。

計画との差を見つけるだけなら、表計算ソフトでもできます。

人がマネージャーとして現場にいる意味は、

ギャップを指摘することではなく、
ギャップが生まれた現場で、次の手を出すこと

にあるのではないでしょうか。


計画と現場の主従が逆転している

本来、計画は、お困り事を解決するための手段です。

目的ではありません。

本来の関係は、こうです。

お困り事を解決する
そのために計画を使う

ところが、プランAを死守する職場では、この関係が逆転しています。

計画を守る
そのために現場を計画へ合わせる

現場の条件が変わっているのに、計画は変えない。

人のほうを無理に動かす。
残業で遅れを取り戻す。
品質を落として間に合わせる。
お客様の新しい要望を無視する。
誰かに負担を押し付ける。

その結果、ムリ・ムダ・ムラが増えていきます。

つまり、

プランAを守ろうとすることが、現場のムリ・ムダ・ムラを生んでいる

のです。


プランB、Cはムダですか?

プランBやプランCの話をすると、こう言う人がいます。

「使うかどうか分からないものを準備するのはムダだ」

「そんな余計な準備は省け」

「選択と集中が必要だ」

「ムリ・ムダ・ムラをなくせ」

もっともらしい言葉です。

しかし、本当にムダなのでしょうか。

代替案を準備していなければ、問題が起きた瞬間に、すべてをその場で考えることになります。

会議を止めて考える。
関係者全員を待たせる。
承認を取り直す。
代替品を急いで探す。
人員を慌てて集める。
やり直しが発生する。
誰かが残業して穴を埋める。

これこそ、ムリ・ムダ・ムラではないでしょうか。

プランB、Cがムダなのではありません。

プランB、Cを準備しなかった結果、現場で何倍ものムダが発生するのです。

前準備とは、プランAを細部まで完璧にすることではありません。

プランAが崩れたとき、次に何をするのかを考えておくこと

です。

仕事は、プランAだけで進むものではありません。

現場では、プランB、Cの連続です。

だからこそ、仕事ができる人は、問題が起きてから慌てて考えるのではなく、問題が起きたときに出せる手を、あらかじめ用意しています。


計画は、答えではなく仮説

計画は、仕事を始める前に作ります。

そのときには、いくつもの前提を置いています。

予定通り人が集まる。
必要な予算が使える。
機材が正常に動く。
相手が約束を守る。
お客様の要望は変わらない。
想定した時間内に作業が終わる。

つまり、計画とは、

一定の条件がそろえば、こう進むだろう

という仮説です。

現場に入れば、新しい事実が出てきます。

その事実によって前提が崩れたなら、計画も変えなければなりません。

それなのに、プランAを絶対視する。

それは、

現場で判明した事実より、会議室で作った仮説を優先する

ということです。

現実が間違っているのではありません。

計画の前提が、現実と合わなくなったのです。

本来なら、現場で得た新しい情報を使って、プランを更新しなければなりません。

ところが、チェックマンは、現実を計画へ戻そうとします。

計画を修正するのではなく、現場を叱って修正しようとするのです。


「なぜこうなった」は、いま聞くべきですか?

もちろん、原因の検証は必要です。

なぜ問題が起きたのか。
次に同じことを起こさないために、何を改善するのか。

それは、あとで振り返らなければなりません。

しかし、現場が止まっている最中に、

「なぜこうなった」

「誰の責任だ」

「計画ではどうなっていた」

と追及し続けても、お困り事は解決しません。

火事が起きているときに、最初にするべきことは、火を消すことです。

誰が火をつけたのかを調べるのは、そのあとです。

「なぜこうなった」は、あとでも検証できる。
「いま何に困っているか」は、いま解決しなければならない。

この順番を間違えてはいけません。

ところが、チェックマンは、火を消す前に報告書を求めます。

「なぜ火が出た」

「誰の責任だ」

「計画では火が出ないはずだった」

そうしている間にも、火は広がっていきます。


仕事ができる人は、次の手を持っている

仕事ができる人は、すべてを計画通りに進められる人ではありません。

計画通りに進まなくなったときに、次の手を出せる人です。

プランAが使えなければ、プランBへ切り替える。

プランBでも難しければ、プランCを出す。

それでも解決しなければ、人員、時間、予算、方法、場合によっては目的そのものまで見直す。

その人が見ているのは、計画ではありません。

現場のお困り事です。

だから、必要に応じて手段を変えられます。

一方、チェックマンは、手段であるプランAを目的に変えてしまいます。

プランAが崩れると、次の手を考えるのではなく、

「なぜ崩れた」

「元に戻せ」

「計画通りにやれ」

と叫び続けます。

しかし、現場は元には戻りません。

条件はすでに変わっています。

必要なのは、過去の計画を守ることではなく、いまの現実に対応することです。


計画通りに進んでいますか?

この質問は、進捗確認でよく使われます。

しかし、本当に確認すべきなのは、別のことかもしれません。

現場では、いま、誰が何に困っていますか。

そのお困り事を解決するために、何を課題として選びましたか。

プランAが使えない場合、プランB、Cはありますか。

マネージャーは、どの手を出しましたか。

仕事とは、プランAを守る競技ではありません。

現場で起きるお困り事を見つけ、解決し続けることです。

計画通りに進んでいないことが、問題なのではありません。

計画通りに進んでいないのに、まだプランAの話をしていること。

ギャップを指摘するだけで、仕事をしたつもりになっていること。

それこそが、本当の問題なのです。

チェックマンは、間違いを見つけます。

マネージャーは、解決策を見つけます。

あなたの職場のマネージャーは、どちらでしょうか。

今回の記事では、計画と現実のギャップを指摘するだけの「チェックマン」と、現場のお困り事を解決するマネージャーの違いを考えました。
このnoteでは、仕事や社会で起きている出来事を、ただ眺めるのではなく、「何が課題なのか」「どう意味づけるのか」「どんなメッセージに変えるのか」という視点で読み解いています。
気になる記事があれば、ぜひ続けてご覧ください。

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