001【恋愛小説】ウタヒメユメト第一章 政界の蜘蛛の巣 chapter1
🕸️ chapter 1 ── 戦いの火蓋
永田町。
春の微笑みを捨てた男が、仮面を脱ぐ。
招かれたのは、歌姫とそのマネージャー。
何の武器も持たずに踏み入れた議員会館で、
政治という名の戦いが静かに始まる。
ウタヒメユメト
─ The Spider’s Web ─
政界の蜘蛛の巣 chapter1
ユメトと伊藤は、永田町にある成宮幹事長が在籍する議員会館の議員事務室に呼ばれた。
春先に行われた赤坂での会食以来、成宮幹事長と顔を合わせるのは五ヶ月ぶりだった。
世間は、暑さを残したまま秋を追いかけることにシフトし始めている。
二人は呼ばれた理由を理解しないまま、何の武器も持たずに敵陣へと足を踏み入れた。
成宮幹事長は一人で待っていた。
いつもならコバンザメのように引き連れている側近や秘書も、今日は珍しく誰もいない。
彼のその風貌は、これまで二人に見せてきた友好的な人柄とは明らかに違って見える。
ひょうきんな性格で人望を集めるヒョットコ顔が、まるで別人のように見えた。
──というより、ヒョットコヅラは作り物のお面で、
本来の頭脳明晰な姿をようやく現した、と言ったほうが正しい。
ようやく本性を剥き出しにした成宮幹事長が、不気味に座っている。
彼は二人に向かって、
「遠いところ、申し訳なかったね」
と、心なく言った。
これまでの大らかなイメージは、ひとひらも見当たらない。
すべてを見透かしたような鋭い眼差しが、ユメトと伊藤を突き刺した。
二人の間に緊張感が走る。
──戦いの火蓋が切られた。
To be continued… ♡
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