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「正しい」の価値が目減りしている

みなさんこんにちはKeiです。

救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士8年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。

noteとX (フォロワー2,000人以上)を365日以上毎日更新しています。

ソーシャルワーク関連のブログも発信中です。

本日は、『「正しい」の価値が目減りしている』といったテーマを深掘りします。

ソーシャルワーカーがわざわざ正論を言う必要はない

もはや、ソーシャルワーカーの役割は「正しいことを言う仕事」ではなくなりつつあります。

AIが一瞬で「正しい」を導くことができるようになったので、相対的に残るのは、「私はこう思う」といった自己決定の部分です。
#「正しい」よりも「最適解」

もちろん前提として、制度の知識は必要ですし、社会資源の理解も欠かせません。

生活保護、介護保険、障害福祉サービス、医療制度といった知識がなければ、支援は成立しません。

ただ、現場で働いていると、「正しいことを言えば支援が進むわけではない」という現実を叩きつけられます。

正論を言った瞬間に、支援が止まった経験があるソーシャルワーカーはきっと少なくないと思います。

正論を言った瞬間、面接は終わる

ソーシャルワーカーとして働いていると、クライエントの話を聞きながら、頭の中で答えが見えてくる瞬間があります。

  • 「それはこの制度を使えばいい」

  • 「この選択はリスクが高い」

  • 「このままだと生活は持たない」

ソーシャルワーカーがそろばんをはじけば、経験に裏付けされた“勘”で、支援がうまくいく確率は予想できます。

未来予想がなんとなくできてしまうので、つい以下のような言葉を使ってしまうことがあります。

  • 「それはリスクが高いです」

  • 「その方法は難しいと思います」

  • 「この制度を使った方がいいです」

私は、このフレーズを一時期何回も使い回していた記憶があります。正しいことを伝えるのが専門職の役割だと思っていた時期もありました。

でも、あるときから違和感を持つようになりました。

正論を言った後、クライエントの反応が明らかに変わることに気づいたんです。

それまで色々話してくれていた人が、急に口数が少なくなったり、「そうですね」と口では言いながら、それ以上は積極的に話さなくなったり……

今思い返せば、表面的には面接は続いていながらも、本当に大事な話は、潜在化してしたのだと思います。

この現象が起きる理由はとてもシンプルです。

人は、自分の人生を否定されたと感じた瞬間、心のシャッターを閉めるからです。

たとえ相手が専門職であっても、たとえその意見が正しかったとしても「あなたの考えは間違っている」と聞こえた瞬間、人は防衛的になります。

正論を言ったからといって、支援が前に進むわけではありません。むしろ、関係が後退することすらあります。

ここに気づいたとき、私の面接のスタンスは少し変わりました。

ソーシャルワークは「正す仕事」ではない

ここはソーシャルワーカーが誤解しやすいところだと思っています。

ソーシャルワーカーは専門職なので「間違っていることを正す」という役割を、どこかで背負ってしまいます。

でも、現場で何年も働いていると、だんだんわかってくるんですよね。

ソーシャルワークは、人の考え方を正す仕事ではなく、その人の人生の中で、選択肢を増やす仕事です。

たとえば、生活が苦しいのに生活保護の受給を拒む人がいたとします。

合理的に考えて受給するメリットが高くても、「受給するべきです」と言った瞬間、その人の中では「この人は自分の気持ちをわかっていない」という感情が生まれます。

人には、それぞれの人生があります。

これまでの経験によって培ってきた、大事な価値観もあります。

生活保護を受給しないという選択にも、その人なりの理由があります。

だから、ソーシャルワーカーが最初にやるべきことは、正しさを伝えることではなく、まずはきく(聞く・聴く・訊く)ことです。

  • なぜそう思うのか

  • どんな経験があったのか

  • 何を大事にして生きてきたのか

その人の世界観を理解することを飛ばして制度の話をしても、支援は動きません。

ソーシャルワークは、人と環境の相互作用で成り立っているからです。

支援は「正しさ」ではなく「関係性」で動く

ソーシャルワーカーの実践を見ていると、ある共通点があります。

支援がうまく進むケースに必ず共通するものは、信頼関係です。

クライエントが、「この人なら話しても大丈夫」と思えているかどうかが重要です。

制度をどれだけ知っていても、どれだけ正しいことを言っても、クライエントが「この人は自分を否定する人だ」と思ってしまったら、支援は動きません。

逆に、「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれる」そう思ってもらえた瞬間、クライエントは少しずつ変わっていきます。

面白いのはここで、信頼関係ができると、クライエントの方から聞いてくるようになるんです。

「あなたはどう思いますか?」

その時になって初めて、ソーシャルワーカーの意見は意味を持ちます。

なぜなら、それは押しつけではなく、求められた助言だからです。

私は、面接で自分の意見を言うとき、「自分ならこう考えるかもしれません」「もしよければ、こういう制度もあります」という言い回しをするようにしています。

決めるのはクライエントであり、人生を生きるのもクライエントです。

ソーシャルワーカーは、その選択を支える立場です。

まとめ

ソーシャルワーカーとして働いていると、どうしても「正しいこと」を言いたくなる瞬間があります。

専門職としての責任感があるからです。

一方で現場を重ねていくと、少しずつわかってきます。

人は、正しいことを言われたから動くわけではない。

人が動くのは、「この人は自分を理解しようとしている」そう感じたときです。

ソーシャルワークは、正論で人を動かす仕事ではありません。

相手の世界を理解し、その人の中にある選択肢を一緒に見つけていく仕事です。

正しいことを言うことよりも、相手の話を最後まできく(聞く・聴く・訊く)ことの積み重ねの中で、少しずつ信頼が生まれます。

そして、その信頼の上に、はじめてソーシャルワークが動き出します。

ソーシャルワーカーにとって大切なのは、「正しい人」であることではなく、「この人なら話しても大丈夫」と思ってもらえる人であることです。


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ではまた。

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