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招き猫72

太宰治が死んだ。
いつの間にか、死んでいた。
生きていたのに。
自分の心の中にずっと居たのに。

ゲノに連絡した。
なあ、墓参りに行かない?

いいよ。

ねえ、ギター持って行ってもいい?
もちろん。

三鷹駅集合。

僕らは、まだ青春をしていた。

お墓までいつも通り適当な話をしながら向かうと、なんだかテレビが騒ぎ立てていた。
恐らく太宰治大先生が死んだ日だからそれを惜しむ人間たちに心情を聞きたいのだろう。

わかる。


お墓に着くと写真を撮る人たちがたくさんいて、なんだか、寂しくなった。
なんだかよくわからないのだけれども、寂しかった。
なんでだろう。

帰り、歩いていると、猫がいた。
ねえねえ猫だよ!
ゲノが言うと、やっと気づいた僕はびっくりした。
とても大きな猫で、人間に慣れている。
むしろ人間なのではないかと思えるほどに大きくて、触ろうと思ったが、なんだか触ると、太宰治のことを忘れてしまいそうなのでやめた。

ゲノは猫アレルギーなのに触って痒がっていた。
バカだなあ
これも青春だもんなあ。


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