🌀嵐の丘で立ち尽くす者たち 3

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第3話 小さな火
その大地は、昼と夜の境目が曖昧だった。
空は明るいのに、どこか冷えを含んでいる。
日が沈んだわけでもないのに、空気はゆっくりと温度を失っていった。
「……少し、寒いな」
アルジェリーナが、翼をすぼめるようにして言った。
羽根の奥まで、冷えが染み込んでくる。
「あたいのいた山だって寒かったけど、ここは……なんつーか、心がスースーするよ」
「温度というより、空気が『空っぽ』な感じがしますね。ホコリ一つ浮いていないというか……」
ホズミが自分の腕をさすりながら、レオンを見た。
レオンは空を睨んだまま、短く言った。
「……火を焚く。座ってろ」
レオンはそう言って、周囲を見回した。
雲は薄く流れ、太陽の位置も定まらない。
時間というものが、ここではまだ形を持っていないようだった。
乾いた枝は少ないが、折れた小枝や、枯れた草は見つかる。
レオンはそこらに落ちている小枝を拾い上げたが、不思議そうに首をかしげた。
「……軽いな」
「軽い?」
「ああ。まるで、中身が詰まってねぇみたいだ」
レオンが指先に少し力を入れると、枝は「パサッ」と力なく粉々に砕けた。
「……えっ、何その枝。
役に立たないじゃん」
アルジェリーナが横から口を出すと、レオンは無言で次の枝を拾い、今度は慎重に組み上げた。
ホズミは一瞬嫌な予感をおぼえる
「……大丈夫でしょうか」
「小さくだ。すぐ消せる」
レオンは落ち着いた声で答える。
いつものように、判断は早い。
石を組み、枝を集め、
火はすぐに生まれた。
ぱち、と小さな音。
淡い炎が揺れ、橙色の光が三人の顔を照らす。
「……あたたかい」

アルジェリーナは、ほっと息をつき羽根を少し広げ、火に近づく。
ホズミも、火を見つめた。
焚き火は、見慣れたもののはずだ
それでも――この火は、どこか違って見えた。
音が静かすぎる。
炎が燃える音はする。
だが、周囲の大地が、それに応えていない。
風もない。
火の揺れは、炎自身の動きだけだった。
「……妙ですね」
ホズミは、星図の石を胸元に引き寄せた
石は沈黙している。
何も告げてこない。
それが、かえって不安だった。
しばらくして、火の勢いが強くなった。
枝を足したわけでもないのに、炎が高く伸びる。
「……燃えすぎじゃねぇか?」
レオンが眉をひそめる。
薪(まき)が爆ぜる「パチッ」という音ではなく、地響きのような「ゴォッ……」という低い音が混ざり始めたからだ。
「ナニ?なんなの!
この火、なんか怒ってない?」
アルジェリーナが慌てて後ろに下がる。
「ホズミ、石はどうだ!」
「……石は静かなままです! でも、この火……まるで地面の底から何かを吸い上げているみたいだ」
土の奥から、じわりとした温もりが返ってくる。
やがて、ホズミが小さく息を呑んだ。
「……地面が、赤く……」
炎の下の土が、わずかに色を変えている。
まるで、内側から熱を帯び始めたかのように。
「消そう‼️」
レオンはすぐに立ち上がり土をかけた。
火は、あっさりと消えた。
煙は細く立ち上り
熱だけが、そこに残った。
「……大丈夫、だよな?」
アルジェリーナが、不安そうに言う。
「小さな火だ。問題ない」
レオンはそう答えたが、
視線は、消えた火の跡から離れなかった。
地面は、まだ温かい。
まるで、眠っていた何かを
そっと起こしてしまったかのようだった。
その夜――
三人は、焚き火をせずに休んだ。
空は相変わらず明るく、暗くもならない。
だが、大地の奥では、確かに何かが動き始めていた。
それを、まだ誰も知らない。
何かが起ころうとしてますね〜
ソレは何なのか…
わし(ムヒ)の持つnoteかだけが知っている😁
次回はこちら
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