茶道部だった私の、ゆるすぎるお抹茶時間
1.茶道は忘れた。でも抹茶はずっと飲みたかった
高校時代、私は茶道部だった。
……とは言っても、今ではお点前の手順なんてほとんど覚えていない。
アニメのワンシーンで茶筅(ちゃせん)通しを見て「あっ、これやったな」と思い出せる程度である。
それでも最近、家で時々お抹茶を点てている。
立派な茶室もない。
作法もかなり怪しい。
なんなら着物ですらなく、普通に部屋着だったりする。
でも、その“ゆるさ”くらいが今の自分にはちょうどいい。
そして多分私は、ずっと前からこういう時間に憧れていたのだと思う。
茶筅を買うまでの、地味に高い壁
茶筅って、意外と高い
小国神社のことまち横丁や、お茶の専門店へ行くと、茶筅は安くても2500円〜3000円くらいする。
もちろん、ちゃんとした道具なのは分かる。
でも、「お抹茶をちょっと飲んでみたいな」くらいの人間には、なかなか勇気のいる値段だった。
だから私はずっと、
「いつか欲しいな」
と思いながら、一歩踏み出せずにいた。
そんな中、Amazonで初心者向けのお抹茶セットを見つけた。
茶筅も茶杓(ちゃしゃく)も茶匙(ちゃさじ)一式2000円でついている。
「これくらいなら、ちょっとやってみようかな」
そう思えた。
抹茶ラテじゃなくて、“お抹茶”が飲みたかった
もともと抹茶はずっと飲んでみたかった。
でも喫茶店へ行くと、抹茶ラテばかりだった。
もちろん抹茶ラテも美味しい。
でも、なんというか、ちょっと違った。
私が飲みたかったのは、多分“お抹茶”だったのだと思う。
茶筅でシャカシャカして、自分で点てる、あの感じ。
昔の茶道部の記憶と、和文化への憧れが、どこかにずっと残っていたのかもしれない。
2.晩御飯のあとに、一服する時間
テーブルが綺麗になると、一日が終わる
最近好きなのが、晩御飯のあとにお抹茶を飲む時間だ。
晩御飯を食べる。
洗い物をする。
テーブルを綺麗にする。
そこでようやく、
「あー、今日は終わった」
という気持ちになる。
そのあと、お菓子とお抹茶を用意して、アニメを見ながら一服する。
その時間がかなり好きだ。
“何もしない時間”を飲んでいる
最近飲んでいる抹茶は、島田の道の駅「門出」で買ったものや、西尾市の抹茶だ。
静岡も愛知も、お茶の産地である。
飲み比べてみた結果、私は西尾のお抹茶の方が好きだった。
逆に煎茶は森町のお茶の方が好き。
同じお茶でも結構違うものだなと思う。
あとこれは完全に自分の性格の問題なのだけれど、煎茶って意外と工程が多い。
急須に茶葉を入れて、お湯を注いで、少し待って、湯呑みに注ぐ。
しかも最後には茶葉のゴミが出る。
でもお抹茶は、粉を置いてお湯を注いで、茶筅でシャカシャカ。
終わり。
ズボラ人間の私には、こっちの方が合っていた。
ぼーっとお湯を沸かして、アニメを流して、シャカシャカと茶筅を振る。
多分私は、お茶そのものというより、
“何もしない時間”
を飲んでいるのだと思う。
3.水羊羹と抹茶の、謎の調和
甘いものの後に飲みたくなる
この間、イオンで水羊羹を見つけたので買ってみた。
それをおやつに、お抹茶を点てる。
すると不思議なことに、甘い水羊羹のあとに飲む、少し苦味のある抹茶が妙に合う。
口の中で、甘さと苦味が綺麗に繋がる。
あの“謎の調和”は、なんなのだろう。
昔の人は、よくこんな組み合わせを考えたなと思う。
茶道部時代の知識、失敗で思い出す
とはいえ、現実はそんなに美しいばかりでもない。
茶筅でシャカシャカしていると、普通に右手が筋肉痛になる。
しかも、「今日は完璧に溶けた!」と思ったのに、底にダマが残っていたりする。
そして、そのダマを飲んだ瞬間、めちゃくちゃ苦い。
その時ふと思った。
「ああ、だから茶道部の時、お抹茶を一回こしてたのか……」
人は失敗すると学ぶ。
高校時代には理解できなかったことを、今になって実感している。
4.白米茶碗では限界があった
抹茶茶碗って、ちゃんと意味がある
今の私は、急場凌ぎで白米を食べる用のお茶碗で抹茶を飲んでいる。
別に飲めないわけではない。
……のだけれど、茶筅でシャカシャカしていると普通に狭い。
泡立てようとすると、ちょっと溢れる。
「あっ」
となって、テーブルに抹茶を飛ばす事もある。
そこでようやく気づいた。
抹茶茶碗って、ちゃんと意味がある形なのだ。
茶道具って、見た目や格式だけじゃなく、“使いやすさ”の積み重ねだったのかもしれない。
ちょっとずつ揃えていきたい
だから最近は、ちゃんとした抹茶茶碗が少し欲しくなっている。
茶筅も、茶碗も、お菓子皿も。
こうして少しずつ欲しくなっていくのが、和文化の怖いところかもしれない。
とはいえ、一気に全部揃えるつもりはない。
今の私は、多分このくらいがちょうどいい。
Amazonの茶筅で、道の駅のお抹茶を、白米茶碗でちょっと溢しながらシャカシャカする。
そんな、ゆるすぎるお抹茶時間が結構気に入っている。
最後まで読んでくれてありがとう。
着物やお抹茶みたいな和の文化を、ちゃんとしすぎず、のんびり生活に混ぜながら楽しんでいる。
他にも、木綿着物のことや、和装で暮らす中で感じたこと、アニメや昔の記憶から思い出した和文化の話なんかも色々書いているので、よかったらそちらも覗いてみてほしい。
