AI工程マネージャ入門(第2回:grepがLLMになった話)
fabricの「テック系記事を自動化するpipeline」を組もうとして、パターンをどう並べるか考えていた。
そうしたら、いつの間にか手が止まって、頭の中は「自動化」の歴史を遡り始めていた。
今日はその寄り道の記録。
1990年頃のUnixの思想
原点はここだった。
grep
↓
sort
↓
awk
↓
mail
当時の「自動化」とは、決まった手順を人間の代わりに実行することだった。
毎日ログを集める
エラーだけ抽出する
レポートをメールする
全部シェルスクリプト。cronで夜中に動かしていた人もいた。
今思うと、AIがどこかに入っていないだけで、構造はいまと変わらない。シンプルだから迷うことも少ない。シェルスクリプトをパイプでつなぎ、タイマー装置をつければ、それだけで立派な自動処理システムになる。
※grepとは:実は地味で便利な只のコマンド
この土台を理解できると、ここ数年流行っている「エージェント開発」も、わりとスッキリ見えてくる。
進化したのは、コマンドが「思考」になった
grep
↓
extract_wisdom
↓
summarize
↓
create_article
2026年版にすると、こうなる。
02:00 Scheduler
↓
GitHub巡回
↓
LLM要約
↓
重複除去
↓
評価
↓
Markdown生成
↓
Forgejo保存
↓
note下書き
驚くほど構造は同じ。変わったのは、grepがLLMになっただけだ。

「考える」の主語が変わった
昔は、こうだった。
人間
↓
シェルを書く
↓
cronが実行
考えるのは人間。実行だけがコンピュータ。
今は、こうなっている。
人間
↓
目的を書く
↓
AIが途中を考える
↓
Scheduler
「途中の思考」まで手放したのが、
この数十年で一番大きな変化なんだと思う。
大きいと言えば、大きいが、本質は殆ど不変だ。
何が自動化されたのか、で年表を作ってみる
1970年代:処理の自動化
1990年代:業務の自動化
2010年代:サービス連携の自動化
2020年代:推論の自動化
「何が自動化されたのか」という軸で並べると、50年近い流れが一本につながる。そこにいまのAIを置いてみると、「革命」であると同時に「長い進化の続き」でもあることがよくわかる。
パイプの前後に何を挟むかは変わり続けてきた。でもパイプという発想そのものは、55年前からずっと生き残っている。

意外にも普通
fabricを触っていて感じたのも、結局これだった。新しい道具に見えて、中身はUnixのパイプの延長線上にある。
ここまで書いておいて何だが、
全部自動化できたら、私が不要になるのか?という問題がある。ところが、いつまでたっても、その私は相変わらずであった。
次回は、この歴史の上に実際に組んだ「テック系記事を自動化するpipeline」の設計について書く予定です。

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