編集が「広場」になる瞬間~Rust製コードエディタ「Zed」
Zed — 2026年5月、まだ誰も知らないうちに触ってみた話
画面共有って、なんか疲れませんか?
「30行目あたりを見てほしいんですけど……」
Zoomで画面を共有しながら、相手に説明する。相手は見ているだけで、操作はこちらだけ。ラグがある。説明するだけで時間が溶けていく。
これがこれまでの「一緒に作業する」の標準だった。
一人が運転して、一人がナビゲートする。悪くはない。でも、どこかに「同期コスト」がかかっている。準備して、URLを送って、繋いで、共有して、ようやく本題に入る。
その前提が、変わりつつある。
Zedって何?
Zedは、コードを書くための道具だ。「テキストエディタ」と呼ばれるカテゴリに属している。
プログラマーが毎日何時間も向き合う、いわば仕事場そのもの。コードを書く、ファイルを管理する、変更を記録する。そういったことがひとつの画面で完結する。
ただし、同じカテゴリの他のツールとは、質感が違う。

起動した瞬間に、何かが違うと感じる。重くない。待たない。開いた瞬間からそこにある。スクロールしても、日本語が混じったファイルを開いても、どこにも引っかかりがない。音楽にたとえるなら、余計な残響がない音。使う人が引き出すまで、黙って待っている道具だ。
間違えた話
公式サイト(zed.dev)を開いて、ダウンロードボタンを押した。完了して開こうとしたら、MacOS版だった。

落ち着いてWindows版を
Zedはもともとmacから生まれたツールで、その名残がそのままページに出ていた。正しいボタンを選び直して、改めてダウンロード。
そこだけ、5秒の笑い話。
Mac版: Zed-aarch64.dmg(約129MB)
Windows版: Zed-x86_64.exe(約78MB)
ダウンロードしたファイルを開けば終わりだ。
環境変数も、設定ファイルも、不要だった。

エディタが「広場」になった
Zedには「Zed Channels」という機能がある。
プラグインで後から足した機能ではない。エディタのコアに、最初から組み込まれている。
何ができるかというと、Google Docsのように、複数人が同じコードを同時に編集できる。一人がロジックを書き、もう一人が隣でテストを書く。
「実況解説」ではなく「同時執筆」だ。

Zed
しかも、URLの発行も招待コードも不要。チャンネルにいるメンバーをクリックするだけで、即座に相手の編集画面にダイブできる。内蔵の音声チャットもあるので、ブラウザも別アプリも立ち上げなくていい。
もうひとつ、面白い仕掛けがある。ホスト側の開発環境(補完機能やエラーチェックの仕組み)が、ゲスト側にそのまま共有される。つまりゲストは、環境構築ゼロで、ホストと同じ体験を得られる。未来的だった。
「VS Codeが電話なら、Zedはテレパシー」と評する人がいる。物理的な距離をゼロにするのではなく、同期コストをゼロにすることを目指している、という意味だ。
エディタは、一人で向き合う「道具」から、チームが自然と集まる「広場」へと変わりつつある。
実はAIも呼べる
「でもAI時代に、エディタだけで大丈夫?」と思った人のために、もう少し話しておく。
Zedには「Bring Your Own Agent(自分のAIを持ち込む)」という考え方がある。Claude CodeやGemini CLIといった外部のAIエージェントを、Zed内のパネルから直接呼び出して使える。ターミナルを別に開いて、コマンドを打って、エディタと行き来して、という手間がない。書いている画面の隣でAIに頼める。
自然な言葉でAIに指示しながらコードを作っていくスタイル——いわゆるバイブコーディング——を試したい人にとって、入口が一か所になる、という意味で大きい。
ZedはGoogleやJetBrainsとも協力して、どのAIエージェントでも接続できるオープンな規格を作り始めている。これは2025年後半から動き出した、まだ新しい流れだ。
AIはエディタに乗った。でもエディタが主役のままだ。
この順序が、Zedらしい。

なぜ今出てきたのか
ZedはRustというプログラミング言語で書かれている。
Rustは速さと安全性を両立するために設計された言語で、難しいが、その分、作られたソフトウェアは軽く、堅牢になる傾向がある。Zedの「引っかからない」感触は、この選択から来ている。
2026年の今、あらゆるツールがAIを前面に押し出している。でもZedの設計の核心にあるのは、AIではなく「エディタとして完成していること」だ。AI機能は、後から選んで加えるオプションとして存在している。エンジンがしっかりしていて、カーナビは好みで選べる、という設計。
そしてVS Codeは、10年の歴史の中で少しずつ重くなった。
それは仕方のないことだ。機能が増えれば、重くなる。
Zedが今出てきた意味は、そこにある。
新しいサイクルの、始まりのような気がする。

いつか有名になる気がする理由
VS Codeが最初にリリースされたのは2015年。
最初から有名だったわけではない。使っている人が少しずつ増えて、気づいたら「これが普通」になっていた。
Zedのバージョンは、この記事を書いた時点で1.2.3。数字が小さい。歴史が浅い。日本語の情報も、まだほとんどない。
でも、道具としての素性がいい。
軽くて、静かで、インストールが怖くない。
広場を持っていて、AIを選べる。
この記事を数年後に読んだ人は、どう感じるだろう。
Zed公式サイト: https://zed.dev
動作環境: Windows 10/11、macOS 10.15以降、
Linux 2026年5月時点の情報です。

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