イヤホンが使えない人間がいることを知ってほしい|耳汗・アトピー持ちが辿り着いたHuawei FreeClip
子供の頃からイヤホンが使えなかった。
正確に言うと、耳に入れること自体はできる。でも10分もすると耳の中が痒くなる。我慢して使い続けると、イヤーピースが汗でベタベタになって滑り落ちる。
耳汗だ。
アトピー体質でアレルギーマーチを抱えている私の耳は、何かで塞がれると汗を出す。密閉されることに身体が拒否反応を起こしてるのかもしれない。皮膚科の先生に聞いたわけじゃないから正確な医学的メカニズムは分からない。ただ、結果は毎回同じだった。痒い。ベタつく。外す。
この悩みをネットで検索したことがある。
「イヤホン 耳 痒い」
「カナル型 汗」
「イヤホン アトピー」
出てくるのは
「イヤーピースの素材を変えましょう」
「こまめに拭きましょう」
みたいなアドバイスばかりで、
そもそも耳の穴を塞ぐこと自体が無理な人間の話は、どこにも書いてなかった。
だからこれを書く。
人生で5回試して、5回全滅した

学生時代から数えて、カナル型イヤホンを5回は試した。
「今度こそ大丈夫かもしれない」と思って買う。最初の数分は大丈夫。でも10分を超えたあたりから、じわじわ来る。耳の中がむず痒い。 我慢して勉強を続けようとするが、集中できない。痒さが意識の全部を持っていく。結局外す。
イヤーピースを替えてみた。シリコンからフォームタイプへ。変わらない。
別のメーカーを試した。変わらない。
AirPods、SONYのWFシリーズ。どれも「カナル型」である限り同じだった。耳の穴を塞ぐ構造が、私の耳には合わない。素材の問題じゃない。
構造の問題だった。
5回の全滅を経て、私はイヤホンという道具を諦めた。
イヤホンがない生活は、静かだった
電車の中。何も聴いていない。
周囲はみんなイヤホンをしている。
音楽、ポッドキャスト、YouTube。
自分だけの音の世界に入っている。
私は電車の走行音とアナウンスと他人の咳払いを、全部そのまま受け取っていた。
別に音楽が嫌いなわけじゃない。家ではスピーカーで聴く。
でも外では聴けない。イヤホンという道具が使えないから。
ヘッドホンという選択肢もあったかもしれない。
でも外出先でヘッドホンは大げさだし、通勤電車で使うには邪魔だ。
結局、外では何も聴かないまま何年も過ごした。
それが「普通」だと思っていた。イヤホンが合わない体質の人間は、外では音楽を諦める。それだけの話だと。
イヤーカフ型という概念を知った

転機は、YouTuberの瀬戸弘司さんが紹介しているのを見たことだった。
Huawei FreeClip。 イヤーカフ型イヤホン。
耳の穴に入れるんじゃない。耳の縁に引っ掛けるだけ。耳を塞がない。
「そんなもんで音が聴こえるのか?」が最初の感想だった。半信半疑で買った。

届いて、箱を開けて、耳につけた。
……え、つけてる感覚がない。
軽すぎて、何もつけていないのと変わらない。本当に再生されてるのかと思ってスマホを見たら、ちゃんと音楽が流れていた。耳の中に何も入っていないのに、音が聴こえる。不思議な体験だった。
そのまま1時間つけっぱなしにした。
痒くならない。
2時間。痒くならない。
1日中つけた。痒くならない。汗も出ない。
人生で5回全滅したイヤホンという道具が、初めて味方になった瞬間だった。
1年半使って分かったこと

FreeClip初代を1年半以上使っている。今も毎日使っている。
使い続けて分かった良い点と、正直な不満を書く。
良い点。
耳汗が出ない。 これが全て。カナル型では10分が限界だった私が、FreeClipでは1日中つけていられる。この一点で、私にとってはこのイヤホンに代わるものがない。
外の音が聞こえる。 耳を塞がないから、会話も電車のアナウンスも普通に聞こえる。通勤電車で乗り過ごす心配がない。歩いてるときも車の音が聞こえるから安全だ。
左右の自動切り替え。 右耳に付けても左耳に付けても、勝手に判定して再生してくれる。左右を気にする必要がない。ケースから取り出して、どっちかの耳に引っ掛ける。それだけ。
つけてることを忘れる。 約5.6gの軽さ。つけたまま寝そうになったことが何度もある。
正直な不満。
音質はカナル型に負ける。 これは構造上仕方ない。耳を塞がないから低音は弱いし、音漏れもする。静かな場所で大音量で聴くと周囲に聞こえる。ただ、私は「最高の音質」を求めているんじゃない。「イヤホンが使える」こと自体が目的だった。音質は十分だ。
風に弱い。 屋外で強い風が吹くと、風切り音が入る。これは開放型の宿命。
FreeClip 2は2日で返品した
後継のFreeClip 2が出たとき、当然買った。
2日で返品した。
理由は音質でも機能でもない。質感だ。

初代のベージュカラーのサラサラしたマット仕上げが、2ではギラギラしたミラー仕上げに変わっていた。ホワイトを選んだのに、大部分がシルバー。手で持つとヌルヌル滑る。耳に引っ掛けても、初代ほどのフィット感がない。
24,800円のイヤホンを2日で返品するのは勇気がいった。でも毎日身につけるものの質感が合わないのは、私にとっては致命的だ。

初代のベージュカラーのサラサラなマット質感が好きな人は、初代が買えるうちに買っておいたほうがいい。 2は別物だ。
私と同じ人がどこかにいるなら

この記事を書いたのは、どこかに私と同じ人間がいるかもしれないと思ったからだ。
カナル型イヤホンが痒くて使えない。
汗で滑って外れる。
でもそれを言語化してるネットの記事が見つからない。
「イヤーピースを変えれば?」
「慣れれば大丈夫」
というアドバイスは全部試した。全部ダメだった。
もしそういう人間がこの記事に辿り着いたなら、伝えたい。
イヤーカフ型という選択肢がある。 耳の穴を塞がないイヤホンがある。Huawei FreeClip初代は、今ならセール価格で2万円以下で買える。
音質はカナル型より劣る。ノイズキャンセリングもない。でも、そもそもイヤホンが「使える」ことのほうが、ノイキャンの静寂より価値がある人間がいる。
私がそうだった。
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