【エッセイ:第8回】「〇〇感」の時代に生きて🌈
1. 「〇〇感」という言葉の広がり
昭和感、リアル感、映え感、テンション感──。
近年、「〇〇感」という言葉を耳にする機会がどんどん増えている。
安心感や不安感、緊張感、満足感、疲労感といった言葉は昔からなじみ深いが、「映え感」や「テンション感」となると、昭和生まれの私からすると、どこか“違和感”がぬぐえない。
2. 言葉は生きている
もっとも、言葉は時代とともに変わっていく。
はじめは奇妙に聞こえる言葉も、気づけばすっかり定着していたり、逆にいつの間にか消えていたりする。
それもまた、言葉の自然な営みなのだろう。
3. 略語のインパクト
最近は「〇〇感」だけでなく、省略のスピードも加速している。
コンビニエンスストアが「コンビニ」、スマートフォンが「スマホ」になるのは理解できる。
だが、ある日ネットで見かけた「舐ぷ(なめぷ)」には衝撃を受けた。
調べてみると、もともとは「舐めたプレイ」の略。ゲーム用語だったものが、職場での態度を表すなど、文脈によって意味が揺れ動いている。
正直、私にはついていけなかった。
4. 戸惑いとリアル感
こうした言葉への戸惑いは、私の「加齢感」ゆえなのかもしれない。
しかし同時に、その「違和感」こそが、時代の変化を肌で感じる「リアル感」につながっている気もする。
言葉は生きている。
若者たちは次々と新しい言葉を生み、自分たちの感覚や価値観を表現していく。
私たち中高年が戸惑うのも、自然なことだ。
5. 断絶か、共感か
ただ、すべてを拒絶してしまえば、世代間に「断絶感」が生まれてしまう。
大学の学生と話していると、「エモい」「尊い」といった新語の中には、既存の言葉では表せない豊かな感情が込められていると気づく。
「エモい」には、懐かしさ・切なさ・美しさが入り混じっており、確かに「エモい」という言葉でしか伝えられない感覚があるのだ。
6. 「〇〇感」がつなぐもの
そう考えると、「〇〇感」とは明確な意味よりも「場の空気」や「共有される雰囲気」を伝えるための装置なのかもしれない。
正確な定義がなくても、「わかる人には伝わる」。
これは、現代が「正しさ」より「伝わりやすさ」や「共感」を大事にしていることの表れなのだろう。
7. 世代を超える実感
「昭和感」「違和感」といった言葉さえも、いまや自虐やユーモアを込めて使われるようになった。
言葉の背景には、より繊細な感情やニュアンスを共有したいという願いがあるのではないだろうか。
今日も学生から新しい「〇〇感」を耳にし、「なるほど、そう来たか」と思いつつ、ほんの少しの「ジェネレーション感」を抱える自分がいる。
言葉を通して時代とつながり、人とつながる。
その「実感」こそ、私にとって大切な「感」なのかもしれない。(おわり)
次回は、「ふつうにおいしい」という不思議 をお送りします。毎週水曜日更新です。ご期待ください!
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