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♯047【餅つきは、七つの工程のハーモニー】おいしくたくさん食べよう

 “ ヴォーンヴォーン、ガガッ、シュタタ、シュタシュタ、ヴォーンヴォーン、シュタタ、シュタシュタ ”と餅つき機の運転音が鳴り響く。白い楕円形の球体は、臼釜の中で縦長や横長の楕円に変化し、ぐるぐる回っている。割りばしの先を少しだけ突っ込み、絡みつく強さ弱さを感じ取り、ねばり具合を確かめる。” 硬すぎてもいけない、柔らかすぎてもいけない ”

 餅つき機の” つく ”ボタンを押して、約9分の時が経つ。ほど良い加減になったところで” 停止 ”ボタンを押し、臼釜を「よいしょ」と持ち上る。餅とり粉がまぶされた三方枠付きのし板の上にボタッと、湯気が立ちのぼる餅を落とす。すると「待っていました」とばかりに、歳月を織り込んだ手のひらが現れ、湯気の中で静かに美しく舞う。つきたての餅は、その手に包まれ、まるく、まる~く、幸せを祈るように形づくられていく。

 今日は、朝早くから餅つきの手伝いに来ている。毎年の町内某班の恒例行事で、今年で3回目の出席である。今までは知らんふりして、行事を横目に通り過ぎていたのだ。おしゃべりオババに(※1)見つかり、「杵をつく若手募集よ、ちょっとした杵つき体験会だから。」と声を掛けられ、「自分が若手ですか?杵つきの経験は無くて迷惑をかけるから」と返事をしたのだが、なんやかんやと例の” ドリフ大爆笑 芸者コント 柄本 明さん ”風の口調に言いくるめられて、ぐいぐいと引っ張り込まれ嫌々渋々に出席したのが始まりだ。

 ※1)直近では、♯043【運命のバトンと未完のバトン】に書いた近所のおばさん。町内を越えて至るところに出没している
 ♯043【運命のバトンと未完のバトン】どちらを選ぶ?選ばないという選択肢もあるとおもう|もんきち

 つき(杵でつく)だけがメインイベントかと思っていたら、力仕事で重要ではあるけれども、単なるパフォーマンス(見せ場)に過ぎない。餅つきは、「とぐ」、「ひたす」、「蒸し」、「こね」、「つき」、「仕立て」、「調える」の七つの工程のハーモニーであり、最後は「(おいしく)頬ばる」なのである。「とぐ」、「ひたす」、「蒸し」、「仕立て」、「調える」は婦人部のお姉さんたちの担当だ。それぞれの工程を担当しているお姉さんたちはその道のプロ、つまり職人のようだ。手順立てて教えることを苦手とする人は多いようにおもう。そのときの気分で手順は前後してしまったり主語がなかったり、説明できなくなると「こうやるんだよ、見て覚えなさい」という感じなのだ。

 2~10人程度の社員で構成されているような会社組織であれば、そんな意識・行動で良いとおもうのだが、今どきの大企業のシステムというか細分化された業務分掌を、一生懸命に対応する若い人たちには通用しないはず。” 文化的継承と技術的継承を行い、つないでいく ”という意識は低いようにおもう。” なぜ日本の文化的継承はうまくいかないのかという話題 ”はニュースやネットで見かける。” 教えているつもりだが、教わる側の時代背景の変化に付いていけていない ”ことに根っこの構図があるのではないか。

 ところで、「こね」、「つき」の工程はノウハウを少しかじっていて「あー、ちがうんだな、ちょい右だ」とか言うペチャクチャマウスの評論家もどきジジイたちはいる。つまり「こうやるんだよ」という見本を見せることのできるジジイたちはいない。最初の年に参加した時は、自分ともう一人(近隣のだれかだった)でYouTubeを観てから、交互に必死に杵をついた。1回当たり二升(約3kg)は「こね10分」、「つき20分以上」の大変な労力が必要なのである。3回目をつくころには、” ドリフ大爆笑'86餅つき ”コントのワンシーンのように、杵で手をつきそうになったり、臼の方に杵を振り落とせず足に当たりそうになったりとフラフラだった。コントでは面白おかしく、セリフと映像で表現されているけれども、実際に起きそうな(起きてしまった?)事件をコント化しているようにおもう。

 ジジイたちに「こね」、「つき」をさせない理由は別にある。本当のところ、ジジイたちは「こね」、「つき」はできる。だけれど、パートナーから禁止されているのだ。糖尿病と高血圧や高脂血症を持病に持つジジイたちが、急に杵をついたらどうなるか誰でも想像はつく。発作を起こされたら、楽しい餅つき行事は中止になってしまう。婦人部のトップ軍団は” 持病持ちに、まともな杵つきや判断をできるはずはない ”と目を光らせている。杵を握ろうとするジジイが現れたら、「あんた、大丈夫なのかい? 」とストップをかけている。どんな会社組織であっても、” 持病持ち ”には目を光らせている。正しい判断だとおもう。

 最初の年の行事が終わり、お土産にどっさり持たされた” あんころ餅 ”を片手にボロアパートに帰る途中に「来年、呼ばれたらフラフラになってツライだろうな」とおもい、1年かけてリユース餅つき機(¥4,500円)を探し出して寄付することにした。二升(約3kg)を3回つくと、握力は無くなり、首・背中・肩・胸・腕の筋肉痛や関節痛は3週間以上続く。負傷原因がはっきりしている筋肉痛や関節痛については健康保険は使えるのだが、餅つきなどの娯楽で発生した筋肉痛などの場合には、健康保険は使えない。整骨院の医療費を考えれば、寄付の金額は” 格安 ”なのだ。リユース餅つき機(¥4,500円)のボタンをポチッと押した方が、餅の品質は安定し、参加者のみんなもたくさん食べれて嬉しいし、自分の身体や杵のつき手をする人にも優しい。三方よし(伊藤忠商人の心得 新潮社 著者:野地 秩嘉)になるのではないかとおもう。

 餅つき機を導入するようになってからは、杵つきは本当の体験会となった。九分つき餅を臼に入れて、「ヨイショ、ヨイショ、ヨイショ」の掛け声とともに杵を3回振り下ろして交代するだけなので、参加者は増えたようにおもう。想像だけれども” ガチで杵つきをさせられたら、たまらないから不参加にしていた ”のかもしれない。今年は、お代わりする人が多いので九分つき餅を5回つく。地味に盛り上がり、意気投合した人が集まるのはよいことだ。

 来年は参加できるかわからない。餅つき機を使用する人が困らないように、手順を簡単に書いてA4一枚にまとめてクリアファイルに入れておいた。婦人部のお姉さん方がそれぞれに発する重要なワードも拾い上げてある。共有できるノウハウは、いつでもハンドオーバー(引継ぎ)ができるように準備しておくことは大事なことだとおもう。

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 🔳餅つきは、「とぐ」、「ひたす」、「蒸し」、「こね」、「つき」、「仕立て」、「調える」の七つの工程のハーモニーです。一番大事なのは、みんなで「(おいしく)頬ばる」ことです。
 
 ・餅を作れる目安:二升(約3kg)で15
          ~20人分。たこ焼き
          1個分くらいのサイズ
          で90~100コ作れ
          る。

 「とぐ」  1回当たり一升(約1.5kg)
      をとぐこと。約25分かかる。
      白米をとぐ要領と同じでよい

 「ひたす」 10時間がコツ。6~8時間
      だと硬めの餅になる。ひたし
      た時間が短い場合は、婦人部
      に対応方法を聞くこと

 「蒸し」  餅つき機(※)の取説を読むこ
      と。パッキンと羽根を固定して
      ボイラ内に指定された量の水を
      入れる。二升(約3kg)の場
      合、自動制御で約40分で蒸し
      終わる。停止ボタンを押すこと

 「こね」「つき」 二升(約3kg)の場合、
        約9分でつき終わる。停止
        ボタンを押すこと。7分過
        ぎたら、割りばしの先を少
        しだけ突っ込み、硬さを確
        認すること

 「仕立て」 臼釜を持ち上げて、餅とり粉が
      まぶされた三方枠付きのし板の
      上にボタッと落とす。まるく仕
      立てる餅の大きさは、たこ焼き
      1個分くらいを目安とすること

 「調える」 いそべ、ずんだ、きなこ、あん
      ころ、からみの味付けをする。
      調理の要領は、婦人部に聞くこ
      と

 「(おいしく)頬ばる」 よく噛んで、たの
       しく、たくさん食べましょう
 
 (※)メーカーYouTubeを観ましょう。
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