見出し画像

デザインレビューで、最初に見るべき順番があります

「この青、ちょっと違う気がして」

会議室で、そう切り出された。画面に映っていたのは、まだ骨組みだけのバナーだった。誰に、何を届けたいのか。何を一番に読ませたいのか。それはこれから決める、という段階。

なのに、最初に議題にのぼったのは「青」だった。

責める気はない。むしろ、これはあるあるだと思う。人は、目に飛び込んできたものから話し始める。色、フォント、余白。手前にある「表現」は、いちばん語りやすいから。

でも、そこから始めると、レビューはたいてい迷子になる。青を直し、フォントを変え、余白を足したり引いたりして——それでも「なんか違う」が消えない。当然だ。ズレていたのは、色ではなかったのだから。

レビューが空回りするのは、「順番」のせい

レビューがうまくいかないとき、原因は「見る力」ではないことが多い。
見る順番だ。

デザインには、深さの違う4つの層がある。手前から、細部・表現・構造・目的。多くの人は、いちばん手前の「細部」や「表現」から見てしまう。腕のいい人は、逆をやる。いちばん奥の「目的」から、上から順に降りていく。

  • 目的|これは何を達成するためのものか(クリックか、理解か、記憶か)

  • 構造|情報は、読ませたい順に並んでいるか

  • 表現|トーン・色・書体は、その目的に合っているか

  • 細部|揃い・余白・文字詰めは、整っているか

上の層がズレていると、下をいくら直しても直らない。逆に、上が決まっていれば、下は自然と決まっていく。だから、上から見る。

家を建てるとき、壁紙から選ぶ人はいない

家を建てる場面を想像してほしい。

最初に決めるのは「なぜ建てるのか」だ。家族で暮らすのか、店をやるのか。次に、間取りと動線を引く。それから内装の素材や色を選び、最後にドアノブの質感を詰める。

もし壁紙の色から議論を始めたら、間取りが変わった瞬間、全部やり直しになる。「青」からレビューを始めるのは、これとまったく同じことをしている。

目的(なぜ建てるか)→ 構造(間取り)→ 表現(内装)→ 細部(ドアノブ)。カメラでいえば、引きの画から、寄りの画へ。順番を守るだけで、手戻りは驚くほど減る。

最初のひと言を、言い換えてみる

×「この青、違う気がする」
◎「これ、何をさせたい画面だっけ?」(目的へ戻す)

×「フォント変えたい」
◎「最初に読ませたいのはどれ?その順に並んでる?」(構造を見る)

×「なんか地味」
◎「この目的なら、信頼を出す?それとも勢い?」(表現を目的に紐づける)

「表現」や「細部」の話は、最後でいい。上が固まっていれば、そのときには"直すべき理由"まで、一緒に見えている。

まとめ:レビューは、上から降りる

層見るポイント最初の問い①目的何を達成するためかこれは、何をさせたい?②構造読ませたい順に並ぶか最初に目に入るのはどれ?③表現トーンは目的に合うかこの目的に、この見た目で合ってる?④細部揃い・余白・詰め整ってる?ノイズはない?

上から降りる。それだけで、「なんか違う」が「ここがズレている」に変わる。

今日からの一歩

次のレビューで、最初のひと言を「目的」から始めてみてください。

「これ、何を達成したい画面だっけ?」

この一問を置くだけで、そのあとの会話は、迷子にならずに済む。細部の話は、それから始めても遅くない。

細部から覗くか、目的から覗くか。同じデザインでも、どこから見るかで、見える景色はまるで違う。私たちは目の前のものを「見ている」つもりで、じつは"どこから見るか"に、いつも選ばされているのかもしれない。
——この「視座」の話は、universeのほうで続けます。


いいなと思ったら応援しよう!