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【学校では教わらない#08】“やさしい人”と“いい人”の境界線

こんにちは。ピアノ講師・メンタルコーチの One Heart です。


隔週木曜日にお届けしている“生きスキ”マガジン
「学校では教わらない、生きるスキル。」
今日は8回めです。


「いい人でいなきゃ」と思って、つい無理をしてしまうことはありませんか?


人に合わせすぎてぐったりしてしまったり、本当は断りたいのに「NO」と言えなかったり・・・。


気づけば、まわりの期待に応えることばかりで、自分の気持ちはどこか置き去りになっている……。
そんな経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。


一方で、「やさしい人」とよばれる人は、不思議と疲れていないように見えるたりします。


相手を思いやりながらも、どこか芯があって、自然体。
似ているようでいて、「やさしい人」と「いい人」には大きなちがいがあります。


このちがいを知ることは、生きるうえで大切な“スキル”のひとつ
今回は「やさしい人」と「いい人」の境界線を見つめながら、少しでも生きやすくなるヒントを一緒に探していきましょう。


✧✧✧


「やさしい人」と「いい人」その差はどこにある?

「やさしい人」と「いい人」。
言葉はよく似ているけれど、よくよく見てみると、そのあり方には大きなちがいがあります。


“やさしい人”は、自分の気持ちを大切にしながら、相手にもやさしくできる人。


それに対して、“いい人”は、自分のことを後回しにしてまで、相手の期待に応えようとする人。


たとえば、誰かに何かを頼まれたとき。
“やさしい人”は「これは今の自分にできるかな?」と一度立ち止まって考えます。


できそうなときは笑顔で「いいよ」と引き受けて、ちょっと難しそうなときは「ごめんね、今日は無理なんだ」とやわらかく断ることもできます。
断ること=悪いことではなく、誠実さのひとつだとわかっているからです。


一方で、“いい人”は「断ったら申し訳ないかな…」「嫌われちゃうかも…」と、つい自分を後回しにしてしまいます。
本当は無理をしているのに「いいよ」と言ってしまい、後になってどっと疲れたり、モヤモヤした気持ちが残ってしまうこともあるんです。


こうして見てみると、やさしい人のやさしさは“自分を大切にする強さ”から生まれていて、いい人のやさしさは“断れない不安”や“嫌われたくない気持ち”から来ているのかもしれません。


このちがいを知るだけでも、人との距離感がぐっとラクになることがあります。


✧✧✧


「いい人」でいることが、なぜこんなにしんどいの?

「いい人でいたほうが、きっとうまくいく」
そんなふうに思って、人に合わせたり、無理をしてしまった経験はありませんか?


「嫌われたくない」「がっかりされたくない」「ちゃんとした人と思われたい」・・・。


こうした気持ちは、心理学でいう“承認欲求”と呼ばれるもの。
誰にでもあるごく自然なものです。


でも、この気持ちが強くなりすぎると、だんだんと「自分よりも相手を優先する」ことが当たり前になっていきます。


たとえば職場で、「今日は残業お願いできる?」と頼まれたとき。
本当はもうクタクタだったり、家に帰ってやらなきゃいけないことがあったとしても、「ここで断ったら迷惑かな…」と感じて、つい「大丈夫です」と言ってしまう。


一見、まわりからは「頼りになる人」と思われるかもしれません。
でもそのあと、どっと疲れが出たり、心の中に「また無理しちゃったな…」という小さなモヤモヤが残っていたりすることもあります。


ママ友づきあいでも、「断ったら気まずいかも」と思って、気の進まない集まりに顔を出す。
会話に無理やり合わせて笑って、帰るころにはぐったりしている・・・そんなふうに、自分をすり減らしてしまう場面、意外と多いんです。


実はこういった“本音と行動のズレ”は、心理学では「認知的不協和」と呼ばれ、心にストレスを生む原因になるといわれています。


さらにそのストレスが積み重なると、脳の中では「コルチゾール」というストレスホルモンが過剰に分泌され、集中力の低下や不安感、体調不良など、心と身体の両方に影響が出てしまうこともあります。


そしてなにより怖いのは、長いあいだ“いい人”でいようとし続けると、だんだんと「自分の声」が聞こえなくなってしまうこと。


本当はどうしたいのか、何を感じているのかが分からなくなり、気づけば「わたし」という存在が、少しずつ薄れていってしまうのです。


相手の期待に応えようとするやさしさが、結果的に自分を苦しめてしまうこともある・・・。


だからこそ、自分の気持ちにやさしく耳を傾けることが、大切な一歩になるのかもしれません。


✧✧✧


ほんとうの“やさしさ”って、強さだったんだ

「やさしい人」と聞くと、やわらかくて、気が利いて、いつもまわりに気を配ってくれるような人を思い浮かべるかもしれませんね。


でも実は、“ほんとうのやさしさ”って、すごく芯のあるものなんです。
ただ人に合わせているのではなく、「自分のことも、相手のことも、どちらも大切にする」という姿勢から生まれているやさしさ。
そこには、じつは・・・強さがあるんです。


たとえば、誰かからSNSやメールでメッセージが届いたとき。
やさしい人は、すぐに返事をしなきゃと焦る前に、「いま、落ち着いて返信できるかな?」と自分に問いかけます。


気持ちに余裕があれば、そのまま丁寧に返すし、ちょっと疲れているなと感じたら「少し時間を置こう」と判断することもできる。


無理のないタイミングで応えることは、相手を大切にすることでもある・・・そんなふうに、やさしさを育てているのです。


断ることは、決して冷たいことではありません。
むしろ、自分に無理がないからこそ、心からのやさしさで相手と関われるんですよね。


こうした態度は、境界線(心理学では“バウンダリー”とも呼ばれます)をしっかり持っているからこそ、できることでもあります。


どこまでが自分の役割で、どこからが相手の領域なのか。
線を引くことは、距離を取ることではなく、むしろ信頼を育てる土台にもなるのです。


そしてもうひとつ。
やさしい人は、自分の感情を押し殺しません。
「こう感じてるな」とちゃんと気づき、その気持ちと向き合いながら、どう伝えるのがいちばんいいかを考えます。


感情をためこまないからこそ、関係がすれ違わずにすみますし、自然体でいられる時間が長くなるのだと思います。


ほんとうのやさしさは、「いい顔をすること」でも「相手に合わせること」でもありません。


それは、自分にも相手にもまっすぐ向き合う、あたたかくて強い在り方なのです。


✧✧✧


ムリなくできる、“やさしい人”への一歩

「やさしい人になりたいな」と思っても、いきなりすべてを変えるのはむずかしいもの。
だからこそ、まずは小さな一歩から始めてみるのがおすすめです。


たとえば、誰かに頼まれごとをされたとき。
すぐに「うん」と返事をする前に、そっと自分に問いかけてみてください。


「これは相手のため? それとも、“いい人でいたい自分”のため?」


ちょっと立ち止まってみるだけで、自分の気持ちに気づくことができます。
そのうえで、「できそうだな」と思えば気持ちよく引き受ける。
「今日はちょっと無理かも」と思ったら、「ごめんね、今日は予定があって」とやんわり伝えてみる。


最初は勇気がいるかもしれませんが、こうした小さなNOの練習は、自分を大切にする第一歩になります。


そしてもうひとつ、やさしい人になるために大切なのが、自分を満たすこと


しっかり休む。
おいしいものをゆっくり味わう。
好きな音楽を聴いてほっとする時間をつくる。


そんなふうに自分の心に栄養をあげることが、やさしさの“土台”になります。


そして覚えておきたいのは、境界線は冷たさではなく、信頼の合図だということ。


できることとできないことを素直に伝えることは、誠実さでもあり、相手との関係を長く心地よく保つためにも大切なことなのです。


やさしさって、何か特別なことをすることではなくて、
「いまのわたしに無理がないこと」
「相手の気持ちにも、自分の気持ちにも、ちゃんと向き合うこと」


そんなふうに思えたら、今日からでも、やさしい人に近づいていけるはずです。


まとめ。

「いい人」でいようとする気持ちの奥には、不安やさびしさ、ほんの少しの自己犠牲が隠れていることがあります。


だからこそ、誰かにやさしくしようとして、かえって自分を苦しめてしまうこともあるのかもしれません。


一方、「やさしい人」は、自分の気持ちにも、相手の気持ちにも、まっすぐ向き合える強さを持っています。
それは、自分を大切にすることをあきらめない“やさしさの芯”のようなもの。


大きく変わる必要はありません。
今日から、小さな「NO」を言ってみる。
自分を満たす時間を少しだけ増やしてみる。
そのひとつひとつが、無理のない「やさしい人」への一歩になります。


生きていくうえで、境界線を持つことも、ちゃんとした“やさしさ”のかたち。


それは、あなたの人生をすこしずつ、心地よいものにしてくれる大切な生きるスキルなのです。


必要な方に、そっと届きますように。


今日も愛あふれる一日をお過ごしくださいませ。



✧˙⁎⋆合わせて読みたい記事

「自分を大切にすること」に、ちょっと罪悪感をおぼえるときに。
わたし自身の体験を交えながら、“やさしさ”と“ワガママ”のちがいについて書いています。


「まず、自分を満たすこと」って、ほんとうに人のためになるの?と迷ったときに。
空海の言葉をヒントに、“自分を大切にすること”と“やさしく生きること”のつながりを考えました。





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