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突然降ってきた香港② | 神様はビルの向こう ~黃大仙~

ゴミ箱を探しながら右往左往していると、ふと気づいてしまった。お賽銭がない。 ATMは手数料がかかるけど、結局これが一番ラクで、一番マシ。
今日のレートは、492香港ドルか。じゃあ、キリよく400香港ドルで。

画面が止まったと思ったら、ピンピンの香港ドルが吐き出された。ATMから戻ってきたクレジットカードに、思わずキスをプレゼント。ついでに、大きなトランクも空港の荷物預かりへ放り込んだ。

バスのアイコンを頼りに、ずんずん進む。
A29、A29……。ぼそぼそ唱えながらバス停へ向かうと、2階建てバスが滑り込んできた。お目当ての2階最前列を確保。腰を下ろすと、目の前には一直線に伸びる道路が広がっていた。これだけで、もう乗ってよかったと思える。

バスは驚くほど滑らかに出発した。エンジン音だけが、やけにうるさい。険しい山、キラキラと光る海、そしてコンテナの山。風景はどんどん変わり、その先には高いマンション群がびっしりと立ち並んでいた。気づけば小一時間、景色を眺めていた。

……あれ、今どこだ。どこで降りるんだっけ。

見渡しても降車ボタンが見当たらない。一番前に座っているせいで、他の乗客の動きもよく見えない。

まずい。

慌ててGoogleマップを開くと、どうやら次が目的地らしい。
えーっと、荷物OK!携帯OK!忘れ物なし!

ちょうど他にも降りる人がいて、その流れでなんとか地上へ。ぼーっとしていると、普通に置いていかれる。周りを見渡すと、ビルが壁のように立ち並び、横断歩道のない道路を車がビュンビュン行き交っている。Googleマップは「まっすぐ」を示している。少し右へ行ったところに、人が吸い込まれていく場所を発見した。

このビルを突っ切れってことか……。

わけが分からないまま、とりあえず人の流れに乗ってみる。最初は一人、二人とまばらだった人波が、だんだん大きな流れになっていく。みんな黙々と、同じ方向へ歩いている。さすが香港で、一番有名な神様だ。こんなに大勢が朝っぱらからお参りに行くのか。

流れに乗ってエスカレーターを何階か上がると、そこはオープン前のモールだった。Googleマップの矢印通り進むと、今度は人の流れと逆走する形になった。近くの看板を見ると確かに「黃大仙」とは書いてある。だが、様子がおかしい。だってこのまま進むと……どう見てもマンション街だ。

そこでようやく気付いた。この流れ、モールを抜けて地下鉄へ向かう、ただの通勤ルートだったのか。

Googleマップよ。どこが5分だ?
明らかにもう目と鼻の先に来てるのに、なぜ、こうもたどり着けない。


黃大仙はモールのすぐ隣だった。オープンは7時半。時間つぶしにGoogleマップをチェックしていると、一人、二人とおばちゃまが増え始めた。井戸端会議が始まる。きっと毎日来てるんだろう。

時計が7時半を指すと、門が開き、おばちゃま方が一斉にエスカレーターへ吸い込まれていく。その先には、ずらりと銅像がお出迎えだ。いろんな動物がモチーフになっている。その中に自分の干支を見つけて、うれしくなってつい、なでなでする。しかし、みんなの動きの早いこと、さっさとついていかなければ。なぜなら、参拝の作法がよく分からない。お手本がいないと困るのだ。観光は後回しにして、まずは真剣にお参りすることにした。お香を9本貰い、見よう見まねで火をつけるが手こずってしまい、気づけば一人だけ取り残されていた。確かこっちの階段を登ってたはず。息を切らしながら上がっていくと、その先には、ようやく神様が待っていた。

黃大仙殿に3本。右の三聖堂に3本。最後に後ろの孟香亭へ3本。

よし、早速……早速??
……しまった。お願い事を決めてなかった。
うーーーんと…...まず

「香港へ呼んでいただき、ありがとうございます。」えーっと。
そして…そして……そうだ!


「無事、いっぱい、いっぱい、おいしい食べ物を食べられますように!」

煙の立ちのぼる巨大な香炉へ、お香を差した。


👣 ふらりマップ

⛩️嗇色園黄大仙廟



📍もう少しだけ、香港を歩く。
香港編③

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