カンボジア・マフィア帝国にメス?
タイ・カンボジア紛争とカンボジアの犯罪組織との関連については以前にnoteしましたが、その後韓国人や日本人の拉致監禁や死亡事件などで波紋が広がり、米国も詐欺で提訴したことを受け、タイ政府が捜査に乗り出しました。ベトナムでも大きく取り上げられているので内外の情報をまとめてみました。
タイ政府がプリンス・ホールディング・グループの捜査を開始
プータイ党の国会議員ダヌポーン・プンナカンタ氏は、チェン・ジーの資産がタイで見つかった場合、政府は迅速に行動するだろうと述べました。チェン氏はサイバー犯罪ネットワークの運営に関与しているとされており、マネーロンダリングに関連する可能性のある大規模な金の輸出に結びつけられています。アメリカは127,271ビットコインを押収しており、その価値は約845億円に達しています。
タイが強気に出る背景にはこんなことも関係していそうです。👇
普通に考えれば、アメリカがカンボジア詐欺グループに取り組み始めた流れで、タイ・カンボジアが協力するように枠組みが作られたと考えるのが妥当でしょう。
こちらの専門の方のnoteを見ても、いろいろと闇が深いのだな⋯と改めて💦
事件の概要と経緯
プリンス・ホールディング・グループの創業者兼会長である陳志(Chen Zhi)氏が、大規模なオンライン投資詐欺ネットワーク(サイバー犯罪ネットワーク)の運営者であるとして、米国および英国から制裁を受け、国際的な捜査の対象となっている事件です。
このネットワークは、カンボジアに拠点を置く「強制労働による詐欺複合施設(scam compounds)」から世界的なサイバー犯罪を運営していたとされています。被害者をソーシャルメディアやメッセージアプリを通じて誘い込み、高利回りの暗号資産(仮想通貨)投資を約束し、送金された資金を複雑なブロックチェーン技術を用いて洗浄していた疑いが持たれています。
詐欺事件の主な経緯はざっくり
2022年以降、ベトナム人のカンボジア奴隷労働が表面化、ベトナム軍が出動して救出する作戦
2024年7月 救出されたベトナム人85人をカンボジアが送還
2025年2月 ミャンマーの詐欺センターから260人の外国人を救出
2025年5月 カンボジア警察、日本人に対する詐欺の疑いのある基地を摘発
2025年6月 フィリピンでサイバー犯罪組織に騙された2,700人を救出
2025年7月 カンボジア、サイバー犯罪の最新取り締まりで数千人を逮捕
2025年8月 韓国人男性がカンボジアで拷問を受けて死亡の報道
2025年10月 詐欺団地で働かされていた韓国人64人がカンボジアから送還
2025年10月 米国、カンボジア人幹部を大規模暗号詐欺で起訴
報道では「首都プノンペンから約250km、シアヌークビル市のチャイナタウン近くに、「Yuanqu」と呼ばれる多くの建物からなる複合施設があり、さらにシアヌークビル市のホテルが電話詐欺組織の拠点になっている疑いがあり「Yuanqu」だけでなく、シアヌークビル市内の多くの高級ホテルやカジノも詐欺センターに変貌した。」と伝えています。
現在の状況
タイでは、陳氏がタイ国内に資産を保有していないか調査を進めており、マネーロンダリングや組織犯罪との関連が疑われる、カンボジアへの多量の金輸出についても監視を強化しています。
10月中旬にはカンボジアのPrince Bankでは、オーナーの疑惑を受けて顧客による預金引き出し(Panic withdrawals)が発生、混乱が報道され、また陳志氏自身は現在行方不明となっています。
陳志(Chen Zhi)とは?
Prince Holding Groupの創業者兼会長で、大規模なオンライン投資詐欺、強制労働、マネーロンダリングを行うグローバルなサイバー犯罪ネットワークを指揮したとされ、中国出身ですがカンボジア・英国のパスポート保有、と報じられています。カンボジアで一般の人が行方不明になってるのとは明らかに違う状況がありそうですね。
Prince Holding Group
陳志氏が2015年に設立したコングロマリットで30カ国以上で不動産、金融、銀行(Prince Bankなど)の事業を展開。
正規の企業活動と犯罪ネットワークの境界線が曖昧になってる(資金流用の疑い)疑いがあり、米国などの制裁対象となっています。
カンボジア政府の対応
Prince Holding Groupは国内で事業を行うためのすべての法的要件を満たしており、現時点では政府自体は同グループや陳志氏を不正行為で告発していないとしています。証拠に裏付けられた正式な要請があれば協力する姿勢を示しています。
外国の対応
米国は陳氏のネットワークに対する制裁を課し、犯罪活動に使用されたとされる約1,27,271ビットコイン(約150億ドル相当)を押収。これは米国史上最大の資産没収とされています。
また、英国は米国と同様に陳氏のネットワークに対する制裁を課し、大規模なオンライン詐欺と強制労働の運営を非難しています。
タイは陳氏の資産追跡、マネーロンダリングの疑いのある金融取引(特にカンボジアへの多額の金輸出)の調査、米当局との協力を行っています。タイの政治家との繋がりも調査対象で、インターポールへ陳氏の金融関連の追跡に協力を求めています。
シンガポールはPrince Holding Groupが関与する事件について「捜査中」であることを認めています。
米国の制裁について
2025年10月14日、陳志氏とプリンス・グループは米国財務省(OFAC)と英国政府から史上最大規模の制裁を受けました。これは「Transnational Criminal Organization(TCO)」指定で、146のエンティティと個人(うち117がオフショア企業)が対象です。主な容疑は以下の通り。
オンライン詐欺(Pig Butchering Scams):仮想通貨投資詐欺で、被害者は主に米国人。2024年の東南アジア発詐欺損失は100億ドル超。
人身売買と強制労働:カンボジアの「scam compounds」(詐欺施設)で、拉致された労働者を拷問・強制労働させ、詐欺を実行。sextortion(性的脅迫)や違法ギャンブルも含む。
マネーロンダリング:数十億ドルの違法資金を洗浄。利益でプライベートジェットやロンドンのオフィスビル(£100m)を購入。
カンボジアの詐欺犯罪リンクとの関連性
陳志氏とPrince Holding Groupの事件は、今回の詐欺・誘拐問題と報道上は直接的に一つの事件として断定はされていません。しかし、前述の米国のっ制裁にもある通り、以下の点で構造的な関連性が指摘されています。
カンボジアの「強制労働による詐欺複合施設」
大規模なオンライン投資詐欺、強制労働
グローバルなサイバー犯罪ネットワーク
陳志氏のグループが指摘されている「強制労働による詐欺複合施設」の運営は、韓国人や日本人を標的にした詐欺と強制労働が行われている、カンボジアで横行する国際的なサイバー犯罪スキームの一部、または同種の犯罪構造を代表する存在として見られています。
米国が差し押さえた巨額のビットコインと言い、サイバー犯罪や誘拐性労働と関連があるどころか、むしろ親分くらいに考えるのが自然でしょう。
韓国人誘拐事件について
カンボジアを拠点とした詐欺グループの活動は、韓国人誘拐・監禁事件と密接に関連していると見られ、韓国でも大きな問題となっています。
8月にカンボジアで韓国国民の遺体が発見されたことを受け、韓国は自国民が海外のオンライン詐欺センターに強制的に送り込まれるのを防ぐため、より強力な対策を講じるよう国民から強く求められていましたが、10月にはカンボジアのオンライン詐欺組織で働いていた64人が送還された、という報道が話題となりました。
2025年10月時点の報道によると、カンボジアで8月までに330人が行方不明・拘束されたとされ、現在は少なくとも韓国人約80人が詐欺に関連して行方不明とされています。
彼らの多くは、偽の仕事のオファーに誘い込まれたと考えられています。(これらはyoutubeでたくさん動画が作られています)
カンボジア渡航を禁止
事件を重く見た韓国は10月にカンボジアへの渡航を禁止しました。
韓国はカンボジアの一部地域に対し、最も厳しい渡航警告を発令し、自国民を狙った就職詐欺や拘留事件が急増していると政府が確認した地域から国民に対し退去を命じる「コードブラック」禁止令を発令した。
当局によると、詐欺行為の取り締まり後、カンボジア当局は韓国人約60人を依然として拘束しており、さらに80人の行方が分かっていないという。
韓国当局はベトナム・カンボジア国境付近で発見された30代女性の死亡についても、犯罪組織との関連があるかどうか捜査している。
カンボジアの詐欺やカジノが解体され、一刻も早くすべての被害者が解放されるとよいですが。
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