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「真実のえほん」魂玉でるぞ!? ガラポン抽選会! - 可愛い”誰かさん”たちのくじ引き絵本!

絵本本編

絵本の言葉(詩)

タイトル:「真実のえほん」魂玉出るぞ!? ガラポン抽選会!

 私「あっ、ガラポンやってる」
 あるときあるところ、長い行列ができていたので気になって来てみると、そこで謎の『ガラポン抽選会』が開催されていた。ん? ちょうど前の誰かが引き終わるぞ?
 ガラガラポンッ! どこからともなく変な掛け声が聞こえてくると、回転する抽選器の穴から傍のトレーに向かって、”白い玉”が一つ零れ落ちた。
 抽選スタッフ「あぁ~ざぁ――おめでとうございまぁ~す! はいっ、こちら”6等”の『ポケットティッシュ』になりまぁ~す」
 誰かさん①「ちぇー、ティッシュかよー。これじゃ鼻しかかめないじゃん」
 スタッフ「大丈夫! ちゃんと涙だって拭えますよ! だから気を落さないで! またいつか、チャンスはありますよ!」
 誰かさん①「まぁそうかー(でも使ったら減っちゃうんだよなぁ……)」
 スタッフ「次ー!」

 また誰かが引くようだ。ガラガラポンッ! 今度の玉は”緑色”だ。
 スタッフ「おっ、良い玉が出ました! 緑は”5等”の『駄菓子セット』になりまぁ~す! おめでとうございまぁ~す!」
 誰かさん②「ちぇー、駄菓子かぁ~。確かに美味しいけど、すぐ無くなっちゃうし、身体にも悪いんだよなぁ~」
 スタッフ「なぁに言ってるんですかぁ~! 食べられるだけマシですよぉ~! でももしご不満なら、6等のティッシュと交換もできますが、いかがされますかぁ~?」
 誰かさん②「ん~、まぁティッシュと比べちゃうとねぇ~……それなら駄菓子でいいや(とっとと食べて、また次の”抽選権”持って引きに来よっと)」
 スタッフ「賢明な判断だと思います。次ー!」

 またまた誰かが引くようだ。ガラガラポンッ! 今度の玉は”青色”だ。
 スタッフ「素晴らしい! 青は”4等”の『洗剤セット』になります! よかったですねぇ~! これでしばらく”衛生的”ですよぉ~!」
 誰かさん③「衛生的、ねぇ……(できれば食べ物がよかったな……)」
 スタッフ「ご不満ですかぁ? 駄菓子と交換しますぅ?」
 誰かさん③「いや、いいよっ。ありがとう(前は駄菓子だったけど、一瞬で無くなったからなぁ)」
 スタッフ「どういたしまして! あなたなら洗剤セット、きっと有効活用できますよ!」
 誰かさん③「はいはい(まぁ前よりはマシってことで、とりあえず納得するか)」
 スタッフ「次ー!」

 またまたまた誰かが引くようだ。ガラガラポンッ! 今度の玉は”赤色”だ。これはかなり良い色のようで、会場全体が一瞬だけどよめいた。
 スタッフ「素晴らしぃー素晴らしぃー! 良い色が立て続けに! これは”流れ”が来ているのかもしれませんねぇ!」スタッフの称賛を前に、赤色を引いた誰かさんは、ソワソワと落ち着かないご様子。どんな賞品が貰えるのかと、期待でワックワクなようだ。
 スタッフ「赤は”3等”! 賞品は何とぉ~――」会場全体が固唾を呑む。「『特上肉の詰め合わせ』でぇ~すっ!!」
 一瞬の静寂の後、会場が沸く。わぁぁぁぁぁぁ! みんな口々に、「いいなぁ~。僕も欲しいなぁ~」とか、「肉だ肉だ肉ぅぅぅぅぅぅ!!」などと歓声を上げては、赤色を引いた誰かさんに対して、羨望の眼差しを向けるのだ。
 スタッフ「はいこれっ、お肉でぇ~す! よく味わってくださいねぇ~? おめでとうございまぁ~す!」
 誰かさん④「うっひゃ~っ! これでしばらく”美味しい思い”ができるぞぉ~!」
 スタッフ「さっ、みなさんもこれに続きましょー! 次ー!」
 *
 押せ押せムードだったのも、つかの間。どうやらさっきのは『一時的なイレギュラー』だったらしく、それから何千・何万という”白緑青”が排出され続けた。そんななか、まだ見ぬ”異色の玉”がトレーの上に転がったことで、会場のドンヨリ・ムードが一転する――何とそれは、”黒色”の玉だったのだ。
 これだけの挑戦の末出現したレア玉だ、きっと良い玉に違いない! ”2等”か!? ”1等”か!? はたまたその上の”特別賞”だったりして? 否が応にも膨らむ期待……。だがトレーを見つめるスタッフの表情を見るに、どうも結果は芳しくなさそうだ。
 「つ、ついに出てしまいましたね……”恐ろしいレア玉”が……」おっかなびっくりと、トレーから黒玉を拾い上げたスタッフは、どうしてなのかそれを、そのまま『引き当てた誰かさん』に向かって差し出すのだ――訳も分からないまま、それを受け取る誰かさん……胸のなかには期待と不安が入り混じっていた。
 「誠に残念ですが、黒は”ブービー賞”となります。よってあなたが受け取る賞品は、ありません……」スタッフの口から、残酷な運命が告げられる。それを聞いた誰かさん、しばらくは耳を疑って呆然としていたが、やがて受け入れがたい現実を理解したように、涙を流し始めるのだった。これにはさすがのスタッフも、気休めの言葉すらなく、ただただ慰めるばかりだ。
 「非常に残念です……恐らくこの先、あなたにとって辛い経験が待っていると思います……ですが忘れないでください、『どんな苦しみもいつかは終わる』ことを……微力ながら私も、この先あなたに神のご加護があらんことを、祈っております……」
 こうして、その『可哀そうな誰かさん』は、泣き続けるまま別のスタッフに連れられて、会場を後にするのだった……それを見ていた私も、何ともいたたまれない気持ちになって、ついにその場を立ち去ろうする――そのときだった。
 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」群衆の大歓声が沸き起こり、また私はつい、興味惹かれて振り向いてしまう。するとトレーの上には、ひと目で”良いやつ”だと分かる”銀色の玉”が転がっているではないか! あれは間違いなく、”2等”か”特別賞”である……。『全くもう……最悪の玉のすぐ後にこんな良い玉が出るなんて……神様は何てイタズラ好きなんだろう……』と私は思った。
 チャリンチャリンチャリンチャリーンッ♪ スタッフがベルを鳴らして、当選者を祝福する。「出ました、出ましたー! 銀は大当たり”2等賞”でぇ~す! 気になるその賞品はぁ~?」ここで一旦の溜めを作るスタッフ。その静寂のなか群衆の心には、先ほどの『商品はぁ~?』の声が反響し続けるのだ……ゆえに一瞬は永遠になり、もはや何度その声が繰り返されたのか、覚えいる者は誰もいない……そして永遠の時を超えた先でついに、その答えが明かされる――。「『最新のゲーム機と、そのゲームソフト』でぇ~すっ!!」
 わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 溢れんばかりの熱気に包まれる会場。これによりある者は、「いいなぁ~。これであいつは、しばらく”遊んで暮らせる”のか~」と妬まし気に愚痴を漏らし、またある者は「ちくしょー! もうしばらく当たりは出ないかもなー!」と悲観的になり、またまたある者は「次は私が引いてみせる!」と一層ヤル気を漲らせるのだ。
 そんな会場の様子を傍観しながら、今さらながらに私は思う。『どうしてみんな、ガラポンに天運を任せたりして、わざわざ一喜一憂してるんだろう? そんなにまでも、それらの賞品が欲しいのだろうか?』と……。
 しかしながら、私はこうも思い始めていた。『せっかくここまで成り行きを見守ったのだから、せめて自分も”1等”か”特別賞”が出るまでは、このイベントを見届けてもいいかもしれないな』と……。そんな折、真後ろから誰かに怒声を浴びせられたことで、肝を冷やすこととなる――。
 「おい、お前! ’後’がつかえてるぞ! さっさと前に進め!」
 思わず驚いて振り向くと、何やら『カンカンに怒った誰かさん』が、私に向かって鬼の形相を向けているではないか? しかもそれだけではない――何と私の背後には、いつの間にやら『無数の誰かさん』たちがいて、最後尾が見えないほど複雑にうねりにうねった、『超超長蛇の列』を作っていたのだ! 戸惑った私は、周りのみんなにも聞こえるほどの声量で、大袈裟なリアクションを返してしまう。
 「あっ、私は『参加者』ではありませんよ! だからどうぞ先に行ってください!」そうして私はすぐさま、”誰かさんの波”を縫うようにして移動を始め、列から抜け出そうとする……がしかし、そんな私に向かって’上’にいる『監視員』が、こう警告してくるのだ。
 「そこの”あなた”! 勝手に列を離脱しないでください! ちゃんと”ルール”を守れないのであれば、厳しい処罰が下りますよ!」仕方なく私は、天を仰いで事情を説明する。「ですが私は『参加者ではない』のです! ここには単なる”野次馬”として来ました! 気づいたら”列の中”にいたんです!」すると監視員がこんなことを言ってくる。
 「いいえ、『あなたは参加者』です。なぜなら『ここに来た時点で、誰もが参加者』だからです! よってあなたも抽選を受ける義務があります。もし義務を放棄するのであれば、あなたには『それ相応の”制裁”』が下ることとなります」 
 私「そ、そんな……」
 監視員「もちろん嫌ですよね、そんなの?」
 「はい……制裁は、嫌です……」と言いつつ私は、その制裁がどんなものかを全く知らなかった……でも『制裁』と言うのだから、恐らくは凄惨な罰なのだろう……そんなのは勘弁だった……。
 監視員「でしたら列に戻って、抽選を受けますね?」
 私「はい……」
 トボトボと元いた場所に戻りながら、私は釈然としない思いを抱えていた。強制参加? そんなイベント開催していいの……? いや、百歩譲って開催はOKだったとしても、せめて事前に通告するのが礼儀ってものじゃないの……? だがそんな理屈は、”ここ”では通用しなそうだ――たとえどんなに不本意であれ結局、私も”あのガラポン”に挑むしかないのである……。
 そうこうしているうちに、あっという間に私の番が近づいてきた。途中、”3等”が二回出て、その都度盛り上がったりしたのだが、やはりほとんどは4等以下だったので、私は自分の番が来るのが気が気ではなかった――どう足掻いても、ポケットティッシュを受け取っている未来しか見えないのである……。
 しかし、そんな私の様子を心配してか、『一つ前にいる誰かさん』がこんな言葉をかけてくれる。「大丈夫? いきなり強制参加だなんて言われて、驚いたよね……? 僕も最初は見物してただけだったんだけど、あなたと一緒で、気づいたら列の中にいたんだ……。でもこうなった以上僕は、潔く抽選を受けて、その結果を受け入れるつもりっ。お互い”良い結果”が出るといいね? 大丈夫! なるようになるさっ!」
 その『優しい誰かさん』は、そうして私に『勇気の出るおまじない』をかけてから、臆することなく自分の抽選へと向かっていった。その後ろ姿を見ながら私は、『ああいう誰かさんにこそ、幸運の女神が微笑んでほしいな』と思っていた……。ほどなくして、その願いが叶うこととなる――何と抽選器の排出口から、”虹色”の玉が転がり落ちたのだ!
 カーンッ! コーンッ! カーンッ! コーンッ! 途端に会場全体に響き渡る、澄んだ鐘の音……そのあまりの大音響に、私たち全員の魂までもが、空間と共鳴して震えている……。それにそれに、あぁ……何て美しい音色だろうか……。私たちはすっかりその音色に魅了され、気づけばまた永遠の時が流れていた……そしてようやく、何度目かすら覚えていない鐘の音が、終わりを迎える――。
 次いで響くは、熱狂した抽選スタッフの声。
 「で、で、出ましたーっ!!! 『虹色の玉』ぁぁぁぁぁっ!!! これは皆さんのご想像通り、”特別賞”となりまぁぁぁぁぁすっ!!! しかして気になる、その賞品はぁぁぁぁぁぁぁぁ……こちらぁぁっ――」スタッフが、当選者である『優しい誰かさん』の横の空間を示すと、そこに無数の光が集まっていき、やがて大きな『白い袋』がポンッと出現する。依然として中身は不明だが、その袋には間違いなく『神聖なオーラ』が宿っているのだ……。いったい何なのだろう? 会場全体が耳を傾けるなか、ついにスタッフがその正体を、高らかに発表する――。
 「特別賞の賞品はぁ~……何と! 開けてビックリ! 『お楽しみ福袋』でぇぇぇぇぇぇぇぇすっ!!!」しかし会場は静まり返ったままだ。ある意味、拍子抜けというか……とにかくまだ、具体的な中身が何一つ明かされていないので、みんな反応に困っているようだ……。だがそれも、次のスタッフの説明で一変する――。
 「これは、当選者だけが中身を知ることができる、”特別な福袋”ですっ! ちょっと具体的なことは、ここでは申し上げられませんが、何でも”1等賞”に匹敵するほどの豪華さと、それとはまた違った特別さを兼ね備えた、それはそれは『素敵なもの』が入っているそうですっ! よかったですねっ? 当選者さんっ! 本当に本当に、おめでとうございますっ!!」
 賛辞と”秘密の賞品”を贈られた『優しい誰かさん』は、嬉しそうに「はいっ! ありがとうございます!」と答えた後、「うわぁ~! 何が入ってるんだろ~? 楽しみだなぁ~!」と感嘆しては、その袋にポニュッと抱きついてしまう。この一連の流れをしかと見届けた会場は、次の瞬間には大熱狂の渦に包まれていた。
 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!! それに伴い、必然的に飛び交う、中身に関する個々の推測……ある者は「きっと大量のオモチャが入ってるんだ!」と言い、またある者は「いや、袋の大きさや重さが必ずしも、中身と直結しているとは限らない! もしかしたら『高級車』とか、そういうレベルの物かもっ!」と言い、またまたある者は「それで言ったら、『ジェット機』とか『大量の金塊』って線もあるぞ!? 可能性は無限大だっ!」と言っていた。
 そんななか、袋を抱きしめながら幸せそうに笑っていた『優しい誰かさん』が、ふと私の方を見て、穏やかに微笑むのだ……直接言葉を交わさずとも、そのとき私にはハッキリと聞こえた――『君も頑張ってね!』と言う、あの子のエールが……。やがてスタッフに連れられて、会場を後にした『優しい誰かさん』……それを見送った私は、今ではすっかり”その子の雄姿”に感化されており、いつしか『自分も必ずや”1等”を引いてみせる』と、身の程知らずな野望を抱くまでになっていた。そして私の番が来る――。
 ”1等賞”は何が貰えるんだろう……? 無難に『旅行券』とかかな……? いや、さっきの参加者たちの憶測を聞いた限りでは、『もっとスゴイもの』である可能性も……よぉしっ! 何であれ必ず引いてみせる! そしてその後で私は、きっと”あの子”の元へ追い付いて、共に栄光を分かち合うんだっ! 来いっ! 1等っ! 来ぉぉぉぉぉぉぉいっ――(ガラガラポンッ!)。
 気づけば私の手の平には、何の変哲もないポケットティッシュが一つ……それを呆然と眺めながら私は、心のなかでこう呟くのだった。

 『うんっ、知ってたっ』


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