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盛岡の書店に関する思い出

自分の子ども時代の盛岡には地区ごとに小さい書店があって、それぞれ大変お世話になりました。その中には、だいぶ前になくなったものもあれば、今でも営業を続けている老舗もあります。

そのすべてをここで挙げることは難しいですが、良くお世話になっていた(今もお世話になっている)大きめの書店を中心に思い出を書いていきたいと思います。


1.東山堂(肴町本店ほか)

今でこそ郊外型にシフトし、肴町本店は少し寂しくなりましたが、自分にとって盛岡の書店というとここでした。小中高の教科書販売所としても有名ですね。

肴町本店は、現在は2階までの営業となっていますが、4階建てで、1階から最上階までぎっしりと本で埋まっていた記憶があります。自分の子ども時代の思い出というとマンガの階で立ち読みしていたことですが(もちろんちゃんと買った本もあります)、2階の商店街通路側に「鳥のように」という喫茶室が入っていたことを覚えています。

最上階には東山堂楽器店や音楽教室が入っていたような気もしますが、記憶はやや曖昧です。今は1階中心で、2階も児童書・参考書・専門書などが置いてありますが、かつてと比較すると大分縮小しました。

東山堂といえば、大通りのサンビル2階に入っていた「ブックセンター」も思い出深いですね。こちらは専門書にも力を入れ、ワンフロアを贅沢に使った店構えで良く使っていました(受験参考書も多く、たしか当時は代々木ゼミナールの参考書が置かれていたのは盛岡でここだけだったので、高校時代に重宝しました)。後半は中心市街地の人出が減り、ネット販売なども盛んになる中で惜しまれつつ閉店しました。

その後の東山堂は郊外型の店舗に注力していくことになります。各地で自宅の近くの東山堂が思い出深かったという方がいらっしゃると思いますが、私にとって強く印象に残っているのは、三ツ割店です。郊外店ながら品揃えも本格的で、専門雑誌や岩波文庫なども置いてあったことが印象深いです。こちらも、岩波文庫の処分セール(岩波書店は書店側の買い取りで返品ができないので割引するほかなかったのだと思います)が行われたとき、別れが近い予感がしましたが、その後しばらくして2023年に閉店してしまいます。今はサンドラッグになっています。

2.さわや書店(本店・フェザン店ほか)

東山堂と並んで地元系の大手書店チェーンと言えば、やはりさわや書店でしょう。

本店には郷土書だけを集めた棚があり、以前紹介した『もりおか歴史散策』もここで買いました。郷土書が多い都市は文化を大切にする都市だとおっしゃる方もいらっしゃいますが、(上記の東山堂と同様)盛岡の書店は大抵郷土書だけで1棚あるので、これが特別なことだと思ったことはありませんでした(まさか、他の都道府県の地元書店には郷土書のコーナーがないということはありませんよね!?)。

郷土書の棚はもともと3つくらいだったと記憶していますが、最近行ったら、喫茶店の本など広い意味では郷土(岩手)に関係のある本の棚も別に用意されていますし、店の前にはタウン誌なども平置きしているので、トータルでは相当な分量になると思います。

ほかにも、地元タウン誌のバックナンバーや、絶版になりながら復刊された、昭和後期の盛岡の街並みの様子を収めた写真集『あの角を曲がれば』を販売していたり、壁に昭和期の盛岡の写真が貼ってあったりと、観光で来ても面白いかもしれません。

また、さわや書店というと、本店・フェザン(盛岡駅ビル)店ともに、様々なユニークな取り組みで、出版業界ではかなり有名なようです。日経新聞を含め、さまざまな媒体で取り上げられていますが、下の全国大学生協連のサイトの記事を見ていただければ雰囲気は伝わるかと。

さわや書店が知名度を大きく上げた1990年代には、盛岡を離れていたので、私はそんなに話題になっていたとは全く知りませんでしたが、何にしろ、これだけ出版業界が厳しい中で元気に営業を続けていることだけでもすごいことだと思います。

本店2階に入っている喫茶店「オンディーヌ」も人気ですし、同じく3階には以前柳家の本店も入っていました。「いらっしゃいませーーーぇっ!!」という先日亡くなられた会長の声が耳に残っています。

3.第一書店(閉店)

今はなくなってしまいました、東山堂、さわや書店と並んで存在感が大きかったのが第一書店です。

2階の専門書・受験参考書コーナーが充実していて良く利用していた記憶があります。白水社の『エクスプレス』シリーズなど語学の本や美術書も多かったように思いますが、ギャラリーもあったからでしょうか。

2025年に盛岡駅前通りにその座を奪われるまで、第一書店があった場所は、公示地価で49年連続で盛岡最高額を記録していた場所です。「盛岡で一番良い場所」にあった第一書店は、間違いなく盛岡の繁華街のシンボルでした。閉店したのは2000年ごろだったと記憶していますが、ドラッグストア「ドラッグトマト」になった後、同チェーンがツルハに買収されたことにより、今はツルハの店舗になっています。

4.ジュンク堂

東山堂・さわや書店・第一書店と盛岡地元3大ローカル書店が少しずつ形を変え、あるいは縮小する中で、満を持して2006年のMOSSビル開業と同時に開店したのがジュンク堂盛岡店です。

同店の特徴は、2フロアを贅沢に使い、専門書やコミックを豊富に在庫した「さすが大手チェーン」という造りでした。専門書を大量に在庫することについては、前述した東山堂ブックセンターの撤退から心配する声もありましたが、大手チェーンの強みを生かした品揃えで、どのジャンルでも豊富な本を在庫しています。MOSSビルの駐車場が利用できるのも便利ですね。私もしょっちゅうお世話になっています。

その後、同グループの丸善の店舗と統合され、文具・書店を合わせた3階の1フロアにリニューアルされた上、かつてコミック売り場だった4階には、同グループがフランチャイジーとして経営する駿河屋が入りました。各コーナーは開店当初よりは縮小されましたが、それでも総合的には盛岡一の在庫を誇っていると思います。

5.独立系書店1:書肆みず盛り

盛岡には、いわゆる独立系書店がいくつかありますが、個人的に最も良く利用しているのが書肆みず盛りさんです。

こちらは南大通のいなだ珈琲舎と同じビルの2階に入っています。設計事務所(カタライズデザイン)を兼ねていることもあり、建築関連の本も多いですが、自然科学、民俗、絵本など様々な分野の本が置かれています。

この書店の特徴は、定期的に展覧会やイベントを行っていることで、絵画・美術作品の展示もあれば、郷土芸能に関連したもの、本や地元のものに関するポップアップストア、岩手県立博物館とタイアップしたサテライト展示やトークイベントなどを開催したりしています。県立博物館の「星に願いを」展では、木村榮先生のZ項論文全文のコピーを手に取ってみることができたりして大興奮でした。

ぶらっと覗いてみると、それまで全然知らない世界との出会いがあり、いつも楽しみにお邪魔しています。

6.独立系書店2:BOOK NERD

ニューヨークタイムズの「2023年に訪れるべき52の都市」で盛岡が選定された際に書店として唯一取り上げられていたのがBOOK NERDさんです。

ここは、哲学・思想、演劇・映画、芸術、サブカル系の本が多いでしょうか。熱狂的なファンが多く、かなり遠くからこのお店を訪ねるためにわざわざ来られる方も少なくないようです。ご主人のインタビューをご覧いただけると雰囲気が分かると思います。

以前の店舗は紺屋町にありましたが、今は大手先ビルに移りました。前にシャトンが入っていたところです。

7.独立系書店3:pono books & time

こちらは独立系書店と呼んで良いのかどうか分かりませんが、pono books & cafeは、新刊本と古本の販売とともに、喫茶やコワーキングスペース、イベントスペースを兼ねた業態のお店です。盛岡駅に近いので、待ち合わせなどに良いかもしれません(ただし、平日18時、土曜日17時までで、日祝日は休業なのでご注意ください)。

コワーキングスペースは電源も取れるので、作業にも使えます。時間制でも利用できますが、短時間であればワンドリンクを注文してそのまま使うこともできるようです。以前お邪魔したときにカフェオレを頼んだら、すごくかわいい入れ物に入って出てきました(笑)。

こちらも、インタビューを読んでいただければ、雰囲気が分かると思います。ご主人は本業があり、こちらは副業として営業されているようです。

まとめ

盛岡の書店についてとりとめなく書いてきたらかなりの分量になったので、この辺でいったん筆を置くことにします。今回は大手・独立系のいずれも新刊書店を紹介しましたが、盛岡には個性的な古書店もたくさんあります。機会があれば、そちらについても書いてみたいです。

なお、同じような趣旨の情報源として、以下の2つを挙げておきます。まずは、さわや書店本店に対する熱い思いが書かれたnoteの記事。

次に、mixi(2ではない方)の盛岡てくりコミュに書かれた過去存在した盛岡の書店について書かれた複数の記事。盛岡てくりコミュのURLをリンクしておきますが、この中に「盛岡の本屋さん」と題して10ほどの記事が記載されています。記事を書かれた方はほぼ同年代(か少し上)だと思いますが、ものすごいボリュームに脱帽です。


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