ショートショート_遠雷
雷は怖い。私には、そんな思い出がある。
無論、雷が優しいとか、良い思い出だとか言う人はいないだろうとは思うが。
小学校の高学年、確か、5年生の時だ。
雨の日の夜、自宅近くからの帰宅時に、突然の雷に遭った。それがかなり距離が近く。閃光と雷鳴が同時で。落雷も直ぐ近くで起き、目前の山の木に落ちた。
共に行動していた友人が腰を抜かし。動けなくなったので背負って命からがら帰宅した。
思い返せば、よく命が助かったものだと思う。ここで死ぬのかと思った。そして同時に、死んでたまるかと思った。
先週の朝、事務所に着くと雷が鳴った。窓から眺めた空に閃光が走り、しばしおいて雷鳴が鳴った。
あの時のことを、ふと、思い出した。
そんな日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「雷は」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【りんご右折】で。裏のお題が【ゴリラ社説】|д゚)チラッということだ。
また、山根あきらさんの、青ブラ文学部のお題は、少し早めに出る。
今週の青ブラ文学部のお題は、「春の定義」ということで。
春の暖かな風を受けつつ考えようかと思っている。が、こういう一見単純そうなのが、一番難しい。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジは「荒技師」だから。何とか、書くよな。
うむ……。チャレンジしてみよう。
3人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。ほんとうに励みになる。
また、今回は、san aminoさんのシロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を、シロクマ感想文として書いてみる。
今週も、「シロクマ文芸部・雷は」で検索して飛んで行き、「シロクマ感想文」を少し、コメントにて残した。
雷は、心揺さぶる。恐れとは違う何かに、心揺さぶられる。
玲奈は雷を研究しているとは、かなり身近でありながら高尚なようで。どういう角度から研究しているのか気になった。
昔、自宅近くで夜の雷に遭い。本当に近く過ぎて閃光と雷鳴が同時で。しかも雷鳴が冗談じゃなく強烈で。すぐそばに何度か落雷し。死ぬかと思った。
一緒に行動していた友人が腰を抜かして動けなくなり。抱えて家まで何とか辿り着いた。
あの時よく雷に打たれなかった、奇跡だと、今でも思う。
玲奈は、そして橘は、閃光でどんな横顔を見せたのか。それで2人の関係はどうなったのか。とても興味深いが、想像するしかない。
きっと玲奈は、研究をまっとうして卒業し。道を変えて人気ミステリー作家になる。対して橘も、道を変えて雷の研究を始め、いずれ世界有数の雷の権威になる。
そんな空想を、ふと、してしまった。
作品というのは、余韻や余白があるのが、やはり、良いと思うのである。
今、生きていられることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉(シロクマ文芸部)と、たらはかにさんの裏表のお題(毎週ショートショートnote)、そして山根あきらさんのお題(青ブラ文学部)、4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、5重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。
今週は5重の荒技だ。
うむ。
これで何週間だろうか。
まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
まるで、悪ガキそのものだな。
まあな。
なんのはなしですか。

さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「遠雷」約410字を、どうぞ。

雷は遠く鳴っていた。稲光が空に走り、だが研究室の中は安全だと思うに十分だった。
財前は、一時、災害について研究をしていたことがある。例えば地震の予知など、未来永劫不可能とされる課題だ。
だが結果的に、災害を予知して未然に被害を無くすことは不可能だと思い知らされた。
人智をいかに研ぎ澄ませても、地球規模の未来は予知などできない。
わかってはいたが、打ちのめされた。
研究室の前の道を真っ直ぐ東へ向かい。突き当たりのリンゴの木を右折すると新聞社の本社がある。
そこに最近、社説を一手に任されて書いている若き名物記者がいて。あだ名をゴリラと言う。
実は彼は、財前の学友で。理系でありながら文才を発揮し、頭角を現したのである。
今、財前の目の前にはゴリラがいる。
財前が言った。
「春の定義って、何だと思う?」
ゴリラが答えた。
「ほんとうの春は、この世から戦争が消え去ることだ」
災害は理不尽だが。人の業は、何とも非条理で罪深い。
遠くで雷鳴が響いた。

さっちゃん(注1)に、今日の荒技が終わったとソファーを振り返って話しかけると、さっちゃんは笑って言った。
そんな時間があるなら、もっとマッサー(注2)に使ってもらっていいのよ。今日は日曜日だし、また倍返ししてもらおうかな。
……。
マッサーをすると家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
(注2)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。

