ショートショート_桜風来逢(おうふうらいほう)
春の風は、桜をすべて散らしていった。既に近隣は、葉桜になっている。
今年は、思いもよらない強風の日が多く。桜吹雪を見ることができなかった。
しずこころなく花の散るらむ。
桜吹雪を見るたびに、紀友則の和歌を思い出す。
桜は、儚いものの代表である。そして日本人は、実に、この花が好きである。
かくいう私も、桜には花の中でも特別な感情を抱いている。
別れと、出会いと、そして奇跡を連れて来る桜。その散り際は、時の流れを思い起こさせる。
葉桜は、今度は。毛虫と初夏の湿気を連れてきて。やがて梅雨という所謂鬱陶しい季節を巡らせる。
そんな日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「春の風」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【警察県】で。裏のお題が【Yシャツ犬】|д゚)チラッということだ。
また、山根あきらさんの、青ブラ文学部のお題は、少し早めに出る。
だが今週は、青ブラ四字熟語の募集ということで。これに参画しようと思う。
私が創作した四字熟語は、これだ。
「桜風来逢(おうふうらいほう)」そしてこれを、題としよう。
• 四字熟語:桜風来逢(おうふうらいほう)
• 読み方:おうふうらいほう
• 意味:散りゆく桜の風に乗って偶然訪れた出会いが、過去に残してきた
謎の紐解きと未来の扉を開くような奇跡的な縁を連れて来る
• タグ:#青ブラ四字熟語 を必ずつける
• 応募は1人1作品まで/未発表のオリジナル限定
舫い綱とは、船を桟橋や岸壁に固定するための綱のことで。比喩的に人と人とを繋ぐ絆のことにも使う。
お題は今回の投稿のショートショートの題名にしよう。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、「荒技師」だなんて、あんまりおおっぴらに言わないほうがいいよ。
うむ……。そうだな。
3人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。ほんとうに励みになる。
また、今回は、あみの はるさんのシロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を、シロクマ感想文として書いてみる。
今週も、「シロクマ文芸部・春の風」で検索して飛んで行き、「シロクマ感想文」を少し、コメントにて残した。
この記事は、あみの はる さんの詩である。
詩を読んで、思った。2人は、すれ違い、少し離れていたのだ。
だが彼からの手紙、そして春の風がまた、2人の距離を縮めたようである。
春は、出会いと別れの季節。
でも。
出会いのほうが、私は、好きである。まして、懐かしい思いを含んだ再会が春の誘いでやってくるなんて、ちょっと微笑ましく思う。
春の風は、なぜか、そういう希望の匂いがする。
春、春。思えば、とてもいい季節だ。
今、生きていられることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉(シロクマ文芸部)と、たらはかにさんの裏表のお題(毎週ショートショートnote)、そして山根あきらさんのお題(青ブラ四字熟語)、4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、5重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。
今週は5重の荒技だ。
うむ。
これで何週間だろうか。
まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟いた。
まるで、悪ガキそのものだな。
まあな。
なんのはなしですか。

さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「桜風来逢(おうふうらいほう)」約410字を、どうぞ。

春の風が、警察県を吹き抜けた。
隠語でそれは、山形県の秘密警察第三研究所を指す。
その朝、涼は「Yシャツを着た犬」が拾得物として築地の交番に届いたとの報せを受け、瞬間移動ツールで財前の研究棟に連れて来た。
「旧型の捜査支援AIかもな。生体暗号の残滓がある」
財前が呟いたその瞬間、犬がくしゃみをし、Yシャツのポケットから桜の花びらが一枚、ひらりと舞い落ちた。
そこへ泉が偶然にも現れ、言った。
「夢で会ったの。ラフじゃなくてこの子だった。この子、春の風の中で私に話しかけてきたのよ」
程なく記録照合が完了。
犬の正体は、五年前の極秘任務中に行方不明になったAIロボ《ゴロスケ》だった。
しかもそのデータは泉のかつての記憶、そして失踪した教授とも深く関係したものだった。
謎解きが、またひとつ動き始めた。
泉がゴロスケの背を撫でると、窓からの風が皆の頬をそっと撫でた。
桜吹雪が、奇跡の再会を呼び込んだのだ。
財前がふと、呟いた。
「桜風来逢、かな」
・残滓 : あとに残った、ほんのわずかな痕跡や、微かな名残のこと
・桜風来逢 : 財前の創作四字熟語で、「散りゆく桜の風に乗って偶然訪れた
出会いが、過去に残してきた謎の紐解きと未来の扉を開くような奇跡的な
縁を連れて来る」という意味

さっちゃん(注1)に、今日の荒技が終わったとソファーを振り返って話しかけると、さっちゃんは笑って言った。
そんな時間があるなら、もっとマッサー(注2)に使ってもらっていいのよ。今日は日曜日だし、また倍返ししてもらおうかな。
……。
マッサーをすると家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
(注2)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。

