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意外と知られていない薬局のこと(②おくすり手帳は必要?―前編―)

(はじめに)

7月28日に熊本県を震源として発生した地震により被災された皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。今もまだ余震などに不安を抱えておられる状況が続いているかと思いますが、被災された方々の安全と健康が守られますこと、そして、被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。


この記事は、保険薬局のスタッフだった私が、薬局でお薬をもらう前に是非知っておいて欲しいことをまとめた記事です。

ちょうどこの記事を執筆中に、熊本地震の速報を耳にしました。今回の内容は、まさに災害時にも役立つ事ですので、お一人でも多くの方に知識としてお伝えできたらなと思います。

ちなみに前回(初回)の記事はコチラから▼


さて、今回も意外と皆さんが知らない重要なお話をさせて頂きます。

皆さんは「おくすり手帳」はご存じですか。

「あ!それなら聞いたことある!でも何で必要なの?」という方が案外多いのではないでしょうか。

薬局に行くと、毎回のように窓口で、「お薬手帳はお持ちですか。」と訊かれ、正直ウンザリ…なんて方もおられるかも知れません。

また、「自宅にはあるけど、いつも忘れちゃう。」なんて方も多いと思います。

単刀直入に申し上げますと、おくすり手帳がお手元にある方は、是非、医療機関や薬局の窓口に出して下さい。

ここからは「おくすり手帳」の重要性と、薬局の受付に出すことでのメリットなどをお話します。


そもそも、「おくすり手帳」って何?


「名前は聞いたことがあるけど、どんなものだったっけ?」

普段あまり医療機関にかかることがない健康な方であれば、馴染みがないものかも知れません。

実は、おくすり手帳が導入されたのは、今から30年以上も前に遡ります。
1993年、別々の病院から処方された薬の併用により重篤な血液障害を引き起こし、患者が15名死亡した「ソリブジン事件」という薬害事故がきっかけでした。

おくすり手帳は、患者が服用している薬の情報をただ履歴として残すだけではなく、既往歴、副作用歴、アレルギーなども記録し、医師や薬剤師が薬や飲食物との相互作用や、重複投与を防ぐために使用する、患者の健康を安全に管理するためのものです。

その後、1995年の阪神・淡路大震災で、お薬手帳があれば処方箋なしで薬を受け取れる措置がとられました。これによって、災害時の重要性が認識され、普及が一気に加速しました。

一方、おくすり手帳を持っていなかったことで、自分の服用している薬の名前がわからず、薬剤が特定できずに命を落とした方々も少なくなかったそうです。

そして、その後の東日本大震災を契機に、スマートフォンを活用する電子版のおくすり手帳も誕生しました。その後の熊本地震、能登半島地震でも、被災された方が、処方せんがなくても、おくすり手帳などで普段服用されている薬剤が特定できれば、お薬を受け取れる取り組みがなされたという事例もあります。

薬局の窓口でおくすり手帳を確認する理由

特に薬局では、医師が処方したお薬を、薬剤師が最終確認し、安全に患者にお渡しする為の「最後の砦」という役割を担っています。

複数の医療機関や診療科にかかって、沢山の薬剤を服用している患者には、おくすり手帳の情報を元に、相互作用や重複投与がないかをしっかり確認していますし、乳幼児にいたっては、毎回きちんと体重を把握した上で、処方量が適正かどうか入念にチェックし、お薬が飲みやすいように服薬の工夫などもご説明しながらお渡ししています。

後ほど、おくすり手帳の中身をご紹介しますので、ご自宅にある方は一度確認してみて下さい。しばらく使用していないものでも、冊子のページがたくさん余っているなら、一度薬局に持って行って相談してみて下さいね。

おくすり手帳、持ってないけどどうしたらいいの?という方も、薬局の窓口でお伝え下さい。
快く作成してくれるはずです。

おくすり手帳は一冊で管理

たまに、おくすり手帳を複数お持ちで、医療機関ごとや薬局ごとに分けてご利用されている患者さんがおられます。

以前、一か所の医療機関から処方されている薬剤が記録されたお薬手帳を毎回お預かりしていた患者さんから、あるとき、いつもと違うお薬手帳がさらに2冊出てきて、すべて同時進行で使用されていたことが発覚しました。
これまで患者さんが窓口に出されなかったので薬局側でも併用薬を把握できておらず、残りの二冊も慌てて内容を確認したということがあります。

結論から言うと、1種類、他院からも同一有効成分の薬剤が処方されており、もともと確認していた医療機関からのお薬と、もう一つの医療機関からのお薬を両方とも飲んでおられ、数か月の間倍量服用されていたことが分かりました。
服用量は足して飲んでもマックスの容量を超えていなかったことと、特に健康上の問題がなかったので事なきを得たのですが、すぐに薬剤師から処方医に連絡し、該当の薬剤の片方を処方中止にしてもらったという事例があります。

先ほどもお話した通り、複数の医療機関で処方されたお薬の内容をすべて把握し、相互作用や重複投与がないかを確認しますので、複数の医療機関からお薬を処方されていたとしても、一冊のおくすり手帳で管理していくのが望ましいです。

もし今、複数のおくすり手帳をお持ちなのであれば、すべての手帳を薬局の窓口に出して下さい。
薬剤師が全てチェックしてくれます。また、患者の了承を得たうえで、輪ゴムなどで簡易的に手帳同士をひとまとめにしてくれるなど、工夫してくれる場合もありますので、相談してみましょう。

冊子のおくすり手帳(参考例)

これは現在私が使用しているおくすり手帳です。
カバーは100均でも販売されていますので、
診察券や、次回予約票などを一緒に入れています。

基本的には、薬局で「おくすり手帳が欲しいんですが、どうすれば良いですか。」と相談していただければ、薬局の方で無料で作成してくれるはずです。

「今のおくすり手帳がなくなりそう…」という場合も、窓口で相談していただければ新しい手帳を作成してくれます。

ただ、薬局によって、複数の絵柄から選ばせてくれるところもあれば、決まった一種類のデザインのみで作成される場合など様々ですので、ご自身の好みのおくすり手帳が欲しい場合は、少し割高にはなりますが、Amazonなどでも販売されているので、ご自身で購入することもできます。

(私は以前の手帳が一杯になったので、Amazonのポイントを使って自分で購入しました。)

先ほどのおくすり手帳、中身はこのようになっています。他のおくすり手帳でも、記載項目や内容はほぼ同じです。

まず、1ページ目見開き▼

個人情報、副作用、アレルギーや病歴などの記入欄
ここは患者さんご自身(またはご家族)が
記入する箇所です。

次に、2ページ以降、見開き▼

処方せんと一緒に窓口で出せば、薬局が
処方された薬剤情報のシールを貼ってくれます。
残薬がある場合も、薬局に相談すれば数を確認して
処方医に電話で問い合わせをし、日数調整や
処方中止の手続きをしてくれます。
(ただ、お時間も少しいただきます)

あとは最後のページ▼

コロナ禍以降、ワクチン接種の欄が追加されています。

このようになっています。
おうちで宝の持ち腐れ状態になっているおくすり手帳がありましたら、是非通院用のバッグやお車の中に忘れず入れておいて下さいね。

おくすり手帳を持つことで患者にメリットはあるの?


これもはっきり申し上げますが、

「あります。」

現行の法律では、初回はおくすり手帳を持っていてもいなくても、薬局の窓口での会計金額は変わりませんが、3ヶ月以内の再来で、同じ薬局を利用する場合は、おくすり手帳を持参している方が、持参しなかった場合に比べて、約40円ほどお安くなります。(3割負担の場合)

たった40円、と思うかも知れません。
でも、受診の頻度が高い方ほど、ひと月で数百円、さらに通院歴が長ければ、年間で数千円は変わってくるでしょう。

毎回、おくすり手帳を窓口で出す方が、患者さんとしては少しお得になるということです。

また、薬局としてもおくすり手帳を活用してもらえる方が、詳細がわかるのでとても助かります。

Amazonや楽天などでおくすり手帳を検索すると、かわいいキャラクターの絵柄や、ご年配の方が好まれる和柄やシンプルなお花柄、また、幾何学模様で5色の色違いセットなど色々な種類があります。

電子版おくすり手帳って何?

今はほとんどの方が1台は携帯しているスマートフォン。過去の災害時をヒントに、スマホアプリで服用しているお薬を管理できる「電子版おくすり手帳」の普及率が年々伸びています。

私が薬局で勤務していた頃も、おくすり手帳をアプリで管理されている患者さんはチラホラいらっしゃいました。

スマホでデータ管理や決済などを一元化したい方にはオススメです。

電子版のおくすり手帳も、今は複数のアプリがありますが、全国展開で使える代表的なものだと、

日本薬剤師会から提供されている
「eおくすり手帳3.0」

日本調剤から提供されている「お薬手帳プラス」

株式会社くすりの窓口から提供されている
「EPARKお薬手帳」

などがあります。
他にも、特定のチェーン薬局から提供されているアプリや、お薬以外の体調管理に特化したものも幅広くありますので、ご自身の生活スタイルや活動に合わせて選ぶのが良いかなと思います。

せっかくなので、この機会に私もおくすり手帳のアプリをスマホに入れてみることにしました。

実際にスマホでアプリをインストールして起動させ、どのように登録されるのかスクショを撮りましたので、それを使いながら説明してみようと思います。

画像を貼るとスクロールが大変なので、今回はここで一旦区切らせていただきます。
後編は電子版おくすり手帳をインストールするところから記事をスタートしたいと思いますので、今までにおくすり手帳のアプリを使ってみようかどうしようか悩まれていた方、

「便利そうだけど、手続が面倒そう」

「冊子のおくすり手帳と何が違うの?」

など、疑問がある方の手助けになれば幸いです。

それでは、また、次回の記事でお会いしましょう🤚

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