Skill.mdには何を書くの?マニュアル・議事録・報告書で使えるAI作業手順書の作り方
Claude SkillsやSkill.mdという言葉を見ると、どうしてもエンジニア向けの話に見えます。
Claude Code。
Agent Skills。
Skill.md。
MCP。
ハーネス。
エージェント。
このあたりの言葉が並ぶと、コードを書く人のための機能に見えやすいです。
ただ、前回の記事でも書いたように、私はSkill.mdをもっと普段の仕事に寄せて考えています。
AIに渡す作業手順書。
このくらいに考えると、かなり見え方が変わります。
マニュアルを作る。
議事録を整理する。
掲示板に出す文章を整える。
報告書の下書きを作る。
稟議書の構成を考える。
行政提出資料の文章を整理する。
こういう仕事でも、AIに毎回同じように頼んでいる作業はあります。
そして、毎回同じように頼んでいるはずなのに、返ってくる形が少しずつ違うこともあります。
ある日は文章が長すぎる。
ある日は見出しがない。
ある日は担当者や期限が抜ける。
ある日は事実と意見が混ざる。
ある日は不明点をAIが勝手に補ってしまう。
AIが悪いというより、こちらが「どんな形で作業してほしいか」を渡せていないことがあります。
そこで使える考え方が、Skill.mdです。
Skillなしだと、AIはその場の判断で書く
たとえば、会議メモをAIに渡して、
「この会議メモ、議事録にまとめて」
と頼んだとします。
これでもAIは何かしら返してくれます。
ただ、その返答はAI側のその場の判断にかなり寄ります。
議事録という言葉から、文章としてきれいにまとめてくれるかもしれません。
でも、決定事項、保留事項、担当者、期限、次回確認することに分けてくれるとは限りません。
不明点を「不明」として分けてくれるとも限りません。
事実と意見を分けてくれるとも限りません。
つまり、頼み方は簡単でも、返ってくる形は安定しにくいです。

Skillありだと、返ってくる形を決めやすい
一方で、先に作業手順を渡しておくと、返ってくる形は変わります。
たとえば、議事録整理用のSkill.mdとして、
決定事項
保留事項
期限
次回確認事項
確認が必要な点
このような形で整理する、と決めておく。
さらに、
不明点を勝手に補わない。
担当者が書かれていない場合は「確認が必要な点」に分ける。
事実と意見を混ぜない。
このような注意点も入れておく。
すると、同じ会議メモでも、AIの返し方が変わります。
文章としてなめらかにまとめるだけでなく、決まった見出しに沿って整理してくれるようになります。

この違いは大きいです。
AIに「うまくまとめて」と頼むのではなく、
この仕事では、こういう順番で見てください。
この形で返してください。
分からないところは勝手に埋めずに分けてください。
と渡しておく。
これが、実務で考えるSkill.mdの使いどころだと思っています。
実務用Skill.mdに書くもの
では、実務で使うSkill.mdには何を書けばいいのか。
私は、まず次の7つで考えると分かりやすいと感じています。
1. このSkillの目的
何の作業を安定させたいのかを書きます。
議事録を整理するためなのか。
マニュアルを作るためなのか。
報告書の下書きを整えるためなのか。
稟議書の構成を作るためなのか。
ここがぼんやりしていると、AIの返答もぼんやりします。
2. 使う場面
いつ使うSkillなのかを書きます。
会議後に使うのか。
掲示文を出す前に使うのか。
報告書を書く前に使うのか。
行政提出資料の下書きを整える時に使うのか。
使う場面が決まっていると、AIもその作業の前提をつかみやすくなります。
3. AIに渡す材料
AIに何を渡す前提なのかを書きます。
会議メモ。
箇条書きのメモ。
過去の文章。
提出前の下書き。
現場で聞き取った内容。
確認してほしい項目。
こういう材料を渡す前提を書いておきます。
4. 作業の進め方
どの順番で見てほしいのかを書きます。
まず事実を抜き出す。
次に決定事項を分ける。
担当者と期限を見る。
不明点を確認が必要な点に分ける。
最後に読みやすい形へ整える。
このように、AIにしてほしい作業の順番を決めます。
5. やってはいけないこと
ここはかなり大事です。
不明点を勝手に補わない。
根拠のないことを断定しない。
個人情報をそのまま出さない。
制度判断をAIだけで確定しない。
感情的な表現を強めない。
都合のよい効果だけを書かない。
AIは文章を整えるのが上手いので、間違っていても自然に見えることがあります。
だからこそ、「ここはやらない」を先に書いておく必要があります。
6. 出力形式
最後にどんな形で返してほしいのかを書きます。
議事録なら、
決定事項
保留事項
担当者
期限
次回確認事項
確認が必要な点
報告書なら、
概要
事実経過
対応内容
現時点の課題
今後の対応案
確認が必要な点
稟議書なら、
件名
背景
目的
必要性
費用
比較案
期待される効果
リスク
承認してほしい事項
このように、返してほしい形を決めておくと、毎回の整理がかなり楽になります。
7. 最後に人間が確認すること
AIに任せる部分と、人間が見る部分を分けておきます。
事実は合っているか。
個人情報が入っていないか。
提出してよい内容か。
法人や職場のルールに合っているか。
公式資料や担当窓口で確認が必要なものはないか。
AIに下書きや整理を頼むことと、最終判断まで任せることは別です。
ここを分けておくと、実務で使いやすくなります。
マニュアル作成で使うなら
マニュアル作成用のSkill.mdなら、目的はかなり分かりやすいです。
バラバラのメモを整理する。
手順を順番に並べる。
新人にも分かる言葉に直す。
注意点を分ける。
よくあるミスを出す。
更新時に確認することを出す。
こういう作業に向いています。
出力形式は、たとえば次のようにできます。
目的
対象者
手順
注意点
よくあるミス
更新時の確認点
マニュアルで大事なのは、きれいな文章にすることだけではありません。
誰が読むのか。
どこで間違いやすいのか。
手順が古くなった時にどこを見直すのか。
このあたりも整理しておく必要があります。
ただし、現場ルールや法人ルールをAIだけで決めてはいけません。
AIにできるのは、文章の整理や抜けやすい観点の確認です。
最後に、その職場で本当にその手順でよいかを見るのは人間です。
議事録作成で使うなら
議事録作成用のSkill.mdは、かなり実務で使いやすいと思います。
会議メモや文字起こしは、そのままだと読みづらいことが多いです。
話が前後する。
誰がやるのか分からない。
決まったことと、まだ決まっていないことが混ざる。
期限が書かれていない。
次回確認することが見えにくい。
こういう時に、AIへ整理してもらうと助かります。
ただし、単に「議事録にして」と頼むだけでは、きれいな文章にはなっても、実務で使う確認表にはならないことがあります。
そこで、出力形式を決めておきます。
決定事項
保留事項
担当者
期限
次回確認事項
確認が必要な点
この形にしておくと、あとから見返しやすくなります。
特に「確認が必要な点」を分けるのは大事です。
担当者が書かれていない。
期限があいまい。
決定なのか検討中なのか分からない。
こういうものをAIが勝手に補うのではなく、確認事項として分ける。
これだけでも議事録の使いやすさはかなり変わります。
行政提出資料で使うなら
行政提出資料の下書き整理にも、AIは使えます。
ただし、ここは注意が必要です。
AIに任せてよいのは、文章の下書き整理や確認点の洗い出しまでです。
提出してよいか。
制度上正しいか。
この書き方で通るか。
必要書類がこれで足りるか。
こういう判断をAIだけで確定するのは危険です。
行政提出資料向けのSkill.mdを作るなら、禁止事項を強めに入れた方がよいです。
制度判断をAIだけで確定しない。
提出可否をAIだけで判断しない。
根拠のない法令名や制度名を出さない。
最終確認は公式資料、担当窓口、法人内確認で行う。
このようなルールです。
AIにやってもらうのは、
下書きを読みやすくする。
説明文を整理する。
確認が必要な点を出す。
添付資料の候補を洗い出す。
担当窓口に確認することを整理する。
このくらいの距離感が安全だと思っています。
掲示板投稿で使うなら
掲示板投稿や職員向けのお知らせ文にも、Skill.mdの考え方は使えます。
掲示文は、意外と難しいです。
長すぎると読まれない。
短すぎると伝わらない。
対象者が分からない。
期限が埋もれる。
何をしてほしいのか分からない。
強い言い方に見える。
こういうことが起きます。
掲示板投稿用のSkill.mdなら、出力形式はこうできます。
タイトル
対象者
本文
期限
行動してほしいこと
補足
この形でAIに返してもらうと、掲示前に確認しやすくなります。
特に大事なのは、「行動してほしいこと」です。
読んだ人に何をしてほしいのか。
確認してほしいのか。
提出してほしいのか。
参加してほしいのか。
期限までに入力してほしいのか。
ここが見えると、掲示文はかなり実務向けになります。
報告書作成で使うなら
報告書作成では、AIに文章を整えてもらう前に、事実と意見を分けることが大事です。
報告書では、
何が起きたのか。
いつ起きたのか。
誰が対応したのか。
どのように対応したのか。
今後どうするのか。
このあたりを整理する必要があります。
ただ、人が書くと、どうしても感情や評価が混ざることがあります。
大変だった。
困った。
よくなかった。
もっと早くしてほしかった。
気持ちは自然ですが、報告書では事実経過と意見を分けた方が読みやすくなります。
報告書作成用のSkill.mdなら、出力形式はこうできます。
概要
事実経過
対応内容
現時点の課題
今後の対応案
確認が必要な点
また、やってはいけないこととして、
事実と意見を混ぜない。
不明点を断定しない。
感情的な表現を強めない。
個人が特定される情報を必要以上に出さない。
このあたりを入れておくと使いやすくなります。
稟議書作成で使うなら
稟議書でも、AIは下書き作成や構成整理に使えます。
ただし、稟議書は「通すための文章」ではなく、「判断してもらうための文章」です。
都合のよいことだけを書いても、実務では困ります。
なぜ必要なのか。
費用はいくらか。
他の案はないのか。
導入すると何がよくなるのか。
リスクは何か。
承認してほしいことは何か。
このあたりを整理する必要があります。
稟議書作成用のSkill.mdなら、出力形式はこうできます。
件名
背景
目的
必要性
費用
比較案
期待される効果
リスク
承認してほしい事項
特に、比較案とリスクを入れるのが大事です。
AIに頼むと、どうしても前向きできれいな文章になりがちです。
でも、実際の稟議では、
やらない場合どうなるのか。
他の方法はあるのか。
費用に見合うのか。
運用上の負担はないのか。
こういう点も見られます。
だから、Skill.mdの中に「都合のよい効果だけを書かない」と入れておくとよさそうです。
万能Skillを作ろうとしない
Skill.mdを作る時に、最初から万能にしようとすると、かえって使いにくくなります。
マニュアルも作れる。
議事録も作れる。
掲示文も作れる。
報告書も作れる。
稟議書も作れる。
行政提出資料も作れる。
こういう全部入りのSkillは、一見便利そうです。
でも、実際には作業ごとに見たいところが違います。
議事録では、決定事項や期限が大事です。
報告書では、事実経過と対応内容が大事です。
稟議書では、背景、費用、比較案、承認事項が大事です。
掲示文では、対象者、期限、行動してほしいことが大事です。
全部を1つに詰めると、どの作業にも少しずつ合わないものになりやすいです。
まずは、小さく分ける方が現実的です。
議事録整理用。
マニュアル作成用。
掲示板投稿用。
報告書作成用。
稟議書作成用。
このように分ける。
その方が、AIも使う場面を判断しやすくなります。
人間側も、あとから直しやすくなります。
Skill.mdは、AIに仕事を丸投げするためのものではない
ここは誤解したくないところです。
Skill.mdを作る目的は、AIに仕事を全部丸投げすることではありません。
むしろ逆です。
AIに任せる部分と、人間が確認する部分を分けるためのものだと思っています。
AIには、整理してもらう。
下書きを作ってもらう。
文章を読みやすくしてもらう。
抜けていそうな確認点を出してもらう。
人間は、事実を確認する。
職場のルールに合っているか見る。
個人情報が入っていないか見る。
提出してよい内容か判断する。
最終的な責任を持つ。
この分担が大事です。
AIは便利ですが、最終確認者ではありません。
特に、行政提出資料、報告書、稟議書のように、組織として残る文書では、人間の確認が必要です。
だからこそ、Skill.mdの中にも「最後に人間が確認すること」を入れておいた方がよいと思っています。
まとめ
Skill.mdという言葉だけ見ると、少し難しく感じます。
でも、実務に置き換えるなら、
AIに渡す作業手順書
と考えると分かりやすくなります。
マニュアル作成。
議事録作成。
掲示板投稿。
報告書作成。
稟議書作成。
行政提出資料の下書き整理。
こういう仕事でも、毎回AIに頼む作業はあります。
そして、毎回頼む作業ほど、目的、使う場面、渡す材料、作業の進め方、禁止事項、出力形式を決めておくと楽になります。
AIに「いい感じにまとめて」と頼むのではなく、
この仕事では、こういう順番で見てください。
この形で返してください。
分からないことは勝手に埋めないでください。
最後に人間が確認する点も出してください。
と渡しておく。
そのための作業メモとして、Skill.mdを考えると、エンジニアではない人にもかなり使い道がある気がしています。
今回は、Skill.mdに何を書くのかを、マニュアル作成・議事録整理・掲示板投稿・報告書作成・稟議書作成・行政提出資料の下書き整理に置き換えて整理しました。
この記事では、考え方と一部サンプルまでにしています。
実際にそのままコピペして使える完成版の.mdテンプレートは、別の有料記事としてまとめました。
内容は、
マニュアル作成用 Skill.md
議事録整理用 Skill.md
掲示板投稿文作成用 Skill.md
報告書作成用 Skill.md
稟議書作成用 Skill.md
行政提出資料の下書き整理用 Skill.md
メール文面調整用 Skill.md
研修資料たたき台作成用 Skill.md
専門用語をやさしく説明する用 Skill.md
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無料記事では「Skill.mdをどう考えるか」まで。
有料記事では「実際に貼って使える形」まで。
必要な方だけ読めるように、役割を分けました。
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Claude SkillsやSkill.mdまわりは、専門用語が多いです。
ただ、その考え方の一部は、普段の仕事でAIを使う人にもかなり関係してくると思っています。
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