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ジャズ記念日: 2月8日、1972年@ロサンゼルス “Let’s Stay Together”By Jimmy Smith

Feb. 8, 1972 “Let’s Stay Together”
By Jimmy Smith, Arthur Adams, Steve Williams, Wilton Felder, Paul Humphrey & Buck Clarke at  Bombay Bicycle Club, LA for Verve (ROOT DOWN)

アルグリーンが歌い、1971年にビルボードナンバーワンのヒットとなった曲 “Let’s Stay Together”をオルガンの権化、ジミースミスがファンキーにカバー。コンセプト的には一年前の1月5-6日のグラントグリーンと同じ、ジャズが大衆音楽をカバーして寄り添って行く時流。

ロサンゼルスにあるレストランで腕利きのミュージシャンを従えての名演で、メロディーを聴いた観客からの喝采が捉えられている。

Bombay Bicycle Club Restaurant, Burbank (1980s)

グルーブするベースのウィルトンフェルダーは、ジャクソン5の”ABC”や、ビリージョエルの”Piano Man”でも起用されているし、正確無比なリズムを刻むドラムのポールハンフリーも、ロック界随一の音にこだわりを持つスティーリーダンの名盤、”Aja”に登場している。

Wilton Felder (1940-2015)
Paul Humphrey (1935-2014)

この曲が収録されているアルバムのタイトル曲のベースラインは、ビースティボーイズのアルバムでサンプリングされている。そのフェルダーは、ジャズクルセイダーズのサックス奏者として名を成したが、絶妙なタイム感で滑らかにグルーブするベースも素晴らしい。天才は何をやっても凄いのだ。

ジミースミスにしては軽やかなトーンの演奏なのは、これらの洗練されたスタジオミュージシャンとの西海岸での演奏という事情もあるだろう。録音もライブ録音にしてはノイズの雑音を抑えたアダルトオリエンテッドロック的なスタイルで捉えられているのは時代の流れか。前半はライブ録音ならではの観客の会話が若干耳障りだが、演奏の一部である臨場感として割り切って聴いてみる。そうすると何について話しているのかが気になるが、残念ながら聞き取れない、、、

後半になるにつれて盛り上がる進行で5:05頃から始まり終焉に向かうジミースミスのソロで泥臭い本質が表出する。それは後に演奏したマイケルジャクソンの”Bad“(1987年)のオルガンソロを思い起こさせる。

因みにこの楽器、ハモンドオルガンと言うが、歴史を読み解くととても興味深い。アメリカ人の発明家、ローレンスハモンドが、時計用の同期振動機の磁石の原理を利用した技術を基に、主に高価な教会向けのパイプオルガンの代替品として調律不要なオルガンを創り出したもの。これが大受け、一般的に普及してジャズの定番楽器として利用されるようになる。その代名詞がこのジミースミス。ハモンドオルガンと言えば、アメリカのメジャーリーグの7回目に流れる、セブンスイニングストレッチの「私を野球に連れてって」や、ドアーズの「ハートに火をつけて」や、ディープパープルの「ハイウェイスター」等でもお馴染み。古き良きレトロな感じ。

この時期、同年の東海岸で収録されたのが1月28日に紹介したロニーフォスターの曲。同じ季節だが、その東海岸の寒さとこの西海岸の温暖な気温の差、空気の張り方の違い、そして何よりも気候同様に好対照な音楽的な指向と雰囲気の違いが感じ取れる。加えて、新旧を代表するオルガニストの音楽のスタイルも対照的だ。勿論、ジミースミスがあってこそ、フォスターという進化系が輩出されている。

この収録場所は、ロサンゼルスのジャズクラブとはいえ名前の通りインド料理メインのチェーン店が会場のよう。ロサンゼルスのボンベイが、1月5-6日に紹介したデトロイトにあるモザンビークの名を冠したジャズクラブのように気になって散々検索したが残念ながら見つからない。レーベルはライブ録音を得意とするVerveによるもの。

アルグリーンのオリジナル曲はこちら。オルガンがフィーチャーされている。聴き比べると、ジミースミス、比較的忠実に再現しているように感じられる。

マイケルジャクソンの名曲”Bad”。2:30から始まるソロがジミースミスによるもの。この有名なミュージックビデオ中に“SMITH“という名前がさりげない形で登場しているのは、まさに彼のこと。よく見ていないと何処で出てくるのか分からないので、探し出す楽しみもある。ジャズ畑出身の辣腕プロデューサー、クインシージョーンズだからこその人選。

最後に、教会でハモンドオルガンと言えば音楽系映画の名作「ブルースブラザース」(1980年)でジェームスブラウンが牧師として登場するシーン。冒頭からハモンドオルガンが全開で雰囲気を盛り立てている。この場面には脇役として、ジャズとゆかりのある歌手のチャカカーンも登場しているので、探してみる楽しみもある。そのジェームスブラウン、ハモンドオルガンの使い手の一人で、「ジャズ」という名前のアルバムで腕前を披露している。

1月5-6日に紹介したデトロイトにあるモザンビークの名を冠したジャズクラブに興味がある方はこちらからどうぞ。

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