今日のジャズ: 1月5-6日、1971年@デトロイト
Jan. 5-6, 1971 “One More Chance”
By Grant Green, Clarence Thomas, Houston Person, Ronnie Foster & Idris Muhammad
At Club Mozambique, Detroit for Blue Note (Live at the Club Mozambique)
70年代に入ると大衆音楽だったジャズが衰退して、メインストリームのロックやR&Bに寄り添って行くようになる。
本曲は一聴しても良くわからないかもしれないが、マイケルジャクソンが歌ったジャクソン5の名曲で、ファンクジャズ調に手がけたのがこの演奏。
原曲の良さを活かしつつ、それを凌駕するアレンジを施して、メロディアスに滔々とシングルトーンで唄うグリーンのギターを軸にしたバンドのライブ発掘音源で、訳あってモノラル録音音源しか存在していないが、演奏の素晴らしさでお蔵入り作品がリリースされるに至った。
デトロイトのライブハウスにおける録音で、バンドのグルーヴ感が一体化して演奏の完成度の高さが捉えられている。オルガンが雰囲気を盛り立て、サックスの洒落たアンサンブル、そしてグリーン独特の演歌的なコブシとタメの効いたファンキーながら優しさに溢れるギターが存分に味わえる。
バラード調に始まり、2:08からギアチェンジ、ファンクのスイッチが入ってバンドと演奏が熱気を帯びて行く。それはファンクジャズにこの人ありという、イドリスモハメドのキレとコクのあるパワフルなドラムが、源泉となっている。
アルバムを通して聴くと背景に捉えられている雄叫びから聴衆も黒人主体のようで、グリーンのバンドとの相性の良さも好演奏を引き出した背景にあるようだ。モノラル音源という事が全く気にならない快作。むしろモノラルの方が力強い音圧で結果オーライなのかもしれない。
収録場所は、アフリカ南東部にある国、モザンビークの名を冠したデトロイトのジャズクラブ。このような並外れた演奏を導き出した場所には、とても興味が湧いて、調べてみると、1969年の開店当時、米国においては黒人意識運動が盛んな一方で、モザンビークではポルトガルからの独立戦争中という当時の情勢と、名前そのものに惹かれたオーナーが店名に採用したという記録が残っている。

閉店後は、男性のストリップクラブとして営業、その当時の店の外観の写真から確かに同店名の看板がある事が分かる(下部)。その後、火事が発生して、現在はグーグルストリートビューで確認する限り、跡形もなく更地になっている様子。

さて、ジャクソン5によるオリジナル曲がこちら。マイケルの歌と比較してみると、グリーンのメロディーの中にある独特の、何処となく日本の演歌のようなコブシが聴き取れる。私も含め、グリーンのファンに日本人が多いのは、それが理由のひとつかもしれない。
最後に、グリーンによるファンク路線のギターに興味が湧いた方は、こちらもご覧ください。
