今日のジャズ: 6月16日、1960年@ニュージャージーRVG
June 16, 1960 “Stompin' at the Savoy”
by Gene Ammons, Tommy Flanagan, Doug Watkins, Art Taylor & Ray Barretto
at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey for Prestige (Boss Tenor)
コンガの名手、レイバレットのパーカッションがフィーチャーされてラテン系のリズムで演奏される、ジャズスタンダード。テナーサックスのジーンアモンズは、「ザ・ボス」のあだ名を持つ骨太ブロー派の重鎮。ここではノリ重視でシンプルなメロディーを奏でる。
曲名は、人気だったニューヨークのハーレムにあった社交場、「”Savoy”で踊る」という意味。ロンドンにある1889年創業の格式高いホテルの名を拝借して1926年に開業して1958年まで続いたサボイは、ユダヤ人がオーナーで黒人が運営していた事もあり、人種の分け隔てがない社交上として賑わった。


エリントンのバンド出身のレックスステュアートが結成したバンドのアルトサックス奏者、エドガーサンプソンが作曲、同バンドが解散するまでバンドのテーマ曲として演奏された。その後、ベニーグッドマンが録音、大ヒットした事もあってスタンダード化、グッドマンが作曲者に名を連ねるようになった。コールアンドレスポンス形式のある楽曲でラテン系のリズムでは、踊るのは難しそうな気がする。
シカゴ出身のアモンズは、シカゴスタイルテナー奏法の始祖の一人で、今や定番となっているテナーサックスとハモンドオルガンの編成を先駆けて取り組んだ一人。そのスタイルの特徴はソウルフルでシカゴに根差したブルースやR&Bにも通じるもの。泥臭くブリブリとブローする音色とこぶしが特徴。
そのキャリアに二度ブランクがあるのは、麻薬で投獄されたから。シカゴで刑務所というと、ブルースブラザーズを想起するが、二度目は、まさにその舞台にもなっているジョリエット刑務所で七年服役していたとの記録が残っている。その出所後に当時破格の契約金で採用したのが、本レーベルと同じプレスティッジ。オーナーのボブワインストックはアモンズに相当肩入れしていて、その復帰を首を長くして待っていたのだろう。

録音としては、サックスの音色に湿り気と残響が感じられ、特にアートテイラーの少し緩めのスネアドラムが、お風呂場で叩いているかのような響きが耳立つ。特に1:57から2:02迄の六連打に顕著。シンバルが飾り気のない自然な音なので、サボイのホールを意識した空間表現やコンガとの組み合わせ等に配慮、意図して誇張した演出と考えられる。トミーフラナガンのピアノは、ここでもリーダーの演奏の意図と流れを肩肘張らずに汲む、大変さりげない心憎さを発揮している。
アートテイラーのドラムとフラナガンのピアノに興味を持たれた方は、こちらのコルトレーンとの快演をどうぞ。
テナーとハモンドオルガンの組み合わせに興味を持たれた方は、こちらもどうぞ。本作と同じレイバレットのコンガも入ってます。
最後に、そのレイバレットのコンガを代表する名演はこちらからどうぞ。
