見出し画像

ジャズ記念日: 3月1日、1975年@サンフランシスコ “Saturday Morning”

Mar. 1, 1975 “Tin Tin Deo” By Sonny Criss, Barry Harris, Leroy Vinnegar & Lenny McBrowne At Wally Heider’s Studio, San Francisco for Xanadu Records (Saturday Morning)

アルトサックスのソニークリスによる、アコースティックジャズの衰退期、70年代半ばのリーダー作品。冒頭のピアノの旋律は、端正なバリーハリス、そこにドラムとベースが加わり、お膳立てされて登場するのがクリス。

クリスの特徴は、艶のある音色にあり、サックス全体がブルブル震えるように大きな音で鳴るのが魅力。この曲では、ハリスとベースのリロイビネガーといったジャズの王道、ハードバップスタイルの演奏者が存分に実力を発揮。特にハリスの淀みのなく流れるようなメロディーで構成されたソロが冴えている。3:05-3:21のアルトサックスがはち切れるほど鳴り響く泣きの旋律を味わいたい。

この技を極限まで追求しているのが、同じアルトサックスのデビッドサンボーンで、誰しもが魅了される、張りがあって艶やかな特徴ある音色を耳にするだけで、サンボーンだと解る。

年代柄か録音が中音寄りで浮き足立っているように聴こえるが、ビネガーの定評ある天下一品のウォーキングベースもクリスの名演の立役者と言える。

ハリスの美しい印象に残るソロの後に、クリスが登場すると、その冒頭のひと吹きだけで見事なハリスのソロの記憶が上書きされて、かき消されてしまう。この音色と存在感の凄まじさが、クリスの真骨頂。

ドラムのシンバルワークが綺麗に捉えられていて、ジャズ低迷期のこの年代には珍しく、ハードバップ系の名演名録音作品に仕立て上げられている。

ジャズ衰退期の70年代から80年代にかけてジャズアルバムを精力的に制作したザナドゥレーベルの作品。以下で紹介したマイルスのライブ録音の会場となったサンフランシスコのジャズクラブ「ブラックホーク」の向かいにある西海岸屈指の著名スタジオでの収録とあって、ハリス以外は⻄海岸拠点のミュージシャンが起用されている。

そのスタジオは、かのモンタレーポップフェスティバルでジミヘンドリクスやサンタナを野外で録音したウォリーハイダーが設立したもの。本作品の録音当時には、ドゥービーブラザーズやロッドスチュアートといった全盛期のロックスターも録音を行なっている。華々しいロックスターと日常に近い演歌歌手的なジャズミュージシャンがスタジオですれ違っている事を想像すると時代の移り変わりを感じる事ができそう。

1969年設立
245 Hyde Street, San Francisco
歴史地区にある左の水色の建物
建物前の路面にある案内には、ハービーハンコックの
ベストセラー”Headhunters”の収録場所との記載

曲はビバップジャズの確立のみならず、ラテンジャズの普及に貢献したディジーガレスピーとチャノポソによる作品で、以下の”Manteca”同様の合作。

以前紹介したアートペッパーの名盤に収録されている演奏、それに加えてサンボーンの一風変わったバージョンを比較すると、同じアルトサックスだからこそ、奏者の個性、音色やコブシの特徴が良く分かる。

先ずは、名盤”Meets The Rhythm Section”(1957年1月19日録音)からのアートペッパーによる”Tin Tin Deo”。この演奏がアルトサックスによる本曲演奏の基礎を作ったものと思われる。”Manteca”にも登場しているドラムのフィリージョージョーンズの尖った刃物のように鋭くタイトなドラムも聴きどころ。

最後に、現代風アレンジのデビッドサンボーンによる”Tin Tin Deo”がこちら。クリスチャンマクブライドのベースとスティーブガッドのドラムという現在最高峰のリズムセクションを従えて、サンボーン節が満載ですが、こぶしの回し方など何らかの形でクリスの影響下にあるのではないか、と勝手に推測している。

音楽と共に素敵な一日をお過ごしください。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集